第二十六話
二人は分かれ道まで歩き始めた。
「シグルドさん、ちょっといいですか?」
「なんだ?」
「なんでわざわざ魔物のいる道を選んだんですか?」
「なんだ、そんなことも分からないのか?」
シグルドは足を止めレイナの方を向き
「ルカ村の村長の言葉、覚えてるか?」
シグルドの問いにレイナは少し考えてから
「強力な魔物がいるから気をつけて、とかでしたか?」
「そうだ」
レイナの答えにシグルドは肯定した。
「だからあそこで左に...」
「そうだ、気をつければ会わなかった。あのまま左にいけば会わなかっただろう。だがな、そんなことしたら....」
シグルドは少しためてから
「なんか嫌だろ!!」
「なに言ってるんですか!」
けっこう大きな声で怒るレイナ。
「わざわざ危険な道を選ぶ理由がそれですか!?」
「けっこう重大なことだ。あの時点ではどんなやつがいるか分からなかったから捕まえるつもりだったんだ。だけど予想以下だったからな...」
「はぁ、なに言ってもムダみたいですね...」
「気配を消せるやつだったから期待したんだけどな...」
シグルドは愚痴を続けた。
シグルドの愚痴が終わらないまま分かれ道まで戻ってきた。
「はぁ、やっと戻ってきましたよ」
「んじゃ、改めて行きますか」
シグルドは愚痴を止め、もう一つの方の道へと進み始めた。
「いよいよ...です」
「えっ...、杖が....、ない...」
五分ほどすすんだ先には台座があり、そこにはただの木の棒が置かれていた。
「あー、先に取られてたパターンね。俺は木の棒を杖と勘違いしたわけだ」
「ここまで来たのに...」
レイナは項垂れた。
「安心しろ。魔法なんか使えなくても俺が剣技だけで戦えるようにしてやるよ」
シグルドは慰めるようにレイナの頭に手を置き撫でた。
「...シグ...ルド...さん...」
「じゃ、さっさと戻るぞ」
「は、はい!」
二人は来た道を戻っていた。
「...おかしい」
シグルドは呟いた。
「どうしたんですか?」
「道がなくなっている。出口がない」
「えっ?どうしてわかるんですか?」
「ここから魔力を流したんだが、ここで途切れてる。さっき竜戦士と戦った所への道と入ってきた道がなくなっている。そして、」
シグルドはまっすぐの道を指差し
「新しい道ができている。新しい気配と一緒に、な」
「それって...」
「あぁ、多分この先のやつを倒せばいいんだろう」
いつになく真剣な表情のシグルドをみて、レイナは体が震えた。
「ま、俺だからきづけたんだが、たぶんこの手のやつなら.....」
シグルドは柄をもち、居合いの構えをとった。
「壊せばいい!」
シグルドは居合いで壁を斬った。
すると、壁が崩れ、道ができた。
「ほらな」
「すごい...です」
レイナはその道を進もうとした。
「待て、レイナ。なぜそっちへ行く」
「なぜ、って、帰るんじゃないんですか?」
「はぁ~」
タメ息をつくシグルド。
「俺は言ったよな?新しい気配があるって。なんでその気配を確認しないで帰ることができるんだよ」
当たり前のように言うシグルド。
「......はぁ~」
「ほら、行くぞ」
シグルドはそのまままっすぐ進んだ。
「いつになったら慣れるんでしょうか...」




