第十五話
言いたい事は一つだけ
滝峰 つづりさん
砕け散れ
シグルドとロイは困惑していた。
「私、自分で思うように魔法をつかえないんです。いつも気がついたら魔法をつかってる感じなんです。なので、私は自分がどんな魔法をつかってるのか知らないんです...」
淡々と語るレイナにシグルドは我に返り
「それは困ったもんだな...、使いこなせたら強力なのにな。ちなみに、お前の魔法は風属性の魔法だ」
「風、ですか。ちなみにシグルドさんの魔法には属性はあるんですか?」
「俺はない」
「シグルドの魔法は特殊だもんね」
ロイも我に返り、笑いながら言った。
「まず、魔力コントロールの練習だな」
「そうだね。まず、体内で魔力を練るんだけどできる?」
「えっと、できないです...、すみません」
「あーあ、こりゃ長期戦だな」
シグルドはそう言うと怠そうに横になった。
「シグルド!ここは訓練場なんだから、寝るのはやめてくれないかな」
「いいじゃねーの。魔力コントロールできねぇなら仕方ねぇよ。今日は無理無理」
「すみません.....」
しょんぼりとするレイナ。
「ま、がんばれや」
「うん、これからはシグルドが教えるからね」
「は?」
呆気にとられるシグルド。
「だってシグルドの方が魔力コントロールうまいからね。それに...」
少し深刻になるロイ。
「それに?」
「いや、なんでもない」
シグルドの問いに笑顔になるロイ。
「ふーん、まぁいいや」
「じゃあ、お願いしますね、シグルドさん」
ペコリと頭を下げるレイナ。
レイナの押しに負け、シグルドは
「はぁ、仕方ねぇな」
嫌々ながら受けるシグルド。
「じゃあ、明日からな」
「はい!」
パァーっと明るくなるレイナ。
「じゃあ、また明日な」
そう言うとシグルドは訓練場を出て
「あ、今日の仕事頼むわ。ロイくん
「.....わかったよ。今日は僕一人でやるって言っておくよ」
「じゃ、おやすみー」
シグルドは宿舎に戻り、倒れそのままねむりこんだ。
「......本当にいいのか?後悔はしないか?」
ロイに話しかける黒い影。
「うん...、名残惜しいけどね。それに、シグルドは僕のことなんてどうとも思ってないからね」
その影に話すロイ。
「それは違うと思うぞ」
「どうしてそう思うんだい?」
ロイの問いに影は
「あいつは仲間を大事に思っている。仲間が傷つくのをよしとは思っていない。そのなかでもお前は特別の部類だ」
「それはわかってる、でもシグルドは一つわかっていないことがある」
ロイは少しためてから
「シグルドは強い。それも圧倒的にね。僕なんかじゃ勝ち目はない。もちろん君よりも強いよ」
笑顔で言うロイ。しかし、その目は笑っていない。
「だから......シグルドはダメなんだ。弱い人の気持ちがわからない。それは仕方ないことだと思うよ。でもねそれで僕がどれだけ傷ついたか...わからないんだ」
「じゃあ、いいんだな?」
「あぁ、僕は行くよ。手紙はここに置いておけばいいしね」
「では、行くぞ」
影はロイの手をつかみもう片方の手をあげた。
そして二人は闇に包まれ消えた。




