第十三話
シグルドは宿舎に帰ってきた。
「ただいま、っと」
「おかえり...って、大丈夫かい!?」
シグルドが初めてけがをしている所をみたロイはかなり慌てながら近づいていった。
「よゆー、よゆー。見た目ほどけがしてねーよ。ちょっと服がボロくなっただけだ」
「それでもさ!今日の仕事は休みなよ。エグバードさんには僕の方から言っておくからさ」
「ん、どうしようかねー」
バン!
「ロイさん!ちょっといいですか!」
レイナがすごい勢いではいってきた。
「どうしたの?そんなにいそいで...」
「あ、シグルドさんもいたんですね。シグルドさんもお願いがあります」
「なんだよ、ちょっと疲れてんだけど」
「え、あ、すみません。あ、あの。私に剣術を教えてください!」
全力で頭を下げるレイナ。
「えっと、どうしたの?いきなりさ」
「私、思ったんです。やっぱり門番たるもの強くなきゃいけないって。この前の模擬戦を拝見してお二人の戦いをみてお二人を師にしたいと思いました。どうかお願いします!」
またしても全力で頭を下げるレイナ。
「だとよ、あとはまかせたぞ」
「シグルド!まったく、どうして君はそうなんだ。レイナさんが頭を下げてお願いしてるんだから僕たちはそれに答えるべきだよ」
「ロイ、お前はわかっていない。俺はな、人に教える才能はないんだよ」
「そんなのやってみなきゃわからないよ!」
「仕方ない、証明してやるよ」
シグルドは一足先に訓練場へと向かった。
「じゃあ、早速いこうか」
「は、はい。お願いします!」
そしてロイとレイナも訓練場へと向かった。
ロイとレイナが訓練場に着くと、シグルドがこちらに歩いてきた。
「さてと、始めるか。じゃ、まず構えてみろ」
ぶっきらぼうに言うシグルド。
ロイもレイナを見る。
「は、はい」
レイナは剣を構えた。
その構えは典型的な初心者の構え。
「あー、うん。アウト」
「そうだね、ちょっと変えようか」
「えーーー!!」
レイナはかなり驚いた様子。
「そうだな、こうしたらどうだ?」
シグルドは刀を抜き、逆手に構えた。
「こんな感じ」
「シグルド、それは無理だと思うよ」
「それは、ちょっと...」
レイナも少し渋っている。
「ちぇー、じゃ、両手で持てよ」
「うん、それがいいと思うよ」
「こう、ですか?」
レイナは両手で構えた。
それは初めてとは思えないほど隙が少ない構えだった。
「ん、いいんじゃね」
「すごくよくなったよ」
「あ、ありがとうございます!」
「じゃ、本格的に始めますか」
「だね」
ロイも刀を抜いた。
「じゃあ、まずシグルドに適当に攻撃して」
「え、でも、今シグルドさんは疲れて...」
「大丈夫、シグルドならね」
「さっさとこいよー」
シグルドは軽く手を振っている。
「シグルドは反撃禁止ね」
「ヘイヘイ」
「では、行きます」
レイナはシグルドにつっこむ。
キンッ!金属がぶつかり合う音が訓練場に響く。
レイナは慣れない構えにも関わらずなかなか鋭い太刀筋である。
しかし、それでもシグルドに当たる気配はまったない。
「はぁ、はぁ」
「なんだ?終わりか?仕方ねぇな、ハンデだ」
シグルドは片目を瞑り、片足立ちになった。
「ほれ、こいよ」
「くっ、やーー!!」
レイナは再びシグルドにつっこんだ。
レイナの剣を片手でさばくシグルド。
「じゃ、かるーく反撃するぞ」
シグルドは左手で鞘を抜きレイナの剣をはじく。
「あっ」
「努力賞、ってとこだな」
シグルドはレイナに笑ってみせた。




