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002 巻き添え同盟ってなんだっつーの!

 異世界転移直後の危機一髪を免れた鈴木だったが、助けてくれた同郷の男によって、なぜかみぞおちを突かれて、その場で気絶した。

 しばらくして鈴木が目覚めた場所は、巻き添え同盟アジトの一室だった。


「こ……こはどこだ?」


「ここか? ここは地球人が集まるアジトみたいな場所だな」


「はっ? ……って、あんたはさっき俺を気絶させた」


「俺か? 俺の名前は……」


 男は鈴木に佐藤と名乗り、この世界について話を始めた。

 この世界は所謂、数多に存在する異世界転生者がもたらす地球の知識の臨界点に到達した結果、一度滅びた事。

 それでも尚、異世界転生に憧れる地球人達による現代知識無双の試し撃ちの世界と化した事。


「えっ? つまりこの世界は異世界?」


「そうだ、この世界の名前は〈リィンカチートア〉、簡単に言えば異世界転生者が砂場扱いしてる世界だ」


 リィンカチートア。

 自身が現在いる世界の名前を聞いた鈴木は、真っ先にこの言葉を考えてしまった。


(リィンカーネションチート……、異世界転生者の世界……、そのまんまだっつーの!)


「そうだ、君の名を聞いていなかったな」


「俺ですか? 俺の名前は、鈴木 は――」


「それ以上言わなくて良い。鈴木君か、よろしくな」


(なんだっつーんだよ)


「あー言い忘れていたが、このアジトの中では、地球の現代知識の言葉を使っても良い、さっきの君の社用車のこともな」


「はっ? でも佐藤さんはあの街の広場でそんなことを言っていませんでしたよね」


「それはだな……、このリィンカチートアでは、一般モブの一部である我々地球人を含めたモブ達は、異世界転生者共が遺した現代知識の名を発する事は、禁止されているからだ」


 この世界では、異世界転生者が神扱いされている。

 故に、異世界転生者が勝手にもたらした知識は、叡智の結晶であり、世界を滅ぼした厄災でもある。

 だからこそ、現代知識名をアジト外で発する事自体が、大罪になるのである。


「……、俺の社用車は! 俺の社用車はどうなる?」


「鈴木の社用車なら、さっき巻き添え同盟の仲間が回収したよ。車のキー、付けたままだったろ?」


「はい、あの社用車で通勤中でしたから」


 鈴木は数時間前まで、社用車で通勤していた。

 しかし、横断歩道がない道路を横断した歩行者が、鈴木が運転する車に飛び出した。

 歩行者を轢かまいと、咄嗟にブレーキを踏んだ所までは、鈴木は覚えていた。


「なるほど、鈴木。……同情したい気持ちが無いわけではないが、君も立派な巻き添え同盟の一般モブだな」


 佐藤の話を聞き終えた鈴木は、率直に次のように考えた。


(はっ? 巻き添え同盟って、結局なんだっつーの!)


 続く

一応、鈴木の下の名前は、ハジメです。

でもこの物語において、異世界転生者による巻き添えを喰らった地球人達は、漏れなく一般モブとしてリィンカチートアに転移させられてしまうので、ハジメは鈴木としか名乗ることができません。

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