18話:薫子との再会と積もる話1
「中学を卒業したら、もう一つ上の学校が最後で、それ以上、経済的に無理だと両親に言われた」
「考えて見ると、工業専門学校しか、なかったと答えた」
「へーそうだったのと驚いていた」
でも、清水君は、1年の時は、社会と数学以外は、普通くらいの成績だったのが、2年生になるとクラスのベスト10に入った。その後は、急激に成績を上げたよねと言った。
「国立の高専に入れば月謝も安いし、奨学金をもらいながら家に負担をかけさせないために高専を選んだ」
「そう言うと、そんな事情、全く知らなかったと驚いていた」
「英語も家の近所の教会の日曜ミサの後の無料の英語教室で勉強したと説明した」
「そんなに、苦労していたのと言い、全然、そう見えなかったと驚いていた」
「そんな、恥ずかしいこと人に言えるかと、少し語気を荒げて清水が言った」
「薫子が、中学を出て2年後、清水君に電話して高専祭の日程を聞いたよね」
「それを聞いて、高専祭に、女友達と2人で出かけたわ」
「その時、柔道部で、練習風景を見学できると聞いて、見学した」
「まさか、清水君が、柔道に入ってを知らず、乱取り稽古を見ていた」
「その時、キリッと男らしい清水君を見て身震いしたのを今でも思い出すと述べた」
「柔道してる格好いい清水君に、抱かれたいと思った位よと打ち明けた」
「笑いながら、もう遅いよ、なんで、あの時言ってくれなかった話した」
「もし言ってくれたら、一緒になっていたかも知れないのにと言った」
「薫子が、冗談でしょと言い、声を殺して、笑った」
「なぜ、その時、君が好きだと言ってくれないのと薫子が清水の肩をたたいた」
「清水が、人生って、えてして、そんなものかも知れないなと、静かに言った」
「その後、清水が、薫子に、高校卒業して、地元の大手銀行に入行した」
「その時、給料も多かったし優秀な男達が周りにいただろう」
「それなのに、なぜ、銀行で旦那さんを捜さなかったのかと聞いた」
「当時の銀行は、新規口座獲得や投資商品の販売競争が熾烈を極めて体を壊す人も多かった」
「そんなのを見ていると、同じ銀行人と結婚する気になれなかったと語った」
「でも、なぜ、金沢の水道屋の息子さんと結婚する気になったのと薫子に聞いた」
それに対し、入社して4年目、22歳、銀行の社員旅行で金沢の有名温泉旅行へ2泊3日で来た時、偶然にも、隣の部屋で、金沢の商売人の飲み会があった。その時、軽部と初めて会った。
その晩、旅行の宴会の2次会で同じホテルのカラオケで、再び、軽部のクループと一緒になり、軽部が、薫子に一目惚れして、住所と電話番号を教えてくれとせまられて、教えた。
その後、毎週、手紙が届いて、毎年、軽部が休みの日に1、2泊で横浜に来て、会って欲しいと言った。1対1は、嫌と言うと友人と2人で来て、薫子は友人の節子と2人で会った。
「その後、数回、会い軽部の情熱に負け銀行を退社し金沢の軽部商店に嫁いだと打ち明けた」
「つまり軽部さんの情熱に、ほだされ結婚したって訳かと清水が話した」
「そうと静かに答え、でも、その後、ずいぶん後悔したとも語り始めた」
「結婚後、勝部さんを本当に好きで結婚したのかどうかと迷い始めたと話した」
「結婚、当初は、ずいぶん悩んで、いつ別れて、横浜の家に帰ろうかと考えた」
「しかし実家の両親の事を考えると帰れず子供が授かった時、遂に、あきらめたと言った」
「そして子育てと、この店で、手一杯になり、あっという間に40年が過ぎた」
「その間、軽部は、愚痴ひとつ言わず一生懸命に働いてくれ本当にありがたかった」
「そして地元での信用も勝ち得て、少しずつ資産も増えた」
「やがて、軽部の両親も亡くなり、自分の子供達2人は、家を出たと寂しそうに言った」
「その後、冬の寒い日、旦那さんが、路面が凍結し車が滑り電柱にぶつかって亡くなった」
「死因は、心筋梗塞と脳梗塞がだったが、その晩、大雪で、軽部の車が見つからなかった」
「翌日の昼、雪が解け、軽部の遺体が見つかったと知らされた時、大粒の涙を流した」
「そりゃー大変だったねと言うと、首をたてに振った」




