女三人旅 前編
王都を出て、馬車は南の道を進んでいた。
馬車での旅というのは意外と快適だと気付いた。
私一人の旅なら、歩きで十分だった。
でも、そこに同行者が加わることでペースをそちらに合わせなくてはいけない。
体力的にも、三日三晩は不眠不休で歩き続けられる私と二人とでは大きな開きがある。
その点、馬車では完全に馬任せで同じペースで進むことが出来る。
身体を動かせないのはストレスになるかと思ったけど、
ラン兄さんの宿題のイメージトレーニング、
精神統一の座禅、
気晴らしにストレッチと移動時間を簡易的ながら、修練に割けるのはよかった。
セレナはそんな私に気を遣ってか、シンシアさんに馬の扱いを習っていた。
……
「うん、筋がいいです。これなら手綱を任せられますわ」
「ありがとうございます。シンシアさんの教えのお蔭です」
「ふふふ……私としても、ずっと手綱を握りっぱなしというのは辛いですし、
セレーナさんが覚えてくれて、よかったですわ」
私は元々、我流ながら手綱を引くことが出来る。
「じゃあ、当番制にしましょうか、三人で分担すればラクですし」
私は身体を伸ばしながら、そう提案すると――
「あら、それはいけませんわ」
すぐに却下された。




