救いは
新キャラが出ますので名前の読み方を
夜刀神 紳漓 (やとのかみ しんり)です
夜の街は昼とは別の顔をしていた。人の気配が薄くなって、音が遠くなる。
紗夜「…この道、暗い」
添霧「近道っぽいよ!」
紗夜「根拠」
添霧「勘!」
紗夜は何も言わず路地裏へ入った。
街灯は一本だけなせいか壁と壁の間に影が溜まっているように感じる
紗夜「……」
一歩踏み出した瞬間、足元から何かが這い上がる感覚
紗夜「……?」
次の瞬間、勢いよく黒いものが視界を埋めた。
髪の毛のような、影のような…意思を持って動く何か。
紗夜「……っ!」
足首、腕、腰に絡みつく。締めつけは強く、身体が言うことをきかない。
紗夜「……動かない」
声は出たが、落ち着いてはいなかった。
添霧「さな!?」
添霧が叫ぼうとした瞬間、黒いそれが一気に伸びて口を塞がれる
添霧「……っ!?」
声が出ない。腕も引き寄せられて宙に縫い止められる。
添霧(……動けない)
幽霊のはずなのに。
すり抜けられるはずなのに。
添霧「…ん…っ…んん!!!」
もがいても、言霊を使おうとしても、口が塞がれている。
ただ目だけが動いて紗夜を見る。彼女は壁際に引き寄せられていた。
黒い髪のような影が身体を縛っている。
紗夜「……」
紗夜は声を出さず冷静でいられたが、呼吸が浅くなっている。
眉がわずかに寄っている。
紗夜(……怖い)
今までで一番
路地の奥でそれが形を取る。
人の輪郭だが人じゃない。長い闇のような髪に影に溶けて顔がよく見えない。
「……人間」
紗夜「…」
「……こんなところに」
紗夜の喉が小さく動く
紗夜「……放して」
声は震えていないが、目は合わせれない。
「無理だな」
黒い髪がさらに締まる。添霧は歯を食いしばる。
添霧(……何も、できない)
守ると決めた。一緒にいると決めた。
なのに、今は見ることしかできない。
紗夜の手が…ほんの少しだけ震えた。
それを見た瞬間、添霧の中で何かが壊れかける。
添霧
路地裏は静かだった。助けを呼ぶ声も足音もない。
闇はゆっくりと距離を詰める。
救いは…_
闇の何かの冷たい手が、ゆっくりと紗夜の首元へ伸びる。
首筋に触れただけで皮膚の内側が凍るような感覚。
紗夜「……」
背中が粟立ち声が出ない。黒い髪のような影が喉元に絡みつく
_その瞬間
空気が無理やり裂かれる音が響く
「おっと、そこまでや」
次の刹那、闇を裂くように大剣が振り下ろされる。
影の腕が断ち切られた。
血は出ない代わりに、黒い靄が霧散する。
「……っ!?」
締めつけが一気に消える。紗夜の身体が壁から離れ、その場に崩れ落ちそうになると同時に、添霧を縛っていた闇も弾けるように消えた。
添霧「……っ、さな!!」
声が戻る。紗夜は息を大きく吸った。体が少しだけ震えている。
紗夜「……」
その前に、影を斬り裂いた男が立っていた。
褐色の肌。
がっしりした体格。
肩に担がれるはあり得ないほど大きな剣。
「いやあ、危ないとこやったなぁ」
軽い声。
「路地裏で人間締め上げるとか、最近の人外はマナー悪いわ」
闇の人外が距離を取る。
「……介入者か」
「せやせや」
男は肩をすくめる。
「名乗っとこか?俺は夜刀神 紳漓。通りすがりの、ちょっと親切なおっちゃんや」
紗夜 (夜刀神?)
添霧「しん、り、?」
「……」
闇が再び動こうとした瞬間
紳漓「はい、そこまでやで」
紳漓が地面に剣を突き立てると、ドンッと低い音。
紳漓の背後が揺らぎ、そこから甲冑を着た兵士たちが次々と現れた。
槍を構える者。
弓を引く者。
剣を持つ者。
それらが整然と並び、一斉に闇を向く。
紳漓「歩兵、前」
短い指示と共に兵士たちが一歩踏み出す。
紳漓「弓兵、牽制な」
弓が影を射抜く。
実体はないはずなのに、闇は明らかに怯んだ。
「……厄介な能力だな」
紳漓「褒め言葉として受け取っとくで〜」
紳漓はにやっと笑う。
紳漓「ほな、騎兵」
影の奥から馬に乗った兵士が現れる。
その気配に闇の人外は完全に退いた。
「……今日は引く」
紳漓「賢い選択や」
闇は路地の奥に溶けるように消えた。
それと共に、兵士たちは主の一声もなく霧のように消えていく。
紳漓は剣を肩に担ぎ、紗夜たちを見る。
紳漓「お嬢ちゃん大丈夫か?」
紗夜は少しだけ間を置いてから答える。
紗夜「……生きてる」
紳漓「うん、それが一番や」
添霧が紗夜の前に出る。
添霧「…助けてくれて、ありがとう!」
紳漓「お、君幽霊やん」
添霧「みえるのぉ!?」
一瞬で見抜かれた。
紳漓「でもええ感じやな!守る気満々で」
「……守れなかった」
添霧の声がわずかに沈む。紳漓はぽんと軽く肩を叩いた。
紳漓「生きとるやろ?」
紗夜「……」
紳漓「それでええねん」
紗夜はまだ少しだけ顔色が悪い。紳漓はそれを見て少しだけ声の調子を落とした。
紳漓「この辺最近物騒や。人間一人歩かせたらあかん場所やな」
紗夜「……」
紳漓「ま、安心し!しばらくは俺が見張っといたる」
そう言ってまた軽く笑う。
紳漓「家族持ちのおっちゃんはな、子ども泣かす奴が一番嫌いやねん」
紗夜は「……助けてくれて、ありがとう」
その声はいつもより少しだけ弱かったが、紳漓はそれを聞いて満足そうに頷いた。
紳漓「よしよし。ほな次は安全な場所探そか」
紗夜「……ん。」
夜はまだ続いている。
えっと…わかる人にはわかる違和感なんですが
……関西弁が分からないです!すみません!
私がまず関西からかけ離れたとこに住んでるためほんとに関西弁エアプ(?)なんです…ご了承ください




