更なるもの
轟音と共に戦闘が始まり、先頭を走っていた人外が紳漓の一撃で吹き飛ばされる。
だがそれで終わりではない
一体倒れればその後ろから十体、十体倒れればその後ろから百体と湧く
まるで波のように終わりの見えない黒い濁流が通路を埋め尽くしながら押し寄せてくる。
朧偈「多いでござるな……!」
紫暖「えぇ」
紳漓「量で押して来るんやから」
紫暖「えぇ。こちらもね」
その瞬間、紳漓は肩に担いでいた大剣を両手で持ち直すと勢いよく床へ突き立てる
ドォンッ!!!と建物全体が揺れた音に人外達でさえ一瞬動きを止める。
そして次、足元から巨大な影が広がった
紳漓「出番やぞ!お前らァ!!」
影から光が弾けた途端、その中から次々と現れたのは
馬に乗った騎兵、弓を構えた弓兵、槍を携えた歩兵
まるで軍勢のように数百…いやそれ以上の召喚された兵達が一斉に武器を構える。
紳漓は豪快に笑って
紳漓「数で勝負や!!!」
騎兵達が突撃し、歩兵達が壁となり前線を押し上げる
後方では弓兵達の矢が雨のように降り注いで人外達の群れへ無数の攻撃が叩き込まれる
戦場は一気に割とやばめな混戦となった
朧偈「にんにん!」
紳漓「お?」
朧偈は何やら満足げに頷いて両手を組み、妙に気合いの入った忍者ポーズを取った。
朧偈「拙者もでござる!」
紫暖「嫌な予感がするわ」
紳漓「分かる」
朧偈は胸いっぱいに息を吸い込む
朧偈「分身の術!!!」
ボフンッ!!と白煙が辺りに広がった
煙が晴れるとそこにいたのは……
朧偈
朧偈
朧偈
朧偈
朧偈
朧偈(以下略)
とりあえず大量の朧偈
紳漓「増えたァ!!」
紫暖「増えたわねぇ」
朧偈達「「「「「「にんにん!!!」」」」」」(クソデカボイス)
息ぴったりで少し怖い
紳漓「戦力どうなん!?」
朧偈A「知らぬ!」
朧偈B「やってみるでござる!」
朧偈C「気合い!」
紳漓「適当やな!?」
紫暖(血は争えないのね、)
だが少なくとも効果はあった
通路を埋め尽くしていた人外達に対し、今度は大量の兵士と大量の朧偈が押し返していく
数で押される状況ではなく、むしろ押している
紫暖は前線を見つめながら静かに微笑んだ
紫暖「頼もしいじゃない」
紳漓「やろ?」
紫暖「あなたじゃなくて朧偈よ」
紳漓「なんでやねん!!?」
紫暖「貴方は兵士に任せてるからよ!」
朧偈達「にんにん!」(クソデカボイス)
紳漓「返事多いねん!!」
しかし次の瞬間、奥の暗闇から今までとは明らかに違う気配が現れる。
まるで王を迎えるように人外たちが道を開いたように見えた
紫暖「……なにか来るわ」
紳漓の笑みが消え、朧偈達も一斉に動きを止めた。
紗夜サイドではその轟音がまだ聞こえていた
遠く、ずっと後ろから建物全体が揺れているとではないかと思うほどの衝撃が何度も響いてくる
だが紗夜達は振り返らない。
…振り返れば、戻りたくなってしまうから
添霧「…大丈夫かな」
恋冬「……」
昴琉「父さん達の事です」
昴琉はそう言った…言ったものの、声に少しだけ不安が混ざっていた
昴琉「……きっと平気です」
添霧「今の間なんなの」
昴琉「わかりました!?」
添霧「そりゃわかるよ!?」
少しだけ空気が緩み、恋冬も笑うが……その笑顔も長くは続かなかった
歩いた先の通路の様子がおかしい。
壁もら床も、天井も
全てが石のようなものでできているはずなのに、奥へ進むほど植物の根のようなものが増えているような、
添霧「なんかきもちわる!」
昴琉「植物、でしょうか」
壁に触れてみると冷たい。だが微かに脈打っているような感覚
紗夜「……」
恋冬「紗夜ちゃん?」
紗夜「なんでもない」
言いながら手を離す。気のせいだと思いたかった
だが……まるで生き物の中を歩いているような違和感が消えない。
虚だけが黙っていた
添霧「虚?」
虚「……」
添霧「どしたの?」
虚は壁を、黒い根を、脈打つ壁を…そして奥から漂う気配を感じていた
虚「いや、なんか嫌な予感がする」
恋冬「え?」
虚「説明できないけど」
そう言って前を向いたその時
昴琉「止まってください」
全員が足を止めて見た通路の先、そこだけ妙に開けていた。
その巨大な空間は建物の中とは思えないほど広く感じられた
そして、そこにあったものを見て恋冬が目を見開いた。
恋冬「……え」
添霧「なにここ」
昴琉も言葉を失う。紗夜は静かに目を細めた。
広場だったが普通の広場ではない。
そこに並んでいるのは学校の机、病院のベッド、街灯、公園の遊具、信号機、住宅の玄関…墓石等
まるで街の様々な場所を無理矢理切り取って並べたような異様なつぎはぎ空間。
そしてその中央にぽつんと一つだけ古びた病院の個室が存在していた。
恋冬の顔から血の気が引く。
恋冬「……あ」
添霧が二人を見て
添霧「知ってるの?」
恋冬は震える声で
恋冬「ここ……」
一歩、また一歩と無意識に近付いていく
恋冬「私の……病室」
その病室だけがまるで記憶からそのまま切り取られたようにある。
そして、病室のベッドの上に誰かが座っていた。
恋冬「……っ」
その姿を見た瞬間、恋冬の瞳が大きく揺れた。
……それは、あり得ないはずの光景だった
物語に力入れてませんでしたすみません
とりあえずとか創作文章にふさわしくないですよね
そして…紳漓さんの「出番やぞ!お前らァ!!!」ここほんとすきです
セリフめっちゃ悩みましたけど




