父からの過剰供給
同時刻、鞄が重すぎる昴琉は立ち止まっていた。(正確には立ち止まらざるを得なかった)
昴琉「……あれ?」
そっと肩から鞄を下ろすと、ドンッ!!と地面に鈍い音が響く。
昴琉「……」
恋冬「え、なに……?」
添霧「うわ何その音!?武器でも入ってるの!?」
紗夜は鞄を見て静かに言った。
紗夜「……さっきより、明らかに重そう」
昴琉「ですよね!?」
恐る恐る鞄を開けた瞬間、湯気が立ちのぼった。
恋冬「え」
添霧「え」
昴琉「え」
・ぎっしり詰まった炊き込みご飯
・鍋ごと入っている栄養スープ
・大量の干し肉
・保存食・なぜか替えの靴下
添霧「……これ、誰の愛?」
昴琉「わかりませんけど、身に覚えがありすぎて困ります!!」
恋冬「これ、差し入れ……?」
昴琉「差し入れの量じゃないです!!これはもう物資です!!」
添霧は鍋を持ち上げながら真顔で言う。
添霧「鍋ごと入れる人って、差し入れの概念どうなってるの?」
昴琉「父です」(即答)
恋冬「えっ」
昴琉「父です」
添霧「……あ、さっき昴琉が名前呼ばれてる気がするって言ってたやつってこれ?」
昴琉「ですかねぇ!?」
添霧「絶対これ。愛が物理で届いてるやつ」
恋冬「…す、すごい……」
少し引きながらもどこか感心したように恋冬が呟く。
恋冬「お父さんって……こんな感じなの?」
昴琉「もっとです」
恋冬「……」
紗夜は何も言わず、炊き込みご飯を紙の上に広げる。
添霧「……え、さな?」
昴琉「え、ちょっ」
紗夜「……美味しい」
恋冬「えっ」
添霧「えっ」
昴琉「えっ」
紗夜「……出汁、ちゃんとしてる」
添霧「評価そこなんだ」
昴琉「いやそこじゃなくて!!
なんでこの状況で普通に食べられるんですか!?」
紗夜「……温かいうちに食べた方がいい」
添霧「冷静すぎる」
添霧はしばらく炊き込みご飯を見つめたあとぽつりと言った
添霧「これ、お供えみたいに置いたら普通に食べられる?」
昴琉「ちょっと待った幽霊が父の手料理食べるの情報量多すぎます」
添霧「いただきます」
もぐ。
添霧「……すごい。ちゃんと美味しい」
昴琉「でしょうね!?父の味ですから!!」
恋冬はそのやり取りを見て、少しだけ笑った。
恋冬「なんか、大丈夫そうだね」
昴琉「……」
昴琉は苦笑しながら空を見上げる。
昴琉「父さん……差し入れは、ほどほどでお願いします……」
こっちサイド
紳漓「……くしゃみ止まらん」
紫暖「反省して」
朧偈「にんにん!」




