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底辺配信者だけどダンジョンで人気探索者を助けたら、なぜかやべぇ女として大バズりしてみんなから怖がられている  作者: 北町しずめ


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 涼子は咳払いをして真面目な面持ちになると、チラリと美鈴のほうを見やる。それからミヨリに視線を向けてきた。


「ミヨリさんは、近ごろ階層が追加されたダンジョンを攻略しているようですが、新たに出現したダンジョン、『明星の導き』については、どうされるつもりなんですか?」


 ミヨリが新ダンジョンの攻略に乗り出すのかどうか、涼子はそれを聞いてくる。


:そこはワイも気になってた!

:国内の既存ダンジョンで階層が追加されたのと同時に出現した新ダンジョンか!

:どれだけのダンジョンに階層が追加されたのかもまだ把握しきれてないんだっけ?

:国内にある複数のダンジョンで階層が追加されて、これまで最深部だった場所がそうでなくなり、ダンジョンの構造がより深いものになった(父より)

:追加された階層には、これまで見たことないモンスターがいることが判明している(父より)

:そして階層が追加された複数のダンジョンが発見されるのと同時に、新たなダンジョンのゲートも出現した(父より)

:『明星の導き』と名づけられたその新ダンジョンは、多くの探索者たちが攻略を試みているが、まだ誰も最深部まではたどり着けていない(父より)

:だからおとんwwww

:おとん詳しすぎんだろwwww

:おとん説明やめろwwww

:お父さんがドヤ顔で説明してきてウザいwwww(母より)


 国内にある複数のダンジョンで階層が追加されたことや、新たに出現したダンジョンについてコメントが盛りあがっている。


:ていうか、たぶん原因はミヨリちゃんだよね?

:階層の追加されたダンジョンが発見されたのも、新ダンジョンが出現したのも、ミヨリちゃんが『常闇の迷宮』で魔王様を倒した数日後だからなwww

:ミヨリちゃんが魔王を倒したから、国内ダンジョンに異変が起きた!

:確証はないけど、その線が濃厚だって考察されてる!

:ていうかもうそれで確定だろwww

:本人はあんまり気にしてないようだけどwww

:伝説のダンジョンを攻略しただけでも生きた伝説扱いなのに、国内にある複数のダンジョンにまで異変をもたらしたやべぇ女wwww


「そういえば、ダンジョンに異変が起きたのは、なぜかわたしのせいにされてるね」


 確かに複数のダンジョンで階層が追加されたのも、新ダンジョンが出現したのも、ミヨリが仲間たちと『常闇の迷宮』を攻略した時期と重なっている。


 だけど偶然という可能性だって捨てきれない。ミヨリは自分に原因があるとは思っていなかった。


:いやいや、なぜかってwwww

:もう他に考えられる理由ないしそれが正解だと思うのですがwww

:みんなそう思ってるよwwww


 原因はミヨリだと、いくつものコメントが指摘してくる。


 目の前にいる涼子と美鈴も「それしか考えられないだろう」という顔をしていた。


:その階層が追加されたダンジョンをミヨリ様は攻略しまくってる!

:ダンジョンを攻略するたびにスパチャ投げられまくっててワロタ!

:おかんうれしくて笑いが止まらないだろうなwwww

:それで悲鳴をあげてる探索者たちもいたでwwww

:追加階層という価値ある未開の地の情報が、ミヨリちゃんによって次々と暴かれていくwww

:追加階層に出てくる新モンスターたちや、新しいボスもミヨリンの手にかかって瞬殺されてるwwww

:ここのダンジョンも階層が追加されたんだっけ?

:ミヨリが現在いるのは『鮮血の厄災』というダンジョン。吸血鬼系のモンスターが頻繁に出現する。もともとは第十階層までの構造だったが、第十二階層まで追加された(父より)

:おとんwww

:ちょっとお父さん黙ろうかwww


 ミヨリが本日配信を行っているダンジョンについても、茂則が解説してくる。


 コメントにも書かれていたように、最近は階層が追加されたダンジョンに狙いをしぼって配信を行っている。『鮮血の厄災』に足を運んだのも、そういった理由からだ。


:いろんなダンジョンで階層が追加されて、新ダンジョンまで出現したから探索者たちは大混乱だよwwww

:知り合いに探索者いるけど、すげぇ忙しそうだったwwww

:めちゃくちゃ探索者たちの熱気があがってるなwww

:いろんなダンジョンで階層が追加されて忙しいけど、うれしくもあるんだろwww

:追加階層にもぐって、ピンチになった探索者もいたみたいだけどね……

:そこは注意せんといかん!

:新モンスのなかにはカーネイジヴァンパイアのような強敵もいる!

:その強敵、そこのやべぇ子がさっき秒殺してましたwwww

:窮地におちいっていたけど運良く『協力者』が出てきて助かったパーティもいたっぽいぞ!

:ワイもめっちゃ前に助けられたことがある! あのときは本当にラッキーだった!


 国内ダンジョンに異変が起きたことで、探索者業界全体が活気に満ちている。


 それはとてもいいことだ。ミヨリも追加された階層に踏み込むのはワクワクするので、他の探索者たちの気持ちがよくわかった。


:国内ダンジョンに異変を生じさせたことで、ミヨリちゃんは海外勢からも注目されるようになったな!

:なんか海外のニキやネキからはサイコガールって呼ばれてるみたいだぞwwww

:サイコガールwwww

:やべぇ女だからサイコガールだろwwww

:ぴったりの呼び名じゃねぇかwwww

:ミヨリちゃんの配信を見てる海外の人たちのリアクション動画がおもろいwwww

:楽しみにしてた新作ゲームの発売発表なみに良い反応してくれるからねwww

:海外ニキがミヨリちゃんのダンジョン配信を見て奇声あげてたwwww

:「サイコガールッ!」「サイコガールッッッ!!!」って頭かかえながら連呼してるニキがいて吹いたわwwww


 そういえば最近は英語の書き込みもあって、海外の視聴者が配信を見にきてくれているみたいだ。サイコガールと呼ばれるのは不本意だけど、海外の人たちが自分の配信を見て楽しんでくれているのならうれしい。


「複数のダンジョンで起きてる階層の追加や、新ダンジョンの出現は、ゲームでいうところの大型アップデートやDLCみたいなものだから、みんなで楽しめばいいと思うよ」


:アプデやDLCwww

:いくつものダンジョンに異変が起きてて大変なことになってるのにwwww

:ゲームのアプデやDLCと一緒にするなwwww

:腹黒さんとツンデレちゃんが「は?」って顔してるwww


 自分のドローンカメラを見あげながら意見を述べると、ツッコミのコメントがたくさんきた。それから近くにいる涼子と美鈴がポカァンとしている。


 ミヨリは涼子と美鈴のほうを見ると、新ダンジョンについての問いに答える。


「新しいダンジョン『明星の導き』については、まだどうするかは未定ですね」


 そのうち足を運ぶかもしれないけど、それがいつになるのかはまだ決めていない。


 ミヨリの返答を聞くと、涼子は「そうですか」と相槌を打った。そして横目で美鈴のほうを見やる。


 その美鈴は、さっきからソワソワとして落ち着きがない。


 涼子はやれやれと首を左右に振るうと、半歩ほどミヨリに近づいてくる。


「ミヨリさん。もしよろしければ、わたしたちとパーティを組んでもらえないでしょうか?」


「ちょっ……!」


 涼子の提案を聞いて、美鈴がギョッとする。


:腹黒さん正気か!

:ミヨリちゃんとパーティを組むことがどれだけ危険なことか、配信を見たのならわかってるはずだろ!

:もっと自分の命を大切にしなきゃダメだぁぁぁぁ!

:ツンデレちゃんがめっさ動揺しとるwwww

:モンスターよりもミヨリンが怖がられてて草


 涼子からの申し出には、ミヨリも驚いた。同業者からは怖がられているので、まさかパーティを組んでほしいとお願いされるだなんて思ってもみなかった。


 けどこの二人のことはよく知らないので、どう答えるべきか悩む。コメントの反応を見るかぎり、悪い人たちではなさそうだが……。


「……機会があれば」


:保留にしたwwww

:ミヨリちゃん人見知りしてるなwwww

:ムラサメちゃんがここにいれば話は違ったんだろうけどwwww

:ムラサメちゃんを保護者のように言うなwww

:ムラサメちゃんはミヨリちゃんのマネージャーなのでwwww

:うちの子はコミュ力が低いからwwww(母より)


 ミヨリの返事を聞くと、涼子は小さく息を吐いて後ろに下がった。


「そうですか。残念です」


「ちょっと涼子! なに考えて……!」


「あなたが煮え切らないからですけど?」


 勝手な提案をしてきた涼子に、美鈴が食ってかかる。だけど涼子が呆れた顔で言い返すと、美鈴はムグッと唇を噛みしめて黙り込んだ。


「それに今は明日のことで頭がいっぱいなので、すぐには答えられないです」


 明日のことを考えると、落ち着かなくなる。そんな余裕のない状態では、涼子たちの提案をどうするのかも即答はできなかった。


:そうだった! 明日はアレがあるんだったな!

:それで今日の配信は上の空でボーッとしてることが多かったのか!

:明日なにかあるの?

:明日はミヨリちゃんにとって、とっても大切な日だね!(大親友)


 明日なにがあるのか? 多くの視聴者たちと、目の前にいる涼子と美鈴が疑問に思っているようだ。


 ミヨリはこみあげてくる高揚感に頬をほころばせると、カメラを見あげながら口を開いた。


「明日はね、ムラサメちゃんと殺し合いをするんだよ」


:……え?

:ふぁ……!

:ちょっ……!


 ミヨリの発言に視聴者たちは動揺していた。涼子と美鈴も目を見開いたまま硬直する。


 その後、ミヨリは涼子と美鈴に別れの挨拶をすると、追加された階層を猛スピードで突き進んでいき、最下層にいる新ボスを瞬殺して『鮮血の厄災』の攻略を速攻で終わらせた。




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― 新着の感想 ―
え?確定された死の婉曲表現? ムラサメちゃん可哀そう、そして親父は発狂してそう
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