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底辺配信者だけどダンジョンで人気探索者を助けたら、なぜかやべぇ女として大バズりしてみんなから怖がられている  作者: 北町しずめ


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 とりあえずジョウくんを足元の影のなかに落として仕舞い込むと、倒れているデーモンウィザードに向けて影を拡張させる。伸ばした影のなかにズズズズズズッとデーモンウィザードを沈めて、取り込んでいった。


 遠目にそれを見ていた涼子と美鈴は身を竦ませる。綾乃たちと違って、この光景に慣れることはなかった。


:ちゃんと殴り殺したデーモンウィザードを食べてるwwww

:まともにビビってるの腹黒さんとツンデレちゃんだけだwwww

:もうムラサメちゃんたちは人として大切な何かを失ってしまったのでwwww


 ミヨリがデーモンウィザードを影のなかに完全に取り込んだのを確認すると、綾乃は胸を撫で下ろした。


 最後に特大級のトラウマを刻まれたが、どうにか無事に新ダンジョンを攻略することができた。


 綾乃は握っていた剣を腰の鞘に収めて、玲奈を見る。


「あとは、地上に帰るだけですね」


「だね。最後のほうは忘れたいが、かなり貴重な映像を撮ることができたよ」


 玲奈も自分のニセモノたちが惨殺される様子は見てて辛かったようで、微笑を浮かべたその表情には疲労感が蓄積されていた。


 新ダンジョンの最深部のボスを撃破した。そのことを理解すると小春、涼子、美鈴も一安心していた。


 視聴者たちも歓声をあげている。


:新ダンジョン『明星の導き』の攻略完了!

:もう終わっちゃったよwwwww

:おそらく二度と破れないであろう最速攻略記録を樹立したなwwww

:さすがミヨリ様です!

¥50000:ほぉら! 受けとれい!

¥50000:新ダンジョン攻略おめでとう!

¥50000:ミヨリ様、お見事です!

:もうスパチャ投げてる連中がおって草

:新しいダンジョンも神であるミヨリちゃんにかかれば楽勝だったね!(大親友)

:想定していたよりも早く終わってくれてよかった……(父より)

:おとんが誰よりもホッとしてるなwwww


 涼子は手にしていた戦鎚を背負うと、穏やかな笑みを浮かべて、美鈴のほうに向き直る。


「美鈴さん、おめでとうございます。見事にリベンジ失敗でしたね。さきほどの悲鳴をあげていたところは、必ず配信で見返しますね」


「そう言ってくると思ったわ……」


 嬉々としてイジってくる涼子を、美鈴は頬を火照らせながら睨み返す。


:腹黒さんそこはそっとしといてあげてwwww

:腹黒さんなんて幸せそうな笑顔なんだwwwww

:ツンデレちゃんかわいいwwww

:そのグヌヌヌ顔、わたしは大好物ですwwww


 涼子が美鈴にからむと、コメントが沸き立っていた。 


 美鈴は両手に握っていたダガーを腰の鞘に収めると、ムスッとしたままミヨリのもとに歩み寄ってくる。


 ミヨリが不思議そうに目を向けると、美鈴は唇をモゴモゴとさせながら顔をそむけてきた。


「昔のこと……まだちゃんとお礼を言ってなかったわね。あのときは助かったわよ。……ありがとう」


 ひどいトラウマを刻まれたけど、ロックバッファローに襲われたときに助けてもらったのは事実だ。そのことを、美鈴は照れくさそうに感謝してくる。


「どういたしまして。そう言ってもらえて、うれしいです」


 ミヨリがクスリと笑いかけると、横目でチラリとこっちを見てきた美鈴は「うっ」と声をもらして頬を染める。


 そんな素直じゃない美鈴の様子に、やれやれと涼子は首を振っていた。


:ちゃんとお礼言えてえらいwwww

:ついにデレたなwwww

:やっとデレ期に入ったかwwww

:ツンデレちゃんルートに突入したね!

:新ダンジョンに続いて美鈴ちゃんも攻略完了!


 照れている美鈴の姿に、一部の視聴者がテンションをあげている。


 それから小春も無事にダンジョンを攻略できたことに浮き立っていて、自分のドローンカメラに向けて明朗な笑顔を振りまいていた。


「いやぁ~、話題になってる新ダンジョンを攻略しちゃったね、わたしぃ~! またしても伝説的な瞬間の当事者になっちゃったよぉ! しかも今回は気絶しなかった! わたしも成長したよねぇ~!」


:うっっっぜwwww

:この女、調子に乗ってやがるwwww

:気絶しなかったことがうれしかったみたいだwwww

:小春ちゃんには申し訳ないが、気絶するのを期待していた自分がいる!


 小春のうっとうしい態度について、ミヨリのスマホにも書き込みが増えていく。


 新たに出現した『明星の導き』を攻略したことに、視聴者もふくめて誰もがお祝いムードになっていた。


 あとは元来た道を引き返して地上に戻るだけだ。誰もがそう思っていた。


 ……しかし、みんなの盛りあがりをよそに、ミヨリだけは前方にある何もない空間を凝視していた。




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小春ちゃん…ストレスでこんなことに…
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