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底辺配信者だけどダンジョンで人気探索者を助けたら、なぜかやべぇ女として大バズりしてみんなから怖がられている  作者: 北町しずめ


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 ミヨリがスマホ画面を見下ろすと、涼子の失言に一部の視聴者がザワついていた。


 その一方で、槍使いの刺突をさばいていた綾乃は、慌てて後退する。目の前を光の弾が通過していき、数メートル先の地面で爆音が弾ける。


 後方に控えていたニセモノの魔法使いが、魔力の光を放ってきた。


「小春、頼めるか?」


「う、うん!」


 綾乃から呼びかけられると、小春は両手を前に突き出す。ニセモノの魔法使いに照準を定める。だけどその外見のせいで、どうしても迷いが生じてしまう。


 それでも小春は意を決すると、両手から魔力の光を発射した。


 飛んでいった光の弾はニセモノの魔法使いめがけて直進していくが、奥にある壁にぶつかって弾ける。


 ためらったことで攻撃が遅れてしまい、易々とかわされてしまった。


:小春ちゃんの魔法攻撃がよけられた!

:いつもより撃つのが遅かったな……

:みんな攻撃をためらってる!

:相手の見た目が探索者そっくりだから無理もない!

:しかもこのニセモノたち相当強いぞ!

:ムラサメちゃんたちだから対抗できてるけど、並みの探索者なら押されてる!


 コメントに書かれていたように、ニセモノの探索者たちは相当な手練れだ。そんな強敵を相手に攻撃をためらっていたら、やられるのは時間の問題だろう。


 綾乃は早鐘を打つ心音を静めるために、細い息を吐いた。


 あれはニセモノだ。本物じゃない。自分にそう言い聞かせる。


 剣を握り直すと、少し距離を置いたところにいる槍使いを見据えた。 


 覚悟は決まった。やるしかない。


 綾乃は戦意を高めると、表情を引き締める。


 足に力を込めて、駆け出した。


 ――その真横を、赤い閃光が追い越していく。


 鼓膜が震えるような爆音が轟いた。


 さっきまで向かい合っていたはずのニセモノの槍使いが、木っ端微塵に吹っ飛ぶ。


「へ……?」


 なにが起きたのか理解が追いつかず、綾乃は固まってしまう。


:うぇええええええええええええ!

:ニセモノが吹き飛んだああああああああああああ!

:いきなりの衝撃映像にワイ凍結!

:マジでビビった!

:なにが起きたのか、まだよくわかんないのですが……!

:赤い光が飛んできたけど……

:ミヨリちゃんだ!


 気づいた視聴者もいるようだ。ニセモノの槍使いを始末したのは、後方で戦闘を見ていたミヨリだった。


 そのミヨリの手には、杖が握られている。


 漆黒に染めあげられた杖は、一メートルほどの長さで、表面にはたくさんの目玉と口がついている。パチパチ、パクパクと生きているみたいに、目玉と口が動いていた。


:なんか怖い杖を持ってるうううううううううう!

:たくさん目玉と口がついてて、相変わらず怖い!

:いつ取り出したんだ!

:ムラサメちゃんたちがニセモノと戦ってる間に影のなかから取り出してたぞ!

:ミヨリン、ふつうにニセモノの探索者を殺したけど……

:容赦なく粉々に爆殺したな……

:見せ場がなくなる前に急いで吹っ飛ばしたか

:あの、ミヨリ様、その杖は一体……(震え声)


 コメントを視線で読みあげると、ミヨリはクスリと笑いながら、手に持った漆黒の杖をドローンカメラのほうに向けた。

 

「この杖はね、ジョウくんっていうんだよ。ジョウくんの能力を見たら、視聴者のみんなも喜んでくれるんじゃないかな」


 ミヨリはドローンカメラから目をそらすと、今度はニセモノのダガー使いに漆黒の杖を向けて狙いをつける。


 ダガー使いと交戦していた美鈴は、瞬時にその場から離れた。


 ミヨリの握っている杖の先端が血のような赤い光を帯びていき、明滅が起きると、魔弾が放たれる。


 高速で撃ち出された赤い光は、刹那の時間で獲物のもとまで飛来する。


 狙われたダガー使いは横に跳んだ。迫ってきた死の魔弾を間一髪のところで回避する。


 だが、外れたはずの赤い魔弾は半円を描くように旋回して軌道修正すると、再びダガー使いのもとまで舞い戻ってくる。


 避けたはずの魔弾が背後から追尾してきたことに、ダガー使いは驚愕する。再び回避を試みるが、今度は間に合わない。背中に赤い光が直撃し、粉々に吹き飛ばされる。 

 

:あの赤い光は……!

:避けられたのに軌道修正して追尾してきたぞ!

:これ見たことがある!

:前にミヨリちゃんが倒した死神が使ってた魔弾だ……!


 ジョウくんから赤い魔弾を発射すると、思った通り多くのコメントが書き込まれた。


 ミヨリが満足げにスマホ画面を覗いていると、ニセモノの魔法使いがこっちに両手を向けてきた。ミヨリのことを危険な存在だと認識したようで、魔力を込めた光の弾を連続で撃ち込んでくる。


「ジョウくんの能力は、魔弾だけじゃないよ」


 迫ってくる複数の光弾を見ながら、ミヨリは薄笑いを浮かべる。


 光弾の雨が叩きつけられる寸前に、ミヨリは漆黒の杖を横薙ぎに振るった。


 その動作に応じて、ミヨリの目の前にある空間に穴があく。同時にニセモノの魔法使いの真横にも、別の穴があけられた。


 飛んできた複数の光の弾はひらいた穴のなかに吸い込まれていき、連続で爆音を響かせる。魔法使いの真横にあいた穴から、吸い込まれた何発もの光の弾が飛び出してきた。


 魔法使いは自らが放った光の弾をその身にあびて、吹き飛ばされる。


 続けて披露されたジョウくんの能力を目の当たりにして、綾乃たちは絶句する。


 コメント欄にも動揺が走っていた。


:空間に穴をあけた!

:今のも見たことあるぞ!

:闇の商人が使ってた空間に穴をあけるヤツだ!

:なんで使えるんだよ!

:ていうか死神のホーミング魔弾も使ってたよな!

:まさかあの気持ち悪い杖は、どっちの能力も使えるのか!


 大勢の視聴者たちから反応をもらうと、ミヨリはクスリと微笑む。


「もうわかってる人もいるみたいだね。ジョウくんは、死神のホーミング機能がある魔弾と、それから闇のセールス……闇の商人の空間に穴をあける魔法が使えるんだよ。ファンタジー系の漫画やアニメで、倒したモンスターの能力を使う武器があったから真似してみたんだ。視聴者のみんなに喜んでもらえると思ってね」


:やっぱりダンジョンのイレギュラーモンスター二体の能力を有した杖だった!

:見た目はアレだけど、とんでもねぇレア武器すぎる!

:スゴすぎるだろ! キモイから絶対に触りたくないけど!

:性能はスゴいけど、見た目が怖すぎるので触りたくないwwww

:めっちゃ強い杖なのにみんなから拒否られとるwwww

:ていうかミヨリちゃん、闇の商人のこと闇のセールスマンって言い間違えてたwwww

:おかんが闇のセールスマンとか言ってたからwwww


 ジョウくんの能力を説明すると、ミヨリは残りの大剣使いと剣士にも狙いをつけて、二連続で魔弾を発射する。

  

 大剣使いと剣士は慌てて逃げまわるが、赤い魔弾の追跡を振り切ることはできず、粉々に吹き飛ばされた。


 ニセモノとはいえ、探索者そっくりの外見をした存在を一切のためらいもなく惨殺するミヨリに、仲間たちは竦みあがる。


:ニセモノを倒すのにぜんぜん迷いがねぇwwww

:虫でも駆除するみたいにポンポン殺してるなwwww

:腹黒さんですらためらってたのにwwwww

:ニセモノとはいえ、相手は探索者そっくりなんだぞ? なんで平然と攻撃できるんだよwwww

:ちょっとは倫理観とか良心とか、そういったブレーキが働くはずだろwwww

:ミヨリちゃんはそのブレーキが壊れてますwwww

:ムラサメちゃん双子の獣王のときみたいに覚醒できなかったねwwww

:ムラサメ覚醒ならずwwww

:覚醒する前にミヨリちゃんが殲滅してきたwwww


 ニセモノの探索者たちを片づけると、ミヨリはデーモンウィザードを見て笑いかける。




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― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です。 まぁミヨリちゃんゲーム脳なとこ有りますからなぁ…偽物は偽物だから特に思うところはないって感じなんでしょうね。ドライ過ぎるww むしろ相手のデーモンウィザードさんのが「あいつ偽物と…
あぁやっぱり ただ、本物でも躊躇するかは怪しい 叩き潰してから回復させればOKとノータイムで考えそう
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