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底辺配信者だけどダンジョンで人気探索者を助けたら、なぜかやべぇ女として大バズりしてみんなから怖がられている  作者: 北町しずめ


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 未知の第九階層に踏み込んだミヨリは、感知スキルで道を探りながら前進していった。


 視聴者からグレーターデーモンと命名された、新発見の悪魔系モンスターが頻繁に出現してきたが、デコピンと触手で蹴散らしていく。


:さっきからグレーターデーモンが何度も出てきては吹き飛ばされとるwww

:最初に出てきたヤツは視聴者がグレーターデーモンと名づけた瞬間にミヨリちゃんがデコピンで消し飛ばしたの草すぎる!

:俺らが名前決めるのをミヨリちゃんは待っててくれたんやwww

:名前が決まらなかったらもっと長生きできたはずwwww

:瞬殺されるグレーターデーモンをムラサメちゃんが無表情で見てるwww

:まともにビビってるの、腹黒さんとツンデレちゃんだけだwww

:代表は彼氏面で小春ちゃんはロボになってるからねwww

:ていうか気づけばミヨリちゃんの配信が同接三百万いってるぞい!

:おかしな数字になってんなwww

:海外勢がわんさか集まってきてるみたいだwwww

:「ムラサメちゃん覚醒」「二体同時にだおずんだああああああ!」「ムラサメちゃんネタバレやらかす」がトレンド入りしてたwwww

:ムラサメちゃんばっかwwww

:トレンドがムラサメちゃんで埋めつくされとるwwww

:ムラサメ祭りwwww

:「二体同時にだおずんだああああ!」って叫ぶところ切り抜かれて拡散されまくってるwww

:その切り抜きめっちゃ再生されてるなwww

:これもうムラサメちゃん主演女優賞だろwwww


 コメントを読んで、ミヨリはビクッとなった。


 いつの間にか、同接が三百万に達している。未知の階層に踏み込んだことや、新発見のグレーターデーモンが出現したことが、さらに視聴者を呼び込んでいるみたいだ。


 ミヨリは表情を硬くしながら、歩みを進めていく。


 出現するモンスターたちは瞬殺できるので問題ないが、さっきからちょくちょく美鈴の視線を感じるので、気になって仕方ない。


 ミヨリが見返すと、美鈴はすぐにそっぽを向いて目をそらしてしまう。なので、どうしたものかと少しだけ困っていた。


 そんな美鈴の様子を見かねたのか、涼子は呆れたように淡々と語りかけてくる。


「美鈴さん。そろそろ話したらどうですか? そのためにミヨリさんとパーティを組んだのでしょう?」


「それは……」


 涼子が半目になって追及してくると、美鈴は言いよどんだ。


:なんだ?

:ツンデレちゃんどうしたんだ?

:腹黒さんは事情を知ってるみたいだが?


「わたしに、何か話したいことがあるんですか?」


 ミヨリが問いかけると、美鈴はギュッと唇を噛みながら唸った。


 そして観念したのか、美鈴は一度だけ深くまばたきをすると、たどたどしい口調で打ち明けてくる。


「このまえわたし、ダンジョンであなたの触手に釣りあげられたじゃない」


「そうですね。フィッシュしましたね」


:フィッシュしましたねってwwww

:まぁそうだけどもwwww

:会話の内容おかしいけど、真面目な話みたいだからムラサメちゃんたちがツッコむのを我慢してるなwwww


 コメントにも書かれていたように、綾乃たちは唇を結んでグッと堪えていた。


「……あなたと会ったのは、あのときが初めてじゃないのよ」


 美鈴の言葉に、そばで話を聞いていた綾乃たちは目を見張る。


:なん……だと……!

:てことは美鈴ちゃんはミヨリちゃんと面識があったということか!

:ずっと昔に二人は出会っていた……!


 コメントのほうでは、大げさに驚いたリアクションをする書き込みが散見された。


「数年前、カメラをまわさずに、わたしがソロでダンジョンにもぐっていたときのことよ。不運にも、ロックバッファローっていうイレギュラーなモンスターと遭遇してしまったの」


:あの全身が岩石でできた牛か!

:めっちゃ硬くて突進力がパッないモンスだ!

:それが階層を無視して出てくるからな!

:ロックバッファローは堅牢な防御力と、突進を活かした高い攻撃力を兼ね備えたイレギュラー。足も速いので、遭遇すれば逃げるのは困難とされている(父より)

:いきなりおとんが説明してきたwww

:隙を見ては説明してくるおとんwwww


 美鈴が名前をあげたモンスターについて、コメント欄に情報が書き込まれる。探索者であれば、なるべく遭遇したくないモンスターのようだ。


「それでロックバッファローに追いかけまわされて、ダンジョン内を走っていたのよ。そしたら、まだ探索者になって日が浅いような、新人の女の子に出会ってしまったの」


:新人の女の子……

:まさか……

:それって……


 視聴者たちも、だいたいの予想はついたみたいだ。


「わたしですね」


 ミヨリが答えると、美鈴はうなづいた。


「えぇ、そうよ。それでその……わたしはあなたに助けられたんだけど……」


:ミヨリちゃんが助けた!

:え? てことはミヨリちゃん、新人のときにイレギュラーのロックバッファローを倒したってこと!

:マジかよ!

:あの硬くて突進力がある岩石牛を新人のときに倒してたとか恐ろしすぎる!

:ミヨリちゃんはこの世に誕生したときから最強だった!

:ん? でも助けてもらったんなら、なんでツンデレちゃんは気まずそうにしてるんだ?

:酸っぱいものでも食べたような顔してるな

:助けてもらったいい話じゃないのか?


 美鈴はスーハーと深呼吸をして、いったん心を落ち着けると、自分のなかにある苦い記憶を呼び起こした。


「あのときは、本当に驚いたわ。新人っぽい女の子の影から、触手が生えてきたんだもの。その触手がロックバッファローの上半身と下半身に巻きついて宙づりにすると、紙でも破くみたいに引き裂いて、いろいろとぶちまけてきたんだから」


:助けてもらったいい話かと思ったら、怖い話だったwww

:あれ? おかしいな? ミヨリちゃんが人助けした話を聞いてたはずなのに、なんで鳥肌が立ってるんだろう?

:頑丈なロックバッファローを引き裂くとか、ミヨリちゃんの触手パワーどんだけだよwwww


「それで、あなたのことをモンスターだと勘違いしたわたしはパニックになって、悲鳴をあげて逃げ出したわ」


「そのときの噂がひろまって、探索者のフリをして影を操る魔物が出現するとか、言われてましたね」


 涼子が補足すると、美鈴は申し訳なさそうに「えぇ、そうね」と肯定した。


:モンスターwwww

:ミヨリ様モンスターと勘違いされてたwww

:いやまぁ、イレギュラーのモンスが触手で引き裂かれるところを見せられたら、そう勘違いしちゃうのも仕方ないwwww

:逃げ出したのは残当としか言いようがないwwww

:ツンデレちゃんはミヨリちゃんにトラウマを刻まれていたのかwwww

:ここにもミヨリちゃんにトラウマを刻まれた犠牲者がいたwwwww

:わたしの娘はモンスターだったwwww(母より)

:そうですwwww

:違うって否定したいのに、そう言い切れないのはなんでだろうね?

:ミヨリちゃんがモンスターみたいなものだからだよwwww

:なんならモンスターより怖いよwwww


 コメントでは、完全にミヨリがモンスター扱いされている。というかモンスターよりもひどい扱いをされている。


 ちょっとだけムッとなってしまう。


 かたわらで話を聞いていた玲奈は「さすがミヨリくんだね」と感心している。小春は普通にドン引きだ。


 綾乃は悲しげな眼差しで美鈴のことを見つめると、おもむろに歩み寄っていった。


「美鈴さんの気持ちはよくわかります。わたしもミヨリと初めて会ったときの記憶は、恐怖に染まっていますから」


「そういえばあなたも、はじめてその子と会ったときは大変だったみたいね」


 ミヨリと遭遇したときの恐怖を共有しているようで、綾乃と美鈴は気持ちを通じあわせていた。


:ムラサメちゃんめっちゃ共感しとるwww

:ムラサメちゃんは初めてのミヨリちゃん体験のときに怖くて気絶しちゃったからねwwww

:代表はなんで感心してんだよwwww

:小春ちゃんが「うわぁ~」って顔してるの草


「あのとき美鈴さんがおびえながら連絡をしてきて、ろれつがまわらない状態で経緯を説明してきたときは、おもしろすぎて腹筋がイカレそうでした。ほとんど何を喋っているのか、わからなかったので」


「しょ、しょうがないじゃない! 怖かったんだから!」


 フフッと涼子が笑ってからかうと、美鈴は耳を赤くする。


:腹黒さんwwww

:やっぱこの人いい性格してんなwww

:照れてるツンデレちゃんかわええwwww




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