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底辺配信者だけどダンジョンで人気探索者を助けたら、なぜかやべぇ女として大バズりしてみんなから怖がられている  作者: 北町しずめ


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 ミヨリが動き出そうとしているその一方で、綾乃は恐怖を感じつつも、思考をフル回転させていた。


 このままではまずい。おそらく何かよくないことが起きてしまう。それでみんなが悲鳴をあげることになる。


 そんな最悪の未来の訪れを防ぐために、双子の獣王をどうにかしないといけない。


 綾乃の脳裏に、これまで戦ってきたボスたちや、配信で見た探索者たちの冒険の様子や、最近プレイしたゲームのことがよぎっていく。


 数多の映像が頭のなかで再生されていくと、まるで天啓を授かるように一つの閃きが降ってきた。


「……同時だ」


 綾乃は無意識に、ポツリとつぶやく。


 近くでそれを聞いていた玲奈は目の前の獣王に気を配りつつ、綾乃に視線を向けた。


「綾乃? 何か言ったか?」


「同時だぁ! 二体同時にだおずんだああああああああああああああああああああ!!!」


 玲奈はビクッとした。いきなり綾乃が鬼気迫る形相で叫んできたから引いた。


:ムラサメちゃんwwww

:どうしたムラサメwwwww

:ホントに突然どうしたムラサメwwww

:恐怖でおかしくなったかwwww

:言葉づかいがおかしくなってるwwwww

:だおずんだああああってなんだよwwwww


 呆気に取られていた玲奈だったが、すぐにハッとする。綾乃の言いたいことを理解すると、意識を切り替える。


 小春、美鈴、涼子も驚いた顔をしていたが、綾乃の言葉の意味を把握すると、真剣な面持ちになった。


「小春くん、美鈴くん、涼子くん。難しいだろうけど、こっちの獣王のことを気にかけて戦ってくれ。わたしと綾乃もそっちの獣王のことを気にかけながら戦う。そしてタイミングを見計らって、同時に倒してみよう」


 玲奈が呼びかけると、三人はうなづいた。


 先ほどと同じように美鈴は涼子と連携を取って、復活した白色の獣王を相手にする。殴りかかってくる拳や、噛み砕こうとしてくる牙を、軽快な動きでかわしつつダガーで斬りつける。


 涼子も獣王の動きを観察しながら、戦鎚を叩き込んでいった。だけど命までは取らないように力加減を調整する。


 獣王が体毛を黒色に変えると、即座に小春が光の弾を撃ち込んでダメージを与える。


 そして綾乃も玲奈と連携を取って、もう一体の獣王と交戦する。


 玲奈が雷撃をエンチャントした剣で斬りかかると、獣王は体毛を白色に変えて跳びすさり、斬撃をかわしてきた。


 獣王の背後に回りこんでいた綾乃は、握りしめた剣を素早く打ち込もうとするが……。


「グガアアア!」


 雄叫びをあげると獣王は身体をひねり、ぶっとい腕を振るって後ろにいる綾乃を薙ぎ払おうとする。


 綾乃は腰を落として、姿勢を低くした。強風と共に獣王の腕が頭上を通りすぎていく。


 綾乃は立ちあがって踏み込んでいき、烈火怒濤の斬撃をお見舞いする。いつも以上に力がみなぎり、迅速に剣を振るうことができた。


:なんかムラサメちゃん強くなってないか!

:動きがキレッキレだ!

:ミヨリちゃんへの恐怖でゾーンに入ったwwww

:どんなゾーンの入り方だよwwww


 綾乃たちの活躍にコメントが賑やかになる。これは手出ししていいものかどうか、ミヨリは判断に迷っていた。


 その間に、綾乃は美鈴たちが相手をしている獣王の状況を確認する。


 物理攻撃を無効化する黒色の体毛になっていて、満身創痍で相当なダメージを受けている。


 綾乃が相手をしているもう片方の獣王は、魔法攻撃を無効化する白色の体毛になっていて、先ほどの連続斬りを受けて弱りきっていた。


 綾乃は小春に目配せをする。


 小春は無言のままうなづくと、両手に魔力を集めていき、美鈴たちが手傷を負わせた獣王に狙いを定める。両手から魔力の塊である光の弾を放った。


 小春の放った光の弾が黒色になった獣王に直撃するのとタイミングを合わせて、綾乃も眼前にいる白色になった獣王の胸部に向けて刺突を繰り出す。


 爆音が弾ける。黒色になった獣王は、光の弾がトドメとなって崩れていく。


 そして綾乃の剣は分厚い筋肉を突き破り、白色の獣王の胸部を貫いていた。


 綾乃が剣を引き抜くと、白色の獣王は背中から地面に倒れていって、土煙を舞わせて転倒する。


 綾乃は警戒心を強めたまま、倒れた二体の獣王に目を凝らす。


 数秒ほど、ボス部屋に重たい沈黙が流れつづけた。


 どれだけ待っても、双子の獣王たちが復活する気配はない。


「……どうやら、綾乃の読みが当たっていたようだね」


 玲奈が肩を上下させながら話しかけてくる。


 その声を聞いて、ようやく綾乃は緊張感から解放された。


 二体同時にトドメを刺さないといけない。それがこの双子の獣王を不死身たらしめていたギミックだった。


 ミヨリが見下ろしているスマホ画面では、興奮した視聴者たちの書き込みがコメント欄を埋めつくしていた。


:マジで倒したあああああああああああ!

:まだ誰も倒せてないボスを倒しやがったあああああああ!

:何がスゴいって、無敵のボスを初撃破したのもスゴいんだけど、ミヨリちゃん抜きで倒したのがスゲぇよ!

:ムラサメちゃんが恐怖でパワーアップして自力で倒したwwww

:ミヨリちゃんへの恐怖心でムラサメちゃん覚醒wwww

:覚醒の仕方がおかしいwwww

:もうミヨリンがいなくても、みんな大丈夫だってことだね(しんみり)

:いい最終回だった(拍手)

:今までありがとう、ミヨリちゃん(空を見あげながら)

:まだ終わってねぇよwwww

:ミヨリちゃんとお別れしようとすんなwwww

:あの獣たちは二体同時に倒せばよかったってことか?

:そういうことだ! ムラサメちゃんがミヨリちゃんへの恐怖に追い詰められて、ギミックを見抜いたwww

:獣王たちの攻略方法が判明した!

:めっちゃ貴重な映像が撮れたな!

¥50000 双子の獣王:ムラサメちゃんやるじゃん!

:モンスターとしてスパチャすんなwwww

:まだ誰も倒せてないボスのギミックを見抜くだなんて、ムラサメちゃんすごすぎるぞ!(父より)

:娘がボスを倒したときよりもおとん喜んでないかwwww


 高速で流れていくコメントを読みながら、ミヨリはムムッと唇を曲げる。見せ場がなかったことに不満がつのる。




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ミヨリの不満が貯まる→発狂 ミヨリが活躍する→発狂 命の保証だけはあるぞ頑張れミヨリ以外!
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