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ファンタジーハンター  作者: Who
歴史を回す者
28/49

その2

「始めまして」

「ええ、お待ちしてました」


数日後、『桜花戦線』に二人の客人がやってきた。以前に、俺たちに会いたいとメッセージを送ってきた人達だ。


「折山光だ。で、こっちのがーー」

「渡辺静也です」

「『桜花戦線』の代表をやっています、ナツメです」


お互いが名乗り合い、そうしてようやく、ナツメの後ろにいた俺たちに視線が向いた。


「それで…そちらの人が?」

「ああ、そうですね。紹介しましょう。この二人が、我々の『ドラゴンを倒した者』です」

「なるほど、お前さんらか。ドラゴンを殺したってのは」


じろり、と無遠慮な視線が投げられる。視線の主は確か、さっき折山光、と名乗った方か。

鍛えられた筋肉と、大きめの体躯から来るイメージは、武人、とでも言うべきか。

対して隣の、渡辺と名乗った方は、俺たちと背丈があまり変わらない。年齢も同じか、少し上と言ったところだろうか。


「いい顔つきだ。お前さん、名前は?」

「須野裕二、です」

「お前さんは?」

「マークっす」


俺たちの名前を聞き、尚もじろじろと視線を上下させた後。にやりと、その武人は破顔した。


「なるほど。二人とも、いい目をしている」

「……驚かないんですね?」

「驚く? 何にだ?」

「俺たちが倒した、ってことにです」

「ああ、そのことか。確かにお前さんたちを初めに見た時はまさか、と思ったさ。が、これだけ地上に不思議なことが起こりゃあな。それぐらい、不思議でもなんでもなくなるさ」


ガハハ、と大声で笑う武人に、若干気圧される。ちらりと、武人の隣をみると、疲れたような顔をしている人が一人。なんだか、この二人の関係性が見えてきたような気がする。


「ま、それ含めて話をしようじゃねーの」

「ええ、そうしましょう。ではこちらへ」


二人を奥に案内するために、ナツメが振り返る。そのナツメの背中に、武人が声をかけた。


「と、待った。ナツメさん、って言ったか? あんた、普段はそんな喋り方じゃないんだろう? 普段どうりで頼めるか」

「ちょ、折山さん。流石に失礼ですって!」

「…驚いた。まさか見抜かれるとは。…いや、ならば楽にさせてもらおう」


そうして改めて、ナツメが歩き出す。

俺たちはその二人をつれて、シェルターの作戦室までやってきた。

当然、現状応接室なんて作る余裕はないから、どんな客人が来ようと、案内するのはここしかないだろう。

それぞれが席についたところで、最初に口火を切ったのは、武人。


「さて、んじゃまずは聞かせて欲しい。お前さんたち、裕二とマークつったか。二人は、ドラゴンを傷つけることはできたか?」

「え、っと?」


言葉はわかる。が、質問の意味がわからないとはこのことだろう。

突然のこともあってか、俺も、隣に腰を下ろしたマークも言葉に詰まってしまった。


「折山さん、それじゃ流石にいきなりすぎますって」


ちょいちょい、と武人の袖を引きながら、渡辺さんが注釈を入れてくれる。

それを聞いてようやく合点がいった。


「ドラゴンを直接傷つけられる人と、そうでない人がいる、ですか」

「その通りです。僕たちの中では、僕と、この折山さんしかいませんでした。他の方は、どうあっても傷つけられないようで……」

「それは、えーと。同じ武器を使っても、ってことっすか?」

「はい。そもそも、僕たち二人と、他の方の武器は特に変わりないんです。それなのになぜか僕たちだけが傷をつけることができました。お二人はどうです?」

「俺は…、ナイフを突き刺すことができました。でもそれはーー」

「いやでも俺は突きさせてないんすよね。なぜだか弾かれてしまったっす」


マークも同じ、と言おうとしたところで、本人から遮られる。それも否定の形で。

が、確かにそうだ。言われてみれば、マークのナイフは未使用だった。それに、刺したのなら地面に落ちているわけがない。


「そうですか。ではやはり、何か法則のようなものがあるのでしょうか…?」

「それは、こちらでは初耳だ。が、確かにその話を聞く限りでは、その説明も頷ける」

「ナツメさん。他にこの『桜花戦線』で傷をつけた人はいませんか?」

「すまないが、わからない、というのが答えだ」

「ですよね……」


話が止まってしまったので、その法則についてはまた考える、ということになった。データが少ない今の状況では、それも仕方ないことなんだろう。

そうして次は検体の話に、というところで、非常事態をしらせる放送が、地下シェルター全体に鳴り響いた。

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