やめとけ
「おいうp主ィ!!!!!!」
「はい」
「シルバーウィーク4話以上投稿はどうした!!!」
「いやーあの、ちょっと私もテストがね?近づいてきてまいりまして。ちょっと勉強を……」
「うるせえ!!!!約束は守れやボケナス!!!!!!!!!」
「ギ……ギャアアアアアアア!!!!!!!すいませんでしたアアアア!!!!!!!!」
ジラは宿屋の少し小さいエントランスのような場所で近くにあった椅子に座って俺に説教を続けていた。
目の前にいるジラは風呂にでも入ってきたのだろうか、濡れている髪の形を櫛で直しながら、俺の言った言葉を反芻してきた。
「ふーん。あなたが人助けをしたんだ。それで1時間もかかってしまったと」
そう言ってくるジラに、俺は未だに痛みが残る頬をさすりながら答えた。
「ああ、そうだな。その解釈で合っている。それと「あなたが」ってなんだ。ジラの俺に対する評価は困ってる人も助けない薄情な野郎ということなのか?」
「そうに決まってるじゃないの。あと無駄に人を心配させるクズとも考えているわ」
「えぇ………」
「ま、そんなことはどうでも良くて」
「どうでも良くねえよコノヤロー」
「明日の予定を決めましょう」
「フルシカト!?」
「うるさい」
「ハイ」
すっかり心がしぼんでしまった俺をよそに、ジラは咳払いをして俺に質問した。
「あなたは、明日どこか行きたい所でも無いの?」
「…………というかさ。なんでジラは俺と一緒にいようとすんの?俺ら出会ってまだ間もないっすよね?」
「だって、一人クエストをこなしたりしてるの暇だし」
「友達は?」
「いないわよ。私だってまだここに来て間もないんだから」
「あっそっすか」
「何よその冷めた返答。あのね、そもそも私は今17歳だけど、7歳の頃から10年間も親の監視の下人目につかない所で修行をして、ようやく5日前くらいにここ王都エルミットにやってきたんだから、友達なんて居なくて当たり前よ」
「ふっ、それはただの言い訳だ!」
「また前を見えなくさせてあげましょうか?」
「すみませんでした」
「というか、そう言うあなたこそどうなのよ。私に今みたいな言葉を浴びせてきたからには、ちゃんと友達はいるんでしょうね?」
「えっそれは(困惑)……」
「ほーら、いないじゃない。結局私とあなたはしばらく行動を共にする運命にあるのよ。残念だったわね」
「………」
「それで、あなたは明日はどこか行く場所があるの?」
「……………あるには、ある」
「どこよ」
「王城」
「へ?」
俺は朝になって流石に王城に血塗られた服で行くのはまずいと思い、ジラと共に新しい服を着て、王城までやって来た。
なぜかジラは服を選んでいる途中に本当に王城へ行くのかと訝しげな目で聞いてきたが。
「おお〜〜、やっぱ王城はいつ見てもデカイな。ん?どうしたジラ、脚震えてるぞ」
「………どうしたも何も無いわよ。だって………だって………」
「本当に王城に行くとは思ってなかったんだけど!?」
「キュ!?」
「大きな声出すなって。スライムもびっくりしちゃってるぞ?」
「いやいやいやいや、え!?どういう経緯でどうなったらこうなったのよ!?」
「おいおい落ち着け落ち着け。何言ってるかわかんねえよ。ヒッヒッフー、ヒッヒッフー」
「ヒッヒッフー、ヒッヒッフーってこれ出産する時の呼吸法じゃない!!まだ私は妊娠もしてないわ!!!」
「あら、違ったか」
「違ったかじゃないわよ!!違うに決まってるじゃない!!!!」
「おー怖い怖い、スライムちゃんあのライ女怖いでちゅね〜〜」
「ライ女って誰のことよ!!!!」
「ライオンみたいにガオーガオーと吠えてきてすぐ攻撃してくる女。略してライ女!ぶっ!!!!」
「ふざけんな!!!!」
「ぐあっ、脛がッ!!」
俺が失言をしてしまいジラにお仕置き(殺意入り)を食らっていると、王城の扉がゆっくりと開き始め、タキシードに身を包んだクソジジ………おじいさんが現れた。
「おお、ヒダカ殿!よくぞいらっしゃいました!」
「あ、クソジ……ハイトさん!おはようございます!」
「ん?気のせいか。おっとヒダカ殿、その傷は?」
「ああ、この傷は……」
隣にいるこの女がつけました、と言おうとしたら、ジラは足を踏んでこう囁いて来た。
「言ったら許さないわよ」
「ピエッ」
「……ヒダカ殿?」
「ああ、すいませんすいません。この傷はですね、昨日盛大に転んでしまって、その時についてしまったものなんです」
「なるほど、そうだったんですね。………それと、隣のお方は?」
「あら、それでは自己紹介しましょうか」
そう言うと、彼女は微笑みながら1歩前に踏み出し、手を体の前に添えた。
「私の名前は、ジラ・アルテクスです」
「アルテクス……まさか貴方は」
「ええ、ここから4つほど都市を跨いだ所にあります帝都アルテクス、そこの帝王エルギス・アルテクスの長女でございます。以後、お見知り置きを」
「……なるほど。私はここ王都エルミットの次期王位継承者、ベルン・エルミット様の専属執事である、ハイト・ソリンツでございます」
「よろしく」
「よろしくお願いいたします。………それでは、中をご案内いたしましょう。私についてきてください」
「分かった」
「分かりました」
「キュイ」
「なぁ、ジラって本当に帝王の娘なん?」
「ええ、そうだけど。それがどうかした?」
「いや、思ってる以上にこの世界にとって尊大な地位にいたからさ、びっくりしちまって」
「そうなの?ま、あなたは今まで通りの感じで私と接してくれて全然いいけど」
「なんでだ?」
「だって、私も誰かと話していたいもの。私があなたと最初に会った時に上の名前しか出さなかったのも、私の社会的地位を知ったあなたが私から逃げ出してほしくなかったからよ。
……ま、あなたは帝都アルテクスすら知らないバカだから、その心配もなかったみたいだけど」
「…………」
俺はやっぱりこの世界だとバカ認定されるのか。
「それより、あなたハイトさんからヒダカ殿って呼ばれてたじゃない。あなたの本名も教えなさいよ」
「お、そうだな。俺の本名はヒダカ・カイトだ。ジラみたいなかっこいい名前じゃなくてすまん」
「いいわよいいわよ。あなたの本名が知れただけで、私は満足だから」
ジラと小声でそんなことを話しながらハイトさんについていく。
すると、ハイトさんはめちゃでかい扉の前で立ち止まり、隣にいた警備員みたいな人と何かを話すと、警備員はこっくりと頷いて扉をゆっくりと開いてくれた。
「ここは、王族や我々のような王族に仕える人々の食事場がメインではありますが、稀に平民の表彰、王位継承式などが行われる、「光琉の間」となります。どうやら今は朝食のお時間みたいですね」
「おぉ〜〜」
「……すごいわね」
「キュ〜〜」
その室内は、ズラーッと規則的に並んでいる白い丸テーブルを3つの椅子が囲んでおり、その椅子にたくさんの人達が座ってそのテーブルに座っている人と話しながら朝食を食べていた。
どう考えても俺みたいな平民が来る場所では無い。
そう思いながらよーく目をこらして室内を見てみると、見知った顔が見えた。
ベルンだ。
俺は周りを気にせずゆっくりと歩き始め、ベルンに近づきながら言葉を投げかけた。
「おーい、ベルン!」
「あ、カイトさん!来てくれたんですね!」
ベルンはパンをしっかりと飲み込んでから満面の笑みで俺に話しかけてきた。
「ちょっと!急に歩き始めないでよ!」
「あ、すまんね。肩たたきするから許して」
「なんで肩たたきなのよ!?」
「あれ、お気に召さなかった?」
「お気に召さないに決まってるでしょうが」
「待ってくださいお二人とも!年寄りには突然の行動は禁物なのです!」
「「あ、ごめんなさい」」
「……………」
思わず先走ってしまったことをハイトさんに謝罪すると、隣にいたベルンがなぜか少し上ずったような声でこちらに質問をしてきた。
「あのー、カイトさん?そこの女性は……」
「ん?あ、確かに初対面だったな。よし、それじゃ紹介しよう。こいつはなんか帝王の娘らしいジラ・アルテクスだ」
「ジラ・アルテクスです。よろしくお願いします」
「よ、よろしくお願いします……」
「ん?どうしたベルン。顔が真っ赤だぞ。具合でも悪いのか?」
「いえいえ、そういうことでは、な、ないですよ!?」
うーん、どういうわけか非常に怪しい。
そう思っていると、ベルンは早歩きで俺の耳に顔を近づけ、囁いてきた。
「ジラさん………可愛くないですか?」
「え?俺にはライオンみたいな女にしか見えないが」
「どういう感性してるんですか!そうじゃなくて………その………」
「なんだ、一目惚れでもしたのか?」
「……………………………はい」
俺はベルンのその言葉を聞いた瞬間、口から反射的にある言葉が飛び出した。
「やめとけ」
「え?」
「いいか、これはベルンの今後を心配して言っているということを忘れないでくれ」
「はい?」
「もし、あいつと交際なんてしたらな、お前の身に何が起こるか分からない。あいつは普通に暴力を振るってくる。俺はギルドに行ってるハンターみたいなやつだから耐えられてるが、ベルンみたいな一般のお方はあいつのパンチ1発で意識を失うと思う。もちろんそれでも良いってんなら俺は別にいい。だがその代わり、確実に人生の健康寿命は20年以上短くなるということを覚えてくれ」
「え?え?え?何言ってるのかわかんないんですけど……?」
「ちょっと」
「……………あ」
「丸聞こえなんだけど」
「やべ」
「あんた私のことなんだと思ってんじゃコラァァァァ!!!!!!」
「まずい!ハイトさん!5分位で戻ってくるから、出口の位置教えてくれ!」
「え!?ま、まずはさっき歩いてた廊下に出て左に曲がり、その先のT字路を右に真っ直ぐ行けば着きます!」
「ありがとうございます!」
ハイトさんの言葉を聞いた瞬間、俺は一目散に出口に向かって走り始めた。
「待てこのクソ男!!!」
「よっと!」
目の前にある白テーブルをヘッドスライディングみたいな体勢でジャンプして避ける。
しっかり受け身も忘れずに。
対してジラはただの走り跳びでテーブルを越えてきた。
相変わらずの脚力だ。
まずは光琉の間から出て左に曲がる。
ジラは俺についてきながら、呪文みたいな言葉を唱えていた。
「リーインフォース………!」
おい、あれゴブリンキング戦で使ってたんだけど!
確かあの言葉放った瞬間からジラの身体にオーラが出て異常に強くなってたはず。
そんな俺の考えは見事的中してしまい、ジラの身体からオーラが出始めた。
それと同時にジラの脚の速さが倍以上に跳ね上がり、俺との距離がグングンと縮まっていく。
そしてとうとう、誰かから強い力で肩をガシッと掴まれた。
俺はゆっくりと後ろを振り向く。
その後ろには、悪魔みたいな顔で笑っているジラの姿があった。
「こんの……やろぉぉぉぉ!!!!!!!」
「ヒェァァァァァァ!!!!!!!!!!」
カイト達が光琉の間から出ていってしばらくの間、王城にはある男性の悲鳴と女性の怒号が響き渡っていたという。
いてて………。うp主もカイトもボロボロになっちゃったよ。
そういえば、実はこの話が今のところ1番文字数多いって知ってる?
その割にはほとんど物語進んでないんだけど。
このままだと完結に1000話くらいかかるんじゃないの。




