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慧斗と栄斗  作者: 白 月虹


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7/12

7話 知らない事

※男性の恋愛を含みます。

苦手な方はご注意下さい。

「慧斗!俺のレポート手伝って!」


慎が両手を合わせて懇願する。


「それ、今日中のやつじゃん!」


「間違えて明後日までのやつ、先にやってたー。」


呆れる慧斗。

今日は栄斗と夕飯の約束をしていたため、断りたかった。

だが、慎は大学一年から仲良くしている友達。無下には出来なかった。


「…はぁ。待ってて、約束あるから、遅れるって電話してくる。」


「ごめん!でも助かる!」


慎は申し訳なさそうに言う。


しばらく待つと、電話を終えた慧斗が戻ってくる。


「ごめんな。相手怒ってた?」


「いや。向こうも、サークルのミーティング?で、まだ出られないらしいから。」


「ふーん…。」


慎の心の内は面白くなかった。

慧斗が一喜一憂するその相手と、喧嘩になればいいと思っていた。


「じゃあ、早くやっちゃおう。」


「図書室行くか。」


「そうだな。」


──────


少し遅れて、約束の場所へ栄斗はやって来た。


「ごめん!遅れたー。」


「良いよ!俺が、先に時間ズラしてもらったし…。」


三日しか会っていないのに、長い間のような感覚だった。


「レポート出来た?」

「うん!栄斗は?」

「俺は…。」

「……。」


二人の会話は尽きなかった。

そして、朝まで深く体を重ねた。


次の日、慎がストレートティーのペットボトルを慧斗に渡した。


「レポートのお礼…。」


「お、サンキュー。でもあと10本だな!」


「そんなに!?」


笑い合う二人。


「あのさ…。慧斗…彼女出来たの?」


「は、あ、ぇ?」


「いや、なんか楽しそうだし、疲れてるし…。少し前までそんなじゃなかったから…。」


(…慎には嘘つきたくないけど…。相手が男とか、引かれるのも嫌だな…。)


悩んだ慧斗は曖昧に答える事にした。


「親友に久しぶり会って、すげー楽しくて、空いてる時は気づいたら遊んでる。って感じなんだ!」


「へー…。」


慎の胸にチクリと刺さる。


「じゃあさ、俺ともたまには遊ぼうよ。」


「おう!そりゃもちろん。」


栄斗と再会してから、慎との交流は大学だけになっていた事に、慧斗も気づいた。


慧斗のバイト先の本屋の隣のコンビニて、栄斗はバイトを始めた。


帰りは、慧斗と栄斗、花凛が駅まで一緒に行くのが習慣になっていた。


「じゃあまたね。」


「気をつけてな。」

「またね、花凛ちゃん。」


そして二人は自然と、慧斗の部屋へ向かっていた。


激しく求め合うと、また遅めの朝に目が覚める。


(あー、また…ダメだとわかってるのに…。)


そんな事を思いながら、目を覚ました慧斗は栄斗を起こす。


「栄斗!授業、間に合う?」


「んー。…間に合わない…。」


そう言うと、ゴロンとまた横になる。


「俺、午後から行くよ。」


「…慧斗も休めば?」


目を瞑ったまま言う。


「そんな訳にいかねーよ!」


栄斗のおでこを軽く叩く。


「俺は――」


起き上がる栄斗は、何か言いたそうな言葉を飲み込んだ。


「何?」


「ううん…。」


その目は何か訴えているように見えたが、慧斗にはわからなかった。


「うちにいる?」


栄斗の頭を撫でながら言う。


「…うん。明日は行くから、今日も泊まっていい?」


「うん。」


口付けを交わす。もう数え切れない程してるのに、どこかぎこちなくて、離れ難かった。


夕方、慧斗が大学から帰ってくる。


「ただいまー。」

「おかえりー。」


栄斗が慧斗のリュックの外側ポケットにある、ストレートティーに目が行く。


「あれ?紅茶なんて飲むの?」


「うん、大学入ってから。」


「…知らなかった…。」


栄斗は小さく呟く。


「ん?なんか言った?」


慧斗が聞くと、栄斗は首を振った。

少し空気は重くなっていくのを感じていた。



つづく。

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