2話 ぎこちない会話
※男性同士の恋愛を含みます。
苦手な方はご注意下さい。
「はぁ、はぁ…」
ドサッと栄斗は慧斗に覆いかぶさる。
「栄斗!お前いい加減に!…」
栄斗を揺さぶると、規則正しい寝息が聞こえた。
「…はぁ……お前、マジで…。」
慧斗は頭を抱え、その寝息を聞きながら自分も眠ってしまった。
「――慧斗、慧斗!」
揺さぶられて慧斗は目を覚ました。
「栄斗…?」
「ごめん、レポート出すの忘れてて、大学行ってくる!シャワーと…適当に使って!」
「あ、あぁ…。いってらっしゃい。」
「行ってきます!」
慌てる栄斗と、何が何だかと言った慧斗。
栄斗がアパートの部屋を出ると、しばらくして慧斗は顔を赤くしていた。
「なんだこれ…一緒に暮らしてるみたいじゃん。それに…」
指で唇をなぞる。
「あいつ、覚えてるかなぁ?」
夕方になると栄斗が帰ってきた。
「ただいまー」
「おう、おかえり…。」
「え!部屋キレイ!」
乱雑に脱ぎ捨てられた服や、食べた後の食器やプラスチックゴミが片付いた部屋を見て、栄斗が言った。
「泊めてもらった、お礼…。」
「サンキューな!でも良かった居て。
スーパーで唐揚げ買ってきた!慧斗好きだろ?」
「うん…。ありがとう、べ、別に気使わなくていいの…。」
伏し目がちに、慧斗は言う。
「久しぶりに会ったんだから、もっと一緒に居たいじゃん!」
カラリと笑う栄斗。
その言葉がどういう意味か、慧斗は聞きたいけど、聞けなかった。
唐揚げをつまみに、ビールを飲む二人。
会話は弾み、会ってない期間が埋まるようだった。
「そろそろ帰るわ。」
「え?明日も休みだろ?
泊まっていくのかと思ってた。」
「いや…着替えないし……。」
思い掛け無い栄斗の言葉に、慧斗の心臓は早鐘を打っていた。
「俺の服着れるだろ?」
「あ、あぁ…。」
「……俺、覚えてるから。」
栄斗が顔を赤くして言う。
「は?え、…何を?」
明らかに動揺する慧斗。
「昨日、俺たち…。」
栄斗は舌なめずりをすると、慧斗の顔は一気に赤くなる。
「バカ!あれは酔ったいきおいだろ?」
「……そだね。」
気まづい沈黙が落ちる。
「俺、やっぱ帰るわ。」
そう言うと、慧斗は振り返らず、その場を後にした。
「バカはお前だよ。バーカ。」
一人の部屋で栄斗は呟いた。
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三日がたち、慧斗は落ち着かない様子だった。
(何の連絡もねぇ…まぁ俺もしてないけど…。どうすれば良いんだ?)
大学の教室で、一人考えていると、慎が話しかけてくる。
「けいちゃーん!最近元気ないけど、どうしたの〜?」
「んあ?…なぁ…。」
深呼吸する。
「久しぶりに会った友達と…気まづく、なって…慎なら、どうする?」
「んー…理由はわかんないけど、慧斗から連絡してみれば?」
ニカっと笑う慎に、慧斗の気持ちは和らいだ。
帰り道。
(電話…いや、メッセージ送ってみるか…)
【この前の事は、】
(ダメだ!いきなり過ぎだ…。)
「…今までどうしてきたっけ…。」
空を見上げていると、着信が入る。
慌てて見ると…【栄斗】からだった。
「っ!!」
震える指でボタンを押す。
「もしもし?」
『慧斗?…栄斗だけど。』
「うん。どうした?」
自分でもわかるくらい、声が震えていた。
『また、飲みたいな。と思って…。』
「そうだな…また、皆で会うか。」
『…二人は?』
慧斗の心臓がバクバクする。
栄斗に聞こえそうな気がして、胸を抑えた。
「あ、あぁ。もちろん、良いよ…。」
『じゃあ、今夜あいてたら、この前の店行かね?』
「うん。平気…。」
『そっか…。』
少しの沈黙。
『じゃあまた後で…。』
「あぁ…じゃあ。」
通話が切れる。
(…一回帰って着替えよ!)
慧斗の足取りは軽やかになった。
つづく。




