表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
慧斗と栄斗  作者: 白 月虹


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/12

10話 向き合う覚悟

※男性同士の恋愛を含みます。

苦手な方はご注意下さい。

慧斗は教室から窓の外を眺めていた。


(もう、栄斗の事がわからない…。)

「はぁ〜…。」


「でかいため息。」


ひょこっと慎が視界に入る。


「え?ごめん。そんなだった?」


「うん。何?喧嘩?」


務めて明るくする慎の声は、少し震えていた。

そんな慎に話す事ではないと思っていたのに、誠実でありたくて、簡単に話し始めた。


「喧嘩って言うか、話が噛み合わなくて…。

恋愛の価値観?が違ってて…。」


「そっか…でもそれって――」


慎は親身になって相談にのる。

二人が上手くいくとしても、慧斗が幸せならと…。


一週間後。

栄斗のバイト先のコンビニから出ると、凛花が居た。


「花凛ちゃん!こんな遅くに危ないじゃん!」


「大丈夫。向かいのファミレスに彼氏待たせてるから!」


「それにしても…俺、男だよ?」


「ふふふ、私、信用されてるから!」


花凛は、指をVとすると、ニカっと笑って見せた。


「そうだ!あのね、慧斗がバイト辞めたの。メッセージしても忙しいしか言わないし!」


「…そう、なんだ…。」


「貴方たち、上手くいってるのかと思ってたけど、栄斗くんは遅番になるし、慧斗は辞めるし、どうなってんの!?」


「え?上手くって…え?気づいて…。」


動揺する栄斗。


「わかるよー!慧斗の表情見ればねー。

私、元カノですから。」


得意げな花凛に、声を出して笑う栄斗。


(あ…こんな風に笑うの久しぶりだ。)


「元気なら良いんだけど…あまり言葉にしないヤツだからさー。」


花凛に背中を押されたような気がした。


「明日、慧斗のとこ行ってみるよ。」


「うん。慧斗が辞めたから私サボれない。って言っといて!」


「りょーかい!」


二人は顔を見合せ笑うと、別れた。


次の日。

栄斗は慧斗の部屋のドアの前で、緊張してチャイムを鳴らせないでいた。

そんな栄斗に、後ろから慎が声をかけた。


「あのう…。その部屋に用ですか?」


栄斗が振り向く。

慎は栄斗を見てすぐにわかった。この人だと…。


「あ、俺、ここの人の……友達で、友達が心配してて…えっと、訳わかんねーな…。」


「ここじゃあ、なんなので、あちらへ…。」


動揺する栄斗を連れて、慎は少し離れた自動販売機の前に来た。


「俺、慎って言います。慧斗と同じ大学です。」


慎は自動販売機でストレートティーを買った。


「っ!」


栄斗の心の中はザワついた。

そのストレートティーがジワジワと心を蝕まれていく。


「俺は、栄斗。幼なじみで親友!慧斗が本屋辞めたって聞いて、何でかな?って…。」


「あー、…言ってないんだ。」


「はぁ!?別に俺は気にしてないけど、友達がな!」


慎は、栄斗を見据える。


「あのさ、あんた、慧斗の事どう思ってんの?」


「はあ?好きだし、付き合ってるし!

お前こそなんなんだよ!」


「はぁ〜。…慧斗、頭良いんだよ。システムエンジニア志望なのに、光化学の教授から大学院来ないかって誘われるくらい。」


大きなため息と共に、慎は説明した。


「そう、なんだ…知らない。」


「でしょうね。あんたに言っても無駄そう。

将来の話とか出来なそうだもんね。」


「…将来…。」


いつも栄斗とは昔話ばかりだった。


「で、論文を書いてる。頑張り過ぎして、今、体調壊した。」


「…言ってくれれば良いのに…。」


「はっ。言えないだろ?あんた自分の事ばっかなんだろ?」


栄斗は、はっと顔を上げる。


「お前に、愚痴ってるのか…。

まぁ、そうだよな。俺への不満は尽きないだろうよ。」


「あんたってホント…。

慧斗は…好きだって、一度だけ泣いてた。

羨ましいと、思ったよ。」


「お前…慧斗の事…。」


「大丈夫だよ。ちゃんと振られてるから。」


慎は寂しさが混じった笑顔を向けた。


その笑顔が、未来の自分に見えて顔を背けた。



つづく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ