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№2仲間(友)たちと

友と・・・。

 

 一週間ぶりに目を覚ました環は、自ら連絡をとり静と綺羅々と散歩へと出かけた。

 碧は休学中のツケで、大学のゼミ補習に追われ参加出来ないことを悔やんでいた。

 日差しも穏やかで温かく、春の訪れを感じる日差しの中、3人は歩いた。

「アオちゃん・・・メールで残念がっていたよ」

 環はちょっぴり残念そうにでも嬉しそうにそう言った。

「ふふふ、こういう日ぐらいサボればいいのに」

 同じく補習に追われている静は、環から電話を貰った直後、理由を作ってキャンセルしたのだった。

「真面目ですからね。彼」

 綺羅々はふたりの対比をくすくすと笑う。

「そこがアオちゃんのいいとこだから」

「・・・たまちゃん。それって私が不真面目ってこと言いたいの・・・」

「わわわわ、そういうつもりじゃなくて」

「・・・なくて?」

「まあまあ」

 冗談で掛け合う2人を宥める綺羅々。


 この時期、さげもん(お雛様に飾る吊るし雛)巡りで賑わう沖端町を抜けて鬼童町交差点に差し掛かったあたりで静は環に、

「大丈夫?」

「うん。大丈夫・・・かな」

 その返事はどことなく自信がなさそうにみえた。

「そっか」

「ちなみに静さんのプランは?」

「ゆめモールでショッピングしてコメダ珈琲でランチして商店街のスイーツをはしご・・・」

「却下ですね」

「なんで」

「ごめん。しずちゃん。人混み多いし、ちょっとハードかも」

「そう」

「でしょ」

「ありがとう。楽しい事いっぱい考えてくれて」

「・・・そんな」

「そうだっ!」

 環は目を輝かせた。

「なに?」

「私、クリームソーダ食べたい」


 カランコロン。

 カウベルが来客を告げる。

 ここは喫茶凪や。

 今日は閑散としていて客はいない。

 マスターヒロシが入り口をみた瞬間、驚き叫んだ。

「ちぇんじまいらいふっ!のみなさんっ!!!」

「こんにちは」

 3人はぺこりと頭を下げる。

「あわわわ・・・」

 ヒロシは冷静さを装い、

「いらっしゃいませ」

 と、いつもより1トーン声を下げて渋い声をだしてみた。

「3人いいですか」

 静は右指3本を立てて尋ねる。

「もちろん」

 彼は笑顔とともに、彼女たちを席へと案内する。

「ありがとうございます」

 綺羅々の感謝の言葉に、

「とんでもありません。マドモアゼル・・・それにしても皆さんお疲れ様でした。私3daysツーア全部行きましたっ!素敵無敵、感動をありがとう!」

「とっても嬉しいです」

 環は素直な気持ちが言葉にでる。

「・・・不躾ながら一般人に戻ったみなさんにお願いするのは申し訳ないですが、よかったら、一緒に写真を撮っていただけますか」

「勿論」

「ありがとう家宝にします」

「そんな」

 束の間の写真撮影が終わると、マスターはスキップを踏みながらカウンターへと戻って行った。

 3人はテーブルの上にメニュー表を広げる。

「何にする?」

「私、クリームソーダ」

「知ってるわよ。綺羅々さんは?」

「抹茶パフェで」

「私、パンケーキで・・・じゃ」

 静が手をあげて注文を頼もうとすると、

「メロンソーダ、抹茶パフェ、パンケーキかしこまり~。今日はマスターのおごりなんで、まだまだ注文しちゃってください」

「いやいや」

「そんなそんな」

「ねぇ」

「遠慮しないでください。私に推しの喜びを与えてくれた。皆さん・・・ちぇんじまいらいふには感謝しかありませんから」

 

 コトリ。

 テープルの上には、クリームソーダと抹茶パフェ、パンケーキが置かれ、おまけにマスターおすすめのピザと高菜ピラフが追加されていた。

「いくらなんでも食べきれないわよ」

 静は思わず口にする。

「私が頑張って食べます」

 綺羅々は高菜ピラフを食べはじめる。

「ほむ(ほう)。これ、おいひい(おいしい)」

「嬉しいなあ」

 綺羅々の食べっぷりにヒロシは目を細める。

 小食の静はピザの一切れを持って肩をすくめた。


 環はスプーンでアイスのひとすくいし口へと運ぶ。

「おいしいなぁ」

 しみじみ言う彼女に、

「それはよかった」

 マスターは満足気に頷く。

 アイスを半分ほど食べ、さくらんぼを口の中で転がしながら、残りのアイスをスプーンでメロンソーダに溶かし込む。

「これが美味しいんだ」

「へぇ」

 と静。

「楽しいね」

 環はそう呟く。

「いつでも来れるよ」

 静はそう返す。

「そうだね」

 環は笑った。



過ごす時間。

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