№3徐福伝説を求めて
やれることはやろう。
この日、碧の運転する車には環、静、綺羅々を乗せて佐賀県の国道を走っていた。
碧は数日前に免許を取ったばかりで、それはもう初心者ならではの恐ろしい運転で、スリルを楽しむ環をのぞく2人に恐怖のどん底を味あわせていた。
「ちょっと、もう勘弁」
口元をおさえる静に、
「般若波羅蜜多心経・・・」
と般若心経を唱える綺羅々、
「どしたの。ふたりとも」
環は平然な顔をして言った。
道の駅に立ち寄り、フードコーナーで昼食を済ませた4人は再び車へと乗り込んだ。
「嫌だな~」静。
「激しく同意です」綺羅々。
「めっちゃ楽しみ」環。
「たまちゃん、それアトラクションみたいな言い方」静。
「ですね」綺羅々。
「しーちゃん、綺羅々さん、アオちゃんの運転F1ドライバーみたいで面白い」環。
「なんか、ごめん」
碧は申し訳なさそうに頭を垂れた。
それからしばらく車を走らせ、4人は佐賀市の金立町にある徐福長寿館を訪れる。
「ここって?」
車から降りた環がそう尋ねると、
「かつて秦の始皇帝より命を受け不老不死の秘薬を探して、この地に訪れたのが徐福」
碧は長寿館を目にして言った。
「その人が・・・何?」
さっぱり要領の得ない環は首を傾げる。
「その不老不死の薬を発見した徐福はいまだに命を長らえている・・・かもしれない」
静はそう続けた。
「そんな~馬鹿な」
環は笑った。
「でも、事実は小説より奇なり・・・永遠の命もしかしたら環さん、探してみる価値はあるかと」
綺羅々は真面目な顔をして言った。
「んな伝説を真に受けて~」
と言う環に、3人の人差し指が彼女に向けられた。
「たまちゃんがそれを言うかな~」静。
「それな」碧。
「・・・へ?」環。
「環さんも生ける伝説ですよ」綺羅々。
「それはyouも」
と、今度は綺羅々が指をさされる。
館内を見学し、スタッフに話を聞き、4人はそれっぽい場所を巡ってみたが、収穫は全くなかった。
17時を回り、日が暮れ、
「そろそろ帰ろうよ~」
環は真剣になんらかの手がかりを探そうとする皆に言った。
「きっと」
碧は呟く。
「絶対に・・・」
静は唇をかみしめる。
「あるはず」
綺羅々は諦めようとしない。
そんな3人に環は自分だけに聞える声で、
「ありがとう」
呟き、
「さっ、さっ、帰ろう。私もうお腹すいちゃった」
と続けた。
それが・・・だとしても。




