№2初詣
三社詣で。
ちぇんじまいらいふは、一瞬の眩い光を放ち伝説となった。
解散3daysドームライブは、0時00分の元日からYohtubeで無料配信され世界中の人たちが知ることになった。
その半年という活動期間もさることながら、メジャーデビュー一か月にして解散、ドームツアーとまさに規格外のアイドルとして良きも悪きも話題の的となっている。
そして、それはお膝元柳川ならばなおのことである。
ふたりが歩きだすと、一人また二人と後ろに連なり行列が出来あがった。
「・・・・・・」
「マズイな」
そこへ俊二と和志がやって来る。
「はいはい。皆様ちぇんじまいらいふのリーダー環は、もう一人の女性です。そっとしておいてくださいね~。今、当海苔屋では、ちぇんじまいらいふ限定スペシャルグッズを用意しております。よければ、こちらへ~」
そう言う俊二の迫力に押されて、人々はぞろぞろとはけていった。
「正月こそ働けっ!」
和志の余計な一言が炸裂し、場が微妙な空気となるが父子はサムアップし、ふたりに合ドヤ顔をみせる。
「もう」
「愛だな」
ふたりは沖端の町にある水天宮に最初のお詣りを済ませると、掘割沿いを通る水辺の散歩道を歩いて、25分かけて日吉神社に着いた。
鳥居の正面には大きなお多福のお面が覆われており、その口をくぐって本殿への参拝となる。
お金を賽銭箱に投げ入れ、鈴を鳴らす、二礼二拍手そして神様に感謝と願い事を伝える。
心のどこかで、それは叶わないと思いつつ碧は、
(ずっと環といたいです)
と願った。
環は静かに祈り、ただひとつ、
(神様、ありがとう)
と伝えた。
それから神社近くの掘割沿いの東屋で、ちょっとだけ休憩をし、再び水辺の散歩道を歩きはじめた。
再び30分かけて町中にある三柱神社へと着いた。
ふたりは欄干橋を渡り、長い参道を進んで本殿で参拝をした。
「さて三社詣り無事終了だね」
「ああ」
「そうそう。なんか奢るよ」
「環、お年玉貰ったんだよな」
「まあな」
「実は俺も貰ったんだよね」
「わー大人なのに~」
「あのね。俺一応学生なの」
「そっか」
「だから、一応社会人の環さんに奢ってもらおうかな」
「よかろう・・・って、一応って私、この前までアイドル、それに海苔屋の看板娘ですから~」
「はいはい」
ふたりは思わず顔を見合わせて笑ってしまった。
「なに食べる」
環が尋ねると、
「そうだな~なんでもいいよ」
「じゃあ、私、クリームソーダっ!」
「・・・今、冬だぞ」
「いいじゃん」
「好きだね~・・・じゃ、凪や行くか」
「うん」
ふたりは腕を組んで歩きだした。
日常。




