№8ファイナル☆ライブⅠ
ついに。
29日、東京ドーム。
実はこの日は大物ロックバンドの公演が予定されていたのだが、メンバーの脱退により活動休止が宣言され、急遽空白となったところで、運よくちぇんじまいらいふのライブを食い込ませることができたのだった。
この尽力はマスターヒロシによるところが多大なのだが、みんなは知る由もない。
前日入りしたちぇんじまいらいふはドームの圧倒的な大きさに驚き委縮する。
ぷるぷると震える環を見て、
「怖いのか」
と碧が尋ねる。
彼女はぶんぶんと首を振って、
「これは武者震いだよ」
とVサインをしてみせた。
「そっか」
と碧は笑う。
「やるだけのことはやったわ」
静はステージ見据え、自分達がその場に立った姿を想像する。
「人事を尽くして天命を待つですね」
綺羅々は頷いた。
「・・・さぁ、リハーサルをはじめよう」
「はいっ!」
17時開演。
ステージ袖でその時を待つ3人。
「ねぇ、しーちゃん、もしお客さんが全くいなかったらどうしよう」
環は言った。
「んーな、ことないわよ。でも、その時は笑って歌うわよ」
「そうです。私たちは艱難辛苦を乗り越えた柳川のご当地アイドルですよ」
「うん」
ステージのはじまりを告げるカウントダウンが流れる。
3人は互いの手を重ね、天につきあげる。
「Goっ!ちぇんじまいらいふっ!」
ドン!
盛大に花火があがる。
そして一瞬の暗転からのステージ上にスポットライトが当てられ3人の登場に、観客は声援が地鳴りのようにドームを揺らした。
それはご当地アイドルが全国デビューした直後解散するという前代未聞の所業ながらも、待ちわびた満員の人たちだった。
「わぁ」
見たこともない超満員の観客に環は言葉を失う。
「だよね」
静は笑い、
「心配御無用」
綺羅々は大きく手を振って声援に答えた。
すぅと息を吸い込み、環はマイクを強く握りしめた。
「みなさん、ありがとうございます!私たちご当地アイドル改め日本のいや世界のちぇんじまいらいふです!」
環の言葉にどっと観客が湧く。
「3日という短い間ですが・・・」と静。
「全身全霊をもって挑みます」と綺羅々。
「それじゃあ、いっくよ~!」3人。
センターには綺羅々が立ち、マイクを刃にみたてて上段の構えをとる。
「一閃幾千まいります」
一閃幾千 作詞CМL 作曲AО
幾千年続く因果を今ここに解き放て
白刃の元にすべてをさらせ
滅!
一閃!
WОH WОH WОH WОH
振りあげた拳をさげるな
前を見据えろ
今がその時
好機!
煌めきの一撃
一閃一閃幾千
躊躇いを捨てて斬り捨てろ
過去との決別
未来との邂逅
また会える日がきっと来る
その日を信じて
斬
※(刻まれた歴史が朽ちることもない。刻まれた絆が消える事はない。絶対、絶対に、なぜなら私達ChangeMyLifeなのだから)
勝鬨をあげろ!
一閃一閃幾千
WОH WОH WОH WОH
振りあげた拳をさげるな
前を見据えろ
今がその時
一閃一閃幾千
一閃一閃幾千
掴め一番星
ついに彼女たちのラストライブがはじまった。
はじまる。




