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№5謝罪行脚のち

そうなるよね。

 

 環たち、ちぇんじまいらいふが最後の活動へ向けて、練習に専念する中、碧はみんなでそう決断したその日からちぇんじまいらいふに関係する各社人たちに、電話やメールで解散、今年限りでの活動を伝えた。

 そして翌日からは、レコード会社、芸能会社、バンドメンバーなど様々な場所、人へ謝罪行脚をしてまわった。

 解散理由を問い詰められたりもしたが、彼は一言「申し訳ありません。責任は私が背負います」の一点張りでひたすら頭を下げまくったのだった。


 そして、数日が経ちようやく謝罪行脚が終わったところで、碧はふらりと喫茶「凪や」へと訪れた。

 カランカラン。

 カウベルが鳴り、マスターのヒロシは扉の方を見る。

「いらっしゃま・・・おっ、ちぇんじまいらいふのジャーマネ!この度は全国デビューおめでとうございます」

「・・・あ、ありがとうございます・・・はあ」

 彼は軽く会釈をし、つい溜息がでてしまう。

「どうしたんだい。そのやつれた顔とうかない顔は・・・今からが大事な時だろ」

「・・・ですね」

「注文は?」

「コーヒーお願いします」

「あいよ」

 ヒロシはカウンターでコーヒーを淹れはじめる。

 碧はソファに腰かけ天井を仰ぐと動かなくなった。

 ・・・・・・。

 ・・・・・・。

「・・・コーヒーできたよ」

「・・・あ・・・はい」

「冷めちまうよ」

「ごめんなさい」

「おいおい、今や天を掴むほどの勢いのスーパーアイドルのジャーマネさんが過労だなんて・・・ま、今が大事な時だもんな」

「・・・大事な時・・・か」

 碧はそう呟くとコーヒーを啜った。

「なんだい含みのある言い方だな」

「いえ」

「気になるなぁ」

「・・・・・・」

「今、溜め込んでいるその思い。この喫茶マスターヒロシに話してみないかい」

「何故?」

「ま、そうだろな」

 と、ヒロシは笑った。

 つられて碧も笑ってしまう。

「人生の先輩として相談くらいは乗れるかなと思ってな」

「・・・そうですね」

 碧はじっとコーヒーカップを見つめた、黒い液体の中に自分の顔が映る。

「ちょっと待ってな」

 ヒロシは特製の高菜ピラフを手早く調理場で作ると、コトリと彼の座るテーブルに置き、対面に座った。

 調理されたピラフからあたたかい煙があがり、碧の鼻腔をくすぐると張り詰めた緊張から解放させられる。

 思わずぽろぽろと涙があふれだす。

「解散するんです」

「はっ!ちょっと何言ってるのか分からないが・・・今からだろう。君たちは」

「そうなんです・・・だけどこうするしかなかった」

「・・・・・・」

 ヒロシは腕組みをし押し黙る。

 碧はスプーンを右手に持つと夢中で高菜ピラフを食べはじめた。

「ま、のっぴきならない事情があるのは分かる・・・けど、俺たちファンの気持ち考えているか」

「・・・・・・えぐっ・・・えぐっ」

「・・・それでも・・・か」

 碧は泣きながらかき込み過ぎて、喉に詰まり慌ててお冷を飲む。

「ずいまぜん」

「だけど、ちゃんと「ちぇんじまいらいふ」とお別れできる機会(ライブ)は設けてくれるんだよな」

「・・・それは」

「解散を決めて各社各自に謝り、今後のことで頭がいっぱいってとこか」

「・・・・・・ごめんなさい」

「俺は彼女たちに夢を描いていたんだよ。すげぇどでかい花火打ちあげてくれよ」

「・・・はい」

「うん、な頼むよ」

(とは、いえ、放り出すようなアイドルに甘い業界ではないよな)

 ヒロシは悔し涙を流す彼を慮った。



それから・・・。

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