№5水上ライブ~前編~
全国デビューに向けて。
その翌日、「白秋祭×ちぇんじまいらいふライブいざ開宴っ!」と銘打ち、亀の井ホテル横の足湯広場でライブを行った。
朝10時に現場入りした彼女たちは、水上舞台を確認する。
「狭っ!」
環は思わず言ってしまった。
「2×3mってところか・・・」
碧は顎に右手をあて思案する。
今回のライブは、広場の前に広がる外堀に、移動式水上舞台を設置することになっていた。
「歌って・・・踊るには・・・」
静は呟く。
そう、歌って踊るアイドルには、この舞台は狭すぎた。
しかも、全国デビューに先駆けての新曲の初披露、そしてこのライブをメインとしたPV作成も兼ねていた。
「でも、やるしかないね」
綺羅々は舞台を見つめ言った。
「そうだな・・・その舞台に立ってみて」
碧は3人に伝える。
「百聞は一見にしかずね」
静は頷き、
「じゃ、いってみよー」
と、環は岸辺から舞台に向かってジャンプした。
乗った衝撃でステージが激しく揺れる。
「ありゃ」
「本番は四隅を固定するそうだから、安定はするそうだ」
碧は言った。
「ふうん」
綺羅々はぽんと両足を揃え飛び乗った。
「だとしたら、この狭い中でいかにパフォーマンスできるかよね」
静は跨いでステージに立つ。
「どうだ?」
尋ねる碧に、
「どうと言われても・・・」
3人の言葉の歯切れは悪い。
「いつものようにやったら(掘割に)落ちちゃうね」
環の言葉に2人は頷いた。
「それでもやるのが・・・」
両腕を組んで渋い顔をしていた碧がおもむろにそう言うと、
「私たちちぇんじまいらいふっ!」
3人は苦笑いで返した。
環、静、綺羅々は自分達で綿密に本番の動きを話し合い、水上舞台でのフォーメーションや動きを確認し合う。
これより着々と準備は進み、15時ライブ開宴の時を迎えた。
足がかりとなるか。




