[第7話]土魔法術士、温泉を見つける。
「ご主人さまぁ〜、朝ですよぉ〜。起きてくださぁ〜い」
天幕の向こうから聞こえるターリスの声に目が覚めた。
体を起こそうとするも、腕を引っ張られてしまう。
横を向くと、そこには一糸まとわぬ姿で横たわる王女エレノア。
まだ意識はないのに俺の腕をギュッと抱きしめて離そうとしない。
やれやれ、このままでは起き上がれそうにないなあ。
それにしてもでかい胸だ、と改めて思う。
俺の腕だって決して細くはないが、エレノアのおっぱいには完全に埋もれてしまうな。
「起きましたかぁ〜。入りますよぉ〜?」
「ターリス、待っ――」
「失礼しますねぇ〜。――きゃっ、きゃあッ!? ご、ご主人さま!? こ、ここ、これはつまりっ、そのっ……」
「おい、少し落ち着け」
入ってくるなり、俺たちの姿を見てひどくうろたえるターリス。
入り口から差した朝日の光のせいか、ターリスの大声のせいか、エレノアも目を覚ましたようだ。
「ふああ、もう朝ですの……?」
大きく伸びをするエレノア。
高く掲げた腕に引っ張られて、白くハリのある、それでいて揉むと柔らかい、ふたつの大きなメロンも上に持ち上がって……。
非常に目のやり場に困る。
「ふふっ、私の寝顔見られてしまいましたね。おはようございます、エアルトさまっ。……はむっ」
まだ半分寝ているのか、エレノアはとろんとした目で微笑む。
と、そのまま俺に抱きついてきて、キスをした。
何度も吸い付いてきて舌を絡ませ……。
――はむチュッ、んチュッ、チュウウウッ。
離れようにも、頭を両腕でロックされているせいで動けない。
やれやれ、これは完全に寝ぼけているな。
ターリスが見ているというのに……。
「はわわぁ〜っ。お、王女さまがっ、裸でっ、ご主人さまにぃ〜。あわぁ〜。あ、そんな、は、激しいすぎますぅ〜」
当のターリスは両手で目を覆ってはいるが、指の隙間から覗いているのが丸わかりだ。
なぜか頬を赤らめて、内股を擦り合わせて……。
「エレノア、そろそろ起きてくれ。ターリスが見てる」
「……へ? あ、ああっ、私ったらなんてはしたないことをっ! か、顔を洗って参りますわっ!」
顔を真っ赤にしたエレノアは上ずった声でそういうと、俺のローブを羽織って外に飛び出した。
天幕を静寂が包む。
残されたのはなんとも言えない気まずい空気。
「俺たちも出発の準備をするか、ターリス」
俺は腰を抜かしてその場にへたり込むターリスに手を差し出した。
〜〜〜〜〜
その後何事もなかったように、朝の支度を済ませた。
天幕はもう用がないので土魔法《風化》で消滅させておく。
「それじゃあ、行こうか」
「お待ちください、お主人さまぁ〜。昨日、見回りの途中で素敵な景色を見つけたんですぅ〜。ぜひおふたりにも見てほしいですぅ〜」
ターリスにそう言われて、俺たちは少し寄り道をすることにした。
先導するターリスに続いて森の奥へと進んだ。
歩いていると、異臭がし始めた。まるで卵が腐ったような……。
次に霧が立ち込めて……。
「ターリス。本当にこっちであっていますの? なんだか不気味ですわ」
「もうすぐ着きますよぉ〜。あ、着きましたぁ〜。これです、この景色ですぅ〜」
森の中の開けた場所に出た。
ターリスが指差す方向には泉があった。
泉の中心にはボコボコと音を立てる水柱。
中央から外周に向かって鮮やかな青から緑に変わる水のグラデーション。
水面からは白い湯気が上がる。
そこには幻想的な景色が広がっていた。
「まあっ! 綺麗な泉……」
「いや、ただの泉じゃないぞ。これ、『温泉』だ」
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