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[第6話]土魔法術士、王女が旅の仲間に加わる。

「じぃ〜……」


 馬車から出ると、ターリスのジト目に出迎えられた。


「う、なんだよ。ターリス」

「ずいぶん揺れていましたねぇ〜。てっきり、土魔法《地震(アースクエイク)》でも使ったのかとぉ〜」

「皮肉はやめてくれ。怒らせたなら、謝るよ。待たせて悪かった。」

「別に怒ってるわけじゃないですぅ〜。ただ、私だってご主人さまと……」

「ん? なんか言ったか?」

「い、いえ! なんでもないです! ……ところで、そちらの方は?」

「ああ、こいつはエレノア。この国の第一王女だ」

「よろしくお願いしますわ」


 エレノアはローブの裾を掴んで上品にお辞儀をした。


「え、ええええぇ〜!? お、王女さまぁ〜!?」

「まあ、そういうことだ。それで、これから王都まで護衛することになった」

「ご主人さまぁ〜、軽すぎますよぉ〜」


 アワアワとうろたえるターリスのことはさておいて、俺は出発の準備を始めた。

 まずは土魔法《埋葬(ベアリアル)》を唱えて、王女の護衛と盗賊らを弔う。

 その次は馬車の用意だ。

 エレノアが乗ってきた馬車は馬車馬が逃げてしまっているし、脱輪もしていてもはや使えそうにもないな。

 さすがに王女を歩かせるわけにもいくまいし……。

 ここは土魔法を使うとするか。


「土魔法《生成(ジェネレーション)自動馬車(オートモービル)》!」


 呪文を唱えると、地面が盛り上がり見る見るうちに馬車と馬が出来上がった。

 この馬はただの馬車馬の模造ではない。

 普通の馬車馬は時速20km程度だが、この土の馬は時速50kmは出る。しかも自分で判断して走る、御者要らずだ。


「まあ! すごいですわ、立派な馬車が一瞬で! 土魔法をこんなに使える術士は他に聞いたことがありませんわ」

「えへへ〜。そうなんです、私のご主人さまは世界一なんですぅ〜」


 なぜか得意げなターリス。その豊かな胸をさらに張る。


「これくらい大したことないんだがな。さあ、ふたりとも乗ってくれ。出発だ」


 ということで、俺たちは東に向かう予定を変更して王都に向かった。


〜〜〜〜〜〜




 道中の馬車の中。隣に座るターリスが腕に絡んできた。


「そういえば、ご主人さまぁ〜。先ほど言っていたお金を稼ぐアイデアとはぁ〜?」

「ああ、その話か。それなら聞くより見てもらった方が良いかもな」


 俺はそう言って土魔法《生成(ジェネレーション)》を唱えた。

 そして8かける8の64マスが描かれたボードと64枚の石を作った。


「まあ、なんですのこれは?」

「こんなの見たことがありません〜。あっ、この石裏表で色が分かれてますよぉ〜」

「ああ、これは一種の陣取りゲームだ。ルールは簡単だ。まずは4つの石をこう置いて……」


 珍しいものを見て目を輝かすエレノアとターリスに、俺はルールを説明した。


「エアルトさま! これすごく楽しいですわ!」

「ほんとですぅ〜。挟んでひっくり返す感覚が快感ですぅ〜」

「ああ、これはルールが簡単だから頭が悪い奴でも楽しめるし、パターンが膨大だから頭がいい奴でも楽しめる。俺はこれを『オセロ』。そう名付けた」

「これを売るんですね、ご主人さまぁ〜。絶対売れますよぉ〜」

「私もご協力しますわ。王都に着いたら王家用達の商人を紹介しますわ」

「それは助かるよ、エレノア」


 こうしてオセロ販売計画が始動した。




〜〜〜〜〜〜



「もうすぐ夕日が沈むな。完全に暗くなる前に夜営の支度をしよう」


 王都までの道のりは遠く、俺たちは道端で野宿することにした。

 俺は火起こし、ターリスには食料になる魔物を狩りに行ってもらった。


「ご主人さまぁ〜。ただいま戻りましたよぉ〜」


 狩りに行っていたターリスが帰ってきた。

 担いだ戦鎚には獲物のワイルドボアが吊るされていた。


「大物じゃないか。よくやったな、ターリス」

「えへへ〜、もっと撫でてください、ご主人さまぁ〜」

「その前に、これで捌いてくれ」

「はい〜、いきますよぉ〜」


 ターリスに包丁を渡すと、物の見事にワイルドボアは肉塊に変わった。

 程よく脂が乗っていて美味しそうだ。


「エアルトさま? このお肉、どう調理されますの?」

「それはだな……。まずこれをかけて……。土魔法《圧力鍋(プレッシャークッカー)》!」


 俺は肉にある調味料をかけた後、呪文を唱えた。

 この魔法は食材に高圧をかけることで通常何時間もかかる料理を一瞬で作ることができる。

 固いことで有名なワイルドボアの肉もすぐにトロトロだ。


「さあ、出来たぞ。『豚の角煮』だ」

「ブタノカクニ……? 私初めて食べますわ。いただきますわね……。はふ、美味しいですわ!」

「はう〜、口の中に入った瞬間とろけちゃいますぅ〜」

「お肉も柔らかくて美味しいですが、このソースはなんですの。甘辛くて病みつきになりますわ!」

「ああ、これは『たれ』というんだ。昔、東の国から来たという商人から買ったんだ。『ショーユ』や『ミリン』とやらを混ぜて作るらしい」

「そうなんですのね。エアルトさまには料理の才能まであるなんて素敵ですわ。おかわりいただけますか」

「私もおかわりですぅ〜」

「好評のようで何よりだ。肉はまだあるからどんどん食べてくれ」


 こうして俺たちは心ゆくまで豚の角煮を堪能した。




〜〜〜〜〜


 日も完全に沈み、夜が訪れた。

 俺は土魔法で少し大きめの天幕を作った。

 俺とエレノア、ベッドを2つ置いても十分な広さだ。


「それじゃあ、ターリス。夜の見張りは頼んだぞ」

「そんなぁ〜。私もご主人さまと寝たいですぅ〜」

「やれやれ、お前はゴーレムなんだから寝る必要ないだろう」

「そうじゃなくてぇ〜。むぅ〜」

「頼むよ、ターリス」


 俺は頬を膨らますターリスを抱き寄せてキスをした。


 ――チュッ。


「はぁわわ〜。ご主人さまぁ〜。わかりましたぁ〜。でもひとつだけ、お願いを聞いていただけませんか?」

「なんだ?」

「そのぉ〜。もう一回だけキス、してくださいっ」

「やれやれ、仕方ないな」


 俺は再びターリスの唇にキスをした。今度は少し長めに……。


 ――チュウウウッ、んチュッ、チュウウウゥ。


「ぷはぁ〜。ありがとうございます、ご主人さまぁ〜」


 キスを終えて、ターリスは恍惚とした表情で天幕を出て行った。

 やっと眠れるな。

 そう思ってベッドに横になった矢先……。


「ふふっ。やっとふたりきりになれましたわね、エアルトさまっ」


 目を開けると、エレノアが俺の上にまたがっていた。

 しかも上半身は裸で。頭よりも大きな胸を揺らしながら。


 やれやれ、まだ眠れそうにないか……。

ここまで読んでいただいてありがとうございます。

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