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メンバー探し?


 これまで後回しにしてきた<シエスタ>の追加メンバー探しを本格化させることになった。


 第一の条件は魔力値。

 自身の魔力の高さを意識しているかいないかは問題ではないが、魔具――法具の使用が自在に可能なくらいの制御能力があると尚良し。


 第二の条件は性格や思想。

 俺たちの目標は相手の殲滅ではないため、魔族への蔑視がないことが望ましい。

 開発主任がドワーフ族なので異種族への差別意識もない方がいいし、男尊女卑の考え方もない方がいい。

 あと、魔法を見せるつもりはないが、魔法への拒否感もないと尚良し。


 騎士団から海軍へと大幅な転換となったが、戦闘レベル的な基準は消えた。

 その分、探しやすくなった――ように思えるが、意外と条件がきつい気もする。


「条件的には、女の方が向いてるように思えるけど……」

「男性より女性の方が魔力がありますからね」

「しかも、魔族軍は女ばかりじゃからのぅ……蔑んだ上で侮るなどとなれば最悪であろうな」


「――でも、勝手な話だけど女を戦わせたくないんだよな。戦うのは男の仕事だしっ」

「らしいのか、らしくないのか、よくわからん発言じゃのう……」

『主、ライオンの生き方を尊敬してるから……』


「わからなくもありませんが、それでも勧誘は女性に絞った方がいいかと」

「……理由は?」

「ふたつあります。まず、男性の、雄の役割――これは戦うこと、狩りをすることです。例外もありますが、生物学的に見てアカシ様の意見は正論ですね」


「ライオンが例外っぽいのはご愛敬じゃな」

『ライオン、雄は狩りしない……?』

「お、おう」


「――しかし、同じく生物学的に見れば、群れに複数の雄がいるケースは稀でしょう?」

「複数いる場合はボス争いが宿命付けられていたりするのぅ」

『ボス猿……?』

「それだなー」

「生存競争に勝つため、種はより強い個体の子孫を残そうとします――男性は同族と争うことを本能に刻み込まれているのですよ」

「……むう。確かに」


 俺ですら、こいつには負けたくないと思ったことがある。

 学校の長い廊下の雑巾がけで誰が一番早いかなどと競った時期があるのだ。


「戦意や闘争心に直結するので白兵戦ではプラスに働くでしょうが、それらは戦艦や潜水艦の運用に必要ないでしょう。功名心を煽りかねない感情はむしろ邪魔ですらあります」


「作戦行動を無視しかねないってことか……」

「訓練・教育でそれなりに解決できる問題ですし、女性にそういう面がないとも言いませんが――」


「んじゃ、現時点で女性優勢くらいか。もうひとつは?」


「女性のみを勧誘すれば、<アルテミス>と同盟を結べるかもしれません」

「……なるほど」


 <アルテミス>の行動方針に、魔族との戦闘が含まれているようなので、敵側という懸念はなくなっている。


「それは大きいメリットかもしれないな」

「うむ。同盟を結べれば、共同作戦も可能じゃろう」

「人を派遣してもらうこともできるでしょうね。こちらはリーダーにカリスマ性が欠けていますから、運用に必要な人数を集められるか不透明ですし――」


「……あれ? もしかしてさりげに馬鹿にされてる?」

『主のすごさは普通の人には伝わりにくいから……』


 万人に伝わるカリスマなんて生きにくいだけだし、まあいいか。


「えーと、じゃあ女中心で勧誘する――として、だ。今は潜水艦がないから、戦艦の乗員を集めればいいのか?」

「うむ。魔力量にもよるが、操縦担当は10人、砲撃担当は20人は欲しいのぅ」


「お、多くない……? いや、現実の大和に必要だった乗員数からすると、たぶん異常なほどに少ないんだろうけど……」


 それだけ操縦や砲撃に使う魔力量が多いってことなんだろう。

 異世界人のドワーフですら、主砲――上級魔法一発のみ。

 副砲などの消費は少ないにしても、砲撃の数を重ねれば結局は尽きると。


 操縦役の方は、数万トン級の船を動かす動力になるわけだから、まあ……きつそうだわな。


「当面は操縦担当だけで構わんぞ。運用時も砲撃は使わないかもしれんしなっ」


「んじゃー、とりあえず目標10人で……!」


 * * *


「あっれー……?」

『人集め、むずかしいね……』

「……うむ」

「なんとなく予想してはいましたが……」


 定番なので、冒険者ギルドにてパーティーメンバーの募集をかけてみた。

 が、思うようには集まらなかった。


 Aランクパーティーの募集ということもあって、人はそれなりに来るのだが……魔力値がネックになってしまっている。

 これを使えればオーケーという魔具を持って面接に臨んでいるのだが、今のところ発動に成功した人がいない。

 技術的に未熟というわけではなく、単純に魔力不足によるものだ。


 そんなわけで、ホームに戻って作戦会議中である。


「なあ……魔力って、増やせないのか?」

「正確な割合はわかりませんが、限界近くまで使っていればある程度は増えていきますよ」


「魔法を使ってれば、自然と鍛えられてはいくわけか」

「魔法がない弊害じゃのぅ……魔具を常に使える環境にいないと、魔力を鍛えられんとは……」


 魔法が普及しているゾネの世界や西大陸と比べると、使われてる魔法が回復魔法だけの東大陸は魔力の平均値が低いわけだ。


「レベル上げとかで増えたりは……?」

「体感していませんが、他の能力値のように増えていくはずですよ」


「ふむ……なら、養殖レベル上げも加味して基準を下げるか?」

「いや、それはすでに考慮しておるぞ?」

「え……マジで?」


 エイヴの話によると、審査用魔具が必要とする魔力量は、副砲や対空砲の発射に必要な魔力量の半分程度らしい。

 応募してくる冒険者がレベル10――ランク2だとして。安定して期待できる成長分を1ランク分、倍と見積もり、基準を算出したとか。


 現在求めているのは操縦担当だが、操縦担当に求められる魔力量はさらに上。

 そこまで成長できなくても、最低限、砲撃担当に回れるだけの人材を、という狙いだ。

 戦艦とか潜水艦とかぶっ飛んだことをしているのに、悪魔王はなかなか堅実だった。


「予想外というほどではないのじゃがな……」


 魔力の大きさを感じ取れる天魔にとっては、さほど意外な結果でもないらしい。


「普人族が使うには、もともとちと苦しい魔力消費量でのぅ……」


 対空砲に翼竜を落とせるくらいの威力があるなら、上級魔法に近いというなら、それも不思議ではないのかもしれない。

 普人族の魔力量では、上級魔法は発動させられないわけだから。


 だからといって中級魔法相当に威力を下げるのは無意味だ。相手は普通に中級をぶっぱしてくる。


「生まれつき魔力が高い種族は、こっちには少ないんだろ……?」

「ほとんどいないようですね。いたとしても、隠遁生活を送っているでしょう」


「迫害されてきたとしたら、人族を守るため、なんて旗に共感してはくれないだろうな……」

「下手をすれば、敵に回るかもしれんのぅ」

「西大陸を理想郷のように感じて、向こうへ渡ってしまいそうですね」


「潜水艦の方は魔力どれくらいいるんだ?」

「少人数での運用が前提じゃからな……戦艦と大して変わらんはずじゃ」


 つまり、同程度の魔力が必要、と。


「……なんか、早速頓挫しかけてるな」


 うまい話はそうそうないということか……。


「とりあえず、魔力が高い人を探してこっちから声かけていくか?」

「そうじゃな」

「それしかないでしょうね」

『ん』


「仮に、王都を虱潰しにしたとして……基準以上の魔力値の人は何人くらいいるんだろうな?」

「多くはないでしょうが、悲観するほど少なくもないと思いますよ」


「まあのぅ。ゾネの世界ではルシールやティナなどは基準に達しておったぞ?」

「ほほう」

「魔法士クラスの闘士も、技術はともかく魔力量は問題ない水準でしょうね」


「そう考えると、素質的にはそれなりにいるのか……戦いに縁のない一般職の人だったりすると、勧誘の成功率すっごく低そうだけど」


「そこはアカシ様次第でしょう」

「いやいや、俺カリスマ性ないからな……」


 人を惹きつける魅力に欠けていることは自覚している。

 人をその気にさせるような話術もない。

 これまで勧誘勧誘と言っておいてなんだが、まったく成功する気がしない。


「誠意があれば問題ないのじゃっ」


 アヴォリオさんたちを勧誘したときに誠意があったかは知らないが、あっさり協力を取りつけたエイヴは尊敬に値する。


『主なら、だいじょうぶ……かも?』


 うおぅ、妖精さんに首を傾げられてしまった。


「急ぎつつも気長にいきましょう。2年以上の付き合いになるはずの方々なのですから――」



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