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サブエピソード6【効率厨レオンの業務カイゼン2:5Sとは?再編、処分、スリム化、精査、掃討④】

4話連続更新の4話目です。

倉庫の整理、そして帳簿の再記入など、やるべきことがようやく終わりました。

素材の移動や棚作りなどの肉体労働に従事していた者も、帳簿整理や規約策定などの頭脳労働に従事していた者も、皆無事終えたことで称え合っています。

倉庫を見れば、討伐素材や採集素材など、種別に応じた品目が整然と整理されています。きちんと日付別に管理され、いつ納入されたものかも、しっかりと判別出来ます。

帳簿を見れば、納入された日付に合わせ、品目に対する価格も追記されており、出荷時にはいつ納入された物をいくつ対象にしている、という指摘の対応もきちんと行われています。

古くなり廃棄せざるを得なくなった素材を退かしたことにより、収容スペースは一段と広がり、負荷軽減が一目で分かるようになりました。

納得のいく仕上がりに、レオンは満足気に額きます。

「いかがでしょうか?資材管理部一同、業務改善に努め、成果を挙げることが出来ました!」

先程、声を挙げたサポタージュ組の一人が、意気揚々と部長に報告をします。

おそらく役職持ちなのでしょう。他のサボタージュ組は追従するよう、声を挙げた者を持ち上げます。

が、周囲は逆に、サポタージュ組を刺すような目つきで睨むことを辞めませんでした。

「ふむ。レオン君?」

報告を受けた部長は、サボタージュ組にチラリと視線を向けた後、レオンに声をかけます。

「彼らは、このように言っているが、本日は業務改善における本日の作業は終了と認識してよいかね?」

上手くいった、とサポタージュは喜色を滲ませます。部長が業務終了を宣言し、自身たちに追及が無ければ、あとはどうにでもなると考えているからでしょう。

「いえ」

部長に向き合い、レオンは短く否定します。

「残念ながら、肝心な業務が残っています」

そして、サポタージュ組に視線を向けます。

「彼ら(サボタージュ組)の処分(決算)についてです」

瞳は再度、緑色に染まるのでした。




「な、なにを…」

サポタージュ組の一人が呻くように呟きます。

「おや、聞こえませんでしたか?貴方たちの処分が残っている、と言ったのですが」

レオンは周囲に見せ付けるよう、敢えて大仰な仕草で答えます。

「私は業務改善を行う為に、資材管理部職員全員に対し、説明会に参加するよう周知しました。部長の指示である旨も、付け加えて」

彼に指示を出して、と、担当者に視線を向けます。

少し離れたところで、担当者は気配を隠そうとして失敗していました。

レオンの視線を始め、周囲から寄せられる視線に耐えかねたのか、高速で首を上下に振り、明確過ぎる同意を示すのでした。


「聞いてない…」

サボタージュの一人が言い訳を始めます。

「私はその場に居なかった!だから説明会に参加する旨を聞いていない!」

何を白々しい嘘を、と、周囲は冷めた視線を向けますが、サポタージュ組は言い逃れに必死で、周囲の視線は気が付いていません。

「と、いうことですが、如何ですか?彼の言う通り、伝達ミスになるのですか?」

レオンは再度担当者に視線を向けます。

担当者は勘弁してくれ、とでも言うように、首を左右に振りました。

「おや、彼(担当者)は伝えている、と意思表示をしていますが?」

レオンの確認に、サポタージュ組は間髪入れず否定を示します。

「そんなことはない!言い逃れしているのはあいつの方だろう!」

レオンはサボタージュ組と担当者に交互に視線を向けると、大きく溜息をつきます。

「そうですか、言った言わないを持ち出すと水掛け論ですからね、まぁいいでしょう」

「100歩譲って、彼が貴方たちが不在であったため、伝えられていなかったとしましょう」

「ですが、説明会が終わった後、皆が作業している間、なぜ貴方たちは雑談に興じて、作業に取り掛からなかったのですか?」

「手が離せなく、参加できなかったと言われる方々は、自身の業務が終了後、作業に参加されていましたよ?」

「『おいおい、そんな手つきで大丈夫か?』や、『もっと腰を使え腰を!』でしたっけ?」

「作業されている方々に対し、随分な物言いをしていた記憶がありますが、この件についてはどのようにお考えで?」

レオンの追及は五月雨(さみだれ)のように降り注ぎます。

なんとか切り抜けようとするサポタージュ組は、言葉が浮かびません。

出来るのは、顔を紅く染め、怒りと羞恥で体を震わすことだけでした。




「い、言っていない」

また別のサボタージュ組の一人が声を挙げます。

「わ、私たちはそんなこと、い、言っていない!何かの間違いだろう」

「そ、そうだ!私たちが言ったというのならば、そのような証拠があるのだろうな!」

天啓、とばかりに思いついた言い訳を、見苦しく捲し立てます。

レオンは軽く頷きます。まるで織り込み済みとでも言うように、余裕を持って答えます。

「そうですね、確かに証拠はありません。先程申した通り、言った言わないは水掛け論になりますね」

「ですが」

レオンはサポタージュ組から視操を外し、背後に目をやります。

「そう、そこの君、君は作業中、彼らから不要な口出しを受けていた、と見えましたが、どうでしたか?」

レオンは自身が聞いたとするやり取りをあっさりと引き下げ、当事者を引き出すのでした。

「え、あ、その…」

口出しを受けた職員は、急な展開に付いてこれないようで、回答はしどろもどろとなっています。

「落ち着いて。起きていたことを、正直に話してください。…但し、虚偽の申告をした場合は、わかっていますよ、ね?」

ニコリを笑みを浮かべます。しかし目が笑っていないレオンの圧力に、職員はサポタージュ組から受けていた恐怖すら忘れます。

そして、先程の説明会で発せられた『庇(かば)いだてが分かりましたら、同罪と見做します。ええ、例外は認めませんので、ね』という言葉が脳内で再生されます。

職員はなりふり構わず、あるがまま、全て話すのでした。

一人話せば、我も我もと証言が出揃います。

最終的にはサボタージュ組以外の、作業に従事していた全員が証言することになりました。

「さて、貴方たち以外の全員が、意図的に作業を拒んでいた、と証言しています」

「数字は嘘をつきません」

「多数の証言を否定し、覆すことが出来るほどの証拠を、貴方たちは持ち合わせていますか?」

「持ち合わせているのであれば、是非拝聴させていただきましょう」

レオンの勧告にサポタージュ組は何も言えなくなるのでした。




「では、本題に入ります」

「資材管理部の業務改善に伴う、説明会、各種作業への不参加における職務放棄」

「および他職員に対するハラスメントなどを鑑み、役職剥奪の上、3ヶ月間の解体作業が妥当ではないか、と考えます」

一般職員としてギルドに入る際、試用として解体作業を受けることが通例となっています。かなりキツイ作業で、若い人材ならば兎も角、年配になり肉体労働から遠ざかっていたサボタージュ組にとっては、もっとも嫌な罰になるでしょう。

「ふむ。解雇処分には該当しないかね?」

部長が面白おかしくなるよう、混ぜっ返してきます。真面目な顔をしていますが、体が僅かに振るえていることが見て取れます。

「ええ。職務放棄とハラスメントですので。解雇処分に至るまでではありません」

レオンの真面目くさった言い方に、数人の職員は口元を隠して俯きます。笑い声が漏れないよう、必死に体を抑えるのでした。

「なるほど。それならば妥当だな」

「聞いた通り、本日付けでお前たちの役職は剥奪とする、明日からは解体作業を行うように。先方には私から話をつけておこう」

「私の指示であることを無視した落とし前は、しっかりとつけてもらう。舐めた真似をするとどうなるか、骨身に刻み込んでおけ」

そこまで言うと、部長は今度こそ解散指示を出しました。

一連の流れを飲み込んだ職員たちが、大きな歓声を挙げたのは、言うまでもありません。




これは、レオンが効率厨レオンとして、職場の非効率な業務に憤慨し、理不尽な出来事に苦々しい思いをしたことにより、ギルドを変えていこうとするお話です。

業務改善に伴う帳簿の再作成で、監査対象となる記載が見つけられたことや、素材のちょろまかしが恒常的に行われており、在庫と帳簿が一致しなかったことで、レオンが絶叫することについては、また別のお話となります。


■執筆裏話

ストックのサブエピソードが尽きました…

次回更新に間に合わない場合は、休載となります。

筆者のモチベーションアップの為、評価、感想をいただけると!


評価、感想、御待ちしております。執筆のモチベーションアップに繋がりますので!


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