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Martians to Invade  作者: シュンキチ
文明
51/54

文明 六

 労働者居住区に入ったオルグレン班は主として住民の生活水準、反乱軍兵士の装備及び発掘品の調査を行なっていた。

 鉱区の居住施設は隣接する軍事施設や軌道エレベーター付近の発展した市街地に比べ、ドーム型のプレハブまがいの粗末な造りのものが大半であり、植民地時代の面影を残していた。簡易食堂や事務所、二階建集団住宅などが立ち並ぶ通りを労働者が行き交い、時折輸送車両が発掘品を積載してオルグレン達の横を通り過ぎる。

 オルグレンは人混みの中にいる武装した兵士の装備に注目していた。

 灰色の戦闘服と鉄帽、さらに弾倉や手りゅう弾等を携帯できる防弾チョッキを身に付ける兵士の手には装弾済みと思われる自動小銃が握られていた。

 それらの装備品はかつて火星で勤務していた彼女の装備とほぼ同じものであることから反乱軍の個人装備は国連軍憲兵の装備を流用したものだと言うことがわかる。

 彼らは通常2名以上で行動し、鉱区全体の警戒任務に当たっているのだ。


「全ての鉱区に一個連隊程度の地上軍が配置されているとすればあれほどの装備を持った連中が下手をすれば師団、いや軍レベルの規模でいる可能性がある」


 彼女は反乱軍は艦艇戦力だけではなく地上戦闘においても充分な戦力を行使出来ると認めざるを得なかった。

 もしもこれだけの戦力が月に上陸した場合、国連軍の中に対抗できる組織は彼女が述べたように現状で皆無である。火星への上陸戦闘任務を主眼において創設が予定されている宇宙軍歩兵団は皮肉にも反乱軍の月上陸阻止の任を負わなければならない恐れが出てきたのだ。

 オルグレン二等軍曹は下士官ではあるが多くの軍事情勢の知識が火星勤務によって培われており、並の将校のそれを超えるほどであった。それ故に彼女の頭の中では将来の国連軍の悲惨な情景が浮かび始めていた。

 一刻も早く情報部に報告しなければならない。彼女の心にはそのような焦りが生まれ始めた。

 そんな彼女を他所にヒューリーやモンテ伍長

 、そのほかの班員は、居住区の商店に興味を示していた。その商店では土産物として発掘品のジャンクが売られていたのだ。

 彼らは商店に入り陳列棚に並べられた商品を手に取った


「どうだいそこの兄ちゃんたち!この鉱区で発掘された世にも奇妙な火星の遺物だ。地球で流せば高値で売れるぞ」


 商店の店主と思われる老人が購入を促す。


「でもじいさん、さすがにこいつは港を出る前に軍の検閲で取り上げられちまうんじゃないかい?」


 モンテ伍長が商品の1つを手に取りながら言った。


「心配せんでいい、ここに並んでるのはみんな軍では不要と判断して廃棄したものばかりだ!」


 老人の言う通り彼の手の中にある発掘品はほとんど大きな鉄の塊のようなもので、仮に国連軍が掌握しても技術解析には使えそうもない代物である。そこに刻まれている古代文字らしきものだけが辛うじてそれが発掘品であることを示すものだった。

 オルグレン二等軍曹はその文字に目をやると何かに気付いたらしく、彼女の鋭い目が少し大きくなった。


「この文字には見覚えがある」


「そりゃあそうですよあなたは昔火星で仕事をしてたんですから」


 モンテ伍長が笑いながら言った。


「いや、この文字は地球のどこかで見た。はっきりした記憶はないが」


「それももしかしたらワシの店で売ってたものかもしれんな。何処かで見かけるほど出回ってるてことは価値が下がる前に買っておいた方がいいってことだ!」


 結局オルグレン二等軍曹はそのジャンクを購入した。どこまで役に立つかは彼女もわからなかったが、プラトン基地に帰還した後に情報部に調査資料として渡すつもりなのだ。

 その後4番鉱区の調査を終えたオルグレン班は地上エレベータ基地地区へ戻ることにした。

 オルグレン班が4番鉱区で得られた情報は反乱軍装備品の詳細、地上軍の小隊単位での大気圏突入能力の保持、発掘現場の現状および生活環境そしてサンプルである投棄された発掘品である。

 予定通り貨物列車の積載物資に便乗してオルグレン班は鉱区を後にした。


市街地に帰還後オルグレン班は指定されていた場所でラブロフ少尉の班と合流、無事植民地偵察隊の全員とモリソン船長が揃って所定の任務を終えた。


「ご苦労だった、オルグレン!」


「そちらの方はどうでしたか?」


「ああ、かなりの収穫があったぞ」


ラブロフ少尉の班はモリソン船長と共に反乱軍兵士から直接情報を聞き出すことに成功していた。それは下士官クラスから得られる情報に限られていたが、情報部のチェルノフ中将にとっては充分な情報材料になると彼は考えていた。


「よし、これより軌道基地へ戻り火星を出港する。細部指示は出航後行う!」




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