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Martians to Invade  作者: シュンキチ
接触
34/54

接触 七

 砲撃戦が始まっておよそ四十分、戦闘の優勢は第五艦隊に転じ始めていた。第五艦隊は砲撃を大型艦に集中して行っていた為、反乱軍の戦艦と巡洋艦は被害が増大し続けていた。しかし反乱軍の新型攻撃艇による攻撃によって受けた第五艦隊の被害も少なくはなかった。輸送船の護衛に回った駆逐艦は特に被害が多く、程度に差はあるものの無傷の艦は一隻も無かった。第五艦隊の健闘によって護衛対象の輸送船は未だ航行が可能な状態だった。

 第五艦隊は国連軍と反乱軍の勢力圏の境目を沿うようにして進み、輸送船を離脱させるタイミングを見計らっていた。反乱軍艦隊は距離を詰めようと接近を試みるが、砲撃によってそれが困難な状況になっていた。そして反乱軍も砲撃を大型艦に集中させ始めた為、第五艦隊旗艦のボスホートやマクシム大佐のアリアンも被弾数が上昇し始めた。アリアンに多数の砲弾が直撃し、強い衝撃が何度も艦橋まで伝わった。


「副長!被害状況知らせ!」


「右舷中央に三発、艦首に一発被弾しました!火災無し、空気漏れ無し、機関異常無し!射撃、航行共に可能です!」


「ボスホートとシェンチョウは無事か?」


「ボスホートは被弾多数!戦闘行動に支障は無いようです!」


「タフな艦だな。さすがは新造戦艦といったところか」


「シェンチョウは砲塔に被弾しています。現時点での被弾砲塔の機能修復は不可能かと思われます」


 反乱軍艦隊の隊列は第五艦隊との戦闘によって乱れてはいたが、高精度の射撃に衰えは無かった。


「反乱軍の砲撃、未だ弱まる気配がありません!」


「反乱軍も相当の被害を出している筈だ。にも関わらずまだ向こうは戦うつもりのようだな。反乱軍にも諦めの悪い人間がいるのだろう」


 この時点で国連軍は大型艦の内、戦艦シェンチョウ一隻が砲塔一基被弾により戦闘能力が低下し小破、巡洋艦二隻が中破、四隻が小破の状態だった。艦隊としての戦闘に大きな支障が出る程の被害では無かった為、ベルガー艦隊司令は戦闘継続の指示を出していた。

 さらに反乱軍の攻撃艇を駆逐艦と戦闘艇の迎撃によって退けることに成功し、第五艦隊は反乱軍艦隊への砲撃に集中することが可能となった。反乱軍は巡洋艦が一隻撃沈し、数的戦力の上では第五艦隊に対してさらに劣勢となったが、国連軍に比して単艦での戦闘能力が高い反乱軍の艦艇によって編成された艦隊は残りの戦力でも戦うことが可能ではあった。しかし反乱軍はさらなる窮地に立たされることになる。


「マクシム艦長!第二艦隊の航空隊が接近中です!」


「第二艦隊?救援か!」


 反乱軍と第五艦隊の戦闘を察知した第二艦隊が戦闘宙域へ向けて攻撃隊を出撃させていたのだ。第二艦隊は空母主体の哨戒機動艦隊で保持している航空戦力は第五艦隊のそれを上回る。およそ二〇〇機の戦闘艇と攻撃艇が第五艦隊の援護に向かってくるのをボスホートやアリアンのレーダーが捕捉した。機影を捕捉したのは第五艦隊だけではなく、反乱軍もそれを捉えていた。

 完全な劣勢に追い込まれた反乱軍艦隊は針路を地球圏外へ向けて、撤退を開始した。第二艦隊の攻撃隊は撤退する反乱軍艦隊の追撃に向かったが第五艦隊は砲撃を止め追撃を断念した。第五艦隊は輸送船を無事に地球圏から離脱させることが任務である上に第五艦隊の艦艇では撤退する反乱軍に追いつくのは難しい為、追撃を第二艦隊の攻撃隊に任せることにしたのだ。


「手負いの反乱軍艦隊を二艦隊の奴らも逃がす気は無いだろうな」


「私は手柄を横取りされたような気分です」


「仕方の無い事だ副長、我々には我々の仕事があることを忘れるな」


「勿論承知しています」


 しばらくして周辺宙域の安全が複数の哨戒艇によって確認されると、ベルガー艦隊司令は輸送船を艦隊の隊列から離脱させる指示を出した。第五艦隊の艦艇に囲まれるようにして護衛されていた輸送船が隊列から離れ始めた。輸送船はこれから火星へ向けての航行を開始する。

 マクシム大佐も艦橋から輸送船の姿を確認した。輸送船は元々古い船だったのに加えて今回の戦闘によって若干の被害を被った為、彼にはもはやスクラップにしか見えなかった。


「あの船で火星宙域に偵察衛星を設置出来るのでしょうか」


「恐らく今回も失敗するだろうな」


 副長の問いにマクシム大佐は即答した。誰の目から見ても輸送船を見ればその任務が非常に困難なのは明らかであった。しかしその輸送船がそれ以上に重要な任務を負っているという事実はマクシム大佐ですら知る由も無かった。

 輸送船護衛の任務を完了した第五艦隊はベルガー艦隊司令の指揮によって別働の空母機動部隊と合流した後に、艦隊の本来の任務である哨戒任務へと復帰する事になった。



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