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Martians to Invade  作者: シュンキチ
接触
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接触 四

 二一三〇年二月一〇日、第五艦隊は月上空を航行していた。艦隊には月方面艦隊司令部から護衛任務の命令が下っていた。およそ半年前の戦いで大きな損傷を受け、プラトン基地で修復作業を受けていた戦艦アリアンとシェンチョウは艦隊に復帰していた。更に新造戦艦であるモルニア級戦艦二番艦のボスホートが艦隊に加わり、計三隻の戦艦を戦力に迎えた第五艦隊は再び遠征打撃能力を持つ勢力となった。ベルガー第五艦隊司令は艦隊の旗艦となったボスホートに座乗し、マクシム大佐は戦艦アリアンの艦長に復帰した。

 第五艦隊に与えられていた任務の内容は情報部の火星偵察衛星を積載した輸送船の護衛というものだった。ベルガー艦隊司令を除きその輸送船に乗っているのは偵察衛星ではなく、情報部で臨時に編成された植民地偵察隊であるという事実を知る者は一人もいなかった。

 国連軍標準時間の正午頃に護衛対象の輸送船が出港し第五艦隊へと合流した。マクシム大佐は艦橋から輸送船の船影を確認した。


「随分古い船ですね。あれでは海賊船と同じですよ」


 副長が輸送船を見ていった。


「中古の船であることは間違いな。どうやら情報部も予算の工面に苦労してるようだ」


「しかしあれなら反乱軍にも国連軍の船だとは分からないかもしれないですね」


 月上空を離れた第五艦隊は戦艦と巡洋艦と駆逐艦によって輸送船を囲むような陣形をとった。ボスホートが艦隊の戦闘に立ち、アリアンとシェンチョウは艦隊の後方に着いた。 空母と残りの駆逐艦は本隊と離れた位置を航行し、すでに哨戒艇と護衛戦闘艇、攻撃艇を発進させていた。会敵に対する備えは万全だったが第五艦隊が輸送船を護衛できるのは地球圏内までである。

 国連軍の艦隊は全て反乱軍によって地球圏内にまで後退し、今現在地球圏外は完全な反乱軍の勢力下にあるため一個艦隊で進入するのはあまりにも危険なのである。そのため第五艦隊はどちらかと言えば反乱軍からではなく宇宙海賊から輸送船を守るために今回の任務に就いたのである。

 海賊船に擬装された輸送船は反乱軍の勢力下での航行のリスクを少なくすることにはなるが、決してゼロとは言い切れない危険な航海である。

 マクシム大佐は輸送船一隻でさえまともに火星まで護衛できない艦隊の現状に悔しさを感じていた。だからこそせめて地球圏内での護衛は全力で努めようと彼は思った。


「副長、対空対艦戦闘用意だ」


「しかし艦長ボスホートからは会敵情報はまだ何も来ていません」


「反乱軍は必ず来る!奴らを発見してから準備するのでは遅すぎる。前の戦いもそうだった。そうだな副長」


「わ、分かりました!」


 かくしてアリアンは艦長であるマクシム大佐の独自の判断により、会敵する前に戦闘配置となった。艦内では警鐘が響き、主砲、対空砲などの全ての火砲が臨戦態勢につく。

 アリアンは修復の際に大幅な改装が行われていた。旧式化していた射撃管制システムの一新、対空砲の増設の他に新たに採用された砲弾に対応するため主砲も改良された。新型の主砲弾はRAP砲弾と呼ばれ砲弾内部にロケットモーターが内蔵された砲弾だ。ロケット推進の補助によって弾速の上昇に成功し反乱軍の主砲には射程で劣るものの、有効射程距離の延伸に成功したのである。RAP砲弾自体は既存の技術だったが電磁力によって加速される超高速砲弾にロケットモーターを内蔵するのは簡単ではなく実用化までに長い時間を要した。この砲弾に対応した主砲はアリアンだけでなく、シェンチョウやボスホートにも搭載されていた。


 アリアンの乗員が全員宇宙服を着用し戦闘配置に着くと、戦闘区画の空気が排出されアリアンは戦闘準備が完了した。アリアン以外にも前の戦闘を経験していた艦は続々と戦闘配置をとった。

 アリアンが戦闘配置をとったわずか数十分後バイコヌールから発艦していた哨戒艇が「敵艦見ゆ」の通報をボスホートに行い第五艦隊全艦に対艦戦闘用意の号令がかかった。新制第五艦隊最初の艦隊戦である。

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