7.お尻の目
ハンナはデブチンマキタの待つニューヨーク市内のシティホテルに戻った。ホテルのドアマン・ベルボーイ・フロントマン・コンシェルジュ・エレベータボーイ。何もかもが知性生命体に寄生されたニンゲンに見えてきてしまう。ハンナはビクビクしながらホテルの一室へ辿りついた。
「ハンナ。首尾はどうだった?」
「デブチンマキタ。私はね、実はエイリアンなのよ。サイバーテロで逮捕された彼も同じ惑星の生命体なの」
「ははは、わかった、わかった。顔を剥いだら中から怖~い顔が出てきたりしてね」
「ジョークじゃないのよ。本当の話。真面目に聞いて」
ハンナは知性の生命体である『生命体その壱』に自分たちの先祖が寄生された際、表れる症状を聞いたことがある。
「ねえ、親指見せて。指の関節のところに『目』のようなものが見えない?」
デブチンマキタは自分の指を見て言った。
「あるある。目みたいに見えるよ」
「ええっ!? 本当に? じゃあね。お尻見せて」
「おっ、お尻?」
「お尻の下のほうにも『目』があったらアウトよ。あなたは知性の生命体に寄生されている……」
「おまえ、変な趣味持ってねえか?」
「見せるの、見せないの? ねえ! どうなのよ!」
「わかった、わかった。見せればいいんだろ」
デブチンマキタはハンナの勢いに押され、しぶしぶと後ろ向きになりズボンとパンツを下ろした。
「ちょっと四つん這いになってみて」
「恥ずかしいなあ。目なんてねえよ」
顔を寄せてしげしげと見るハンナ。仕舞いにはお尻のほっぺたを開いて覗き込む。
「やめろよ。そんな趣味ないよ」
「黙ってて! うーん。目のような、目でないような……」
「ゼッタイ目じゃねえよ! いい加減にしろよ! おい! そんなに言うんだったらお前も見せろ!」
「私はないわよ。決まってるじゃないの」
「誰が決めたんだ。ええっ? 俺にだって確認する権利があるぞ」
「何のケンリよ! 変なこと言わないで!」
「ほらほらほら」
「キャー!!」
「目がどこにあるかなあ。ここかなあ。それとも……」
「キャー!!」
第三者が見たら、二人の行動はまったく訳のわからないものであるに違いない。




