第6話:伝説の魔法は長すぎる。
会議室。
宰相リシュリューから、ざっくりした説明は聞いた。では、俺は具体的に何をすればいいのか。
「宰相。俺の今後の予定は、どうなっていますか」
リシュリューは、机の上に王都の地図を広げた。
「勇者殿には、まず騎士団の練兵場で、自衛できる程度まで訓練に参加してもらう。その後は、魔物討伐でのレベル上げと、伝説の魔法の習得ですな」
「伝説の魔法って、何ですか」
「スーパーウルトラグレートデリシャスワンダフルボンバー火の玉だ!」
「すーぱー……何ですって?」
「スーパーウルトラグレートデリシャスワンダフルボンバー火の玉だ!」
二回言った。しかも、一字も省略しなかった。
その名前を付けたやつ、絶対に日本人だろ。どこかで聞いたことがある気がするぞ。
「ステータスを拝見したい」と言われ、しぶしぶ両手を上げて見せた。
「火炎魔法、レベル10だと! 素晴らしい! 勇者山田なら、あの伝説の火炎魔法も、すぐに使えるかもしれん!」
――リシュリューの好感度:55→62
態度も口調も、さっきまでと別人だ。
だが、これで分かった。伝説の魔法を習得すれば、リシュリューの好感度は上がりそうだ。
……いや、待て。
逆に、戦争への参加を渋れば、下がる可能性もある。
どちらにせよ、拒否権はなさそうだ。ならば、せめて準備だけはしておくしかない。
ステータスは100を超えているが、実戦経験はゼロだ。自衛というより、敵が襲ってきたとき、逃げ切れるくらいの力は早めに付けておきたい。
「宰相。怪我を治す、伝説級の魔法もあるのですか」
「そんなものはないぞ」
「ないの? ゲームみたいな世界なのに!」
思わず、声が裏返った。
詳しく聞くと、治癒魔法はあるが、心臓が潰れるような大怪我は治せないらしい。簡単な怪我なら問題なく、手足を失っても、時間をかければ再生できるという。
ただし、治療を受ける側のレベルが低いと、体力を消耗しすぎて、魔法の反動で死ぬこともあるそうだ。
当面の方針は決まった。
治療に耐えられる体力作りと、レベル上げ。伝説の魔法は、そのあとだ。
……できれば、名前を覚える前に習得したい。
読んでくださり、ありがとうございました。




