第4話 セレスティアは危険な人です。
与えられた部屋は、ビジネスホテルのスイートくらいの広さがあった。
「ステータスオープン!」
名前:山田太郎
Lv:1
HP:182/MP:746
攻撃力:355/防御力:37/素早さ:128/魔力:513
成長度:82/カルマ:万位超絶
耐性:火・土・風・雷・光・暗
特殊スキル:火炎魔法(Lv10)/好感度増減
さっきセレスティアに聞いたところ、ステータスの数値が100を超えるのは相当な強者らしい。王城白銀騎士団の一部と、トップハンターくらいだという。
ハンターというのは、魔物退治を生業にする人たちだろうか。
……手が疲れてきた。首も痛い。
両手を上げて真上を見ないと、ステータスは確認できない。この仕組みを考えたやつは馬鹿だろう。
コンコン。
扉を軽く叩く音がして、メイドが入ってきた。
「勇者様。お食事は、いかがいたしますか」
そういえば、朝食を食べていない。
「ハンバーガーとコーラってあります?」
「申し訳ございません。コーラというものは存じ上げませんが、ハンバーガーはご用意できます。少々お待ちください」
あるのかよ、ハンバーガー。前に召喚された勇者が伝えたのか。
メイドが一礼した、その瞬間だった。
彼女の頭上に、すっと数字が浮かび上がった。
――メイドの好感度:45
(……見えた? こんな人まで、対象なのか)
さっきまで、メイドには何も表示されていなかった。頼み事をしたから、なのか。それとも、最初から決まっていたのか。
メイドが出ていくのと入れ替わりに、セレスティアが部屋に入ってきた。
「勇者様。先ほどメイドと、何をお話しされていたのですか?」
「挨拶みたいなものだよ」
「本当ですか。勇者様」
口元は完璧な弧を描いたままだというのに、声だけがぞっとするほど冷え切っている。
――セレスティアの好感度:90→20
(なんだこの、一撃死の地雷みたいな女は)
「食事は何が良いか聞かれたので、ハンバーガー……元の世界の料理をお願いしただけだよ」
――セレスティアの好感度:20→18
(下がった!? 正直に答えたのに!)
「セ、セレスティアも一緒に食べましょう」
「しょうがないですね。勇者様がお望みなら、従いますわ」
――セレスティアの好感度:18→19
(全然、上がらねえ)
好感度がゼロになると、死ぬ。
王の13より、セレスティアの19のほうが、よほど危険ではないか。
王の信頼を得るのは、後回しでいい。
まずはセレスティアだ。
このお姫様の機嫌の取り方を覚えなければ、俺の異世界生活は始まる前に終わる。
読んでくださり、ありがとうございました。




