第47話 必殺のレーザーに大ピンチ?
「うおおっ!?」
砲塔から発射された眩い光のレーザーを咄嗟に避ける。
振り返ると、レーザーは俺の背後に見えるダンジョンの石壁を粉々に破壊していた。
「おいおい避けるのは不細工だぜ。かわいくねー。かわいいは正義だ。つまり正義の味方が避けるのは正義に反するんじゃねーか? ぱふぁふぁふぁ」
そう言ってレーザーパンダはゲラゲラ笑う。
あんなの食らったら俺の身体も粉々だ。
てか、避けると不細工で正義に反するとか意味わからん。なに言ってんだこいつ?
――レーザー撃ってくる魔物なんていたっけ?
――パンダみたいな魔物はいる
――いるけどレーザーなんてついてないよ。攻撃力高くて頑丈なだけ
――レーザーは追加武器か
魔改造が過ぎる!
なんだパンダにレーザー搭載って? 意味わからん。
「このレーザーパンダ様のレーザーでてめえを葬ってやるぜー! ぱふぁふぁふぁふぁーっ! 食らえーっ!」
「うおおっ!?」
左右の砲塔からレーザーを連射される。
あんなものを食らったらさすがにヤバいか?
いやでも今までいろんな攻撃を受けても無傷だったし……。
「うあっ!?」
避けそこなってレーザーが腕をかする。
と、やや鱗が剥がれてわずかな痛みを感じた。
「いや、食らうとやべえっ!」
直撃を食らえば死なないにしても大きなダメージを負う。
それがわかった俺は必死になって避け続けた。
――お、なんかおっさんヤバそう?
――ついにシルバーライトちゃんだけのチャンネルが戻って来るか?
――おっさんしぶといから無理でしょ
――パンダがドラゴンに勝てるはず……
――でもレーザーだぜ? レーザーならドラゴン倒せそう
――そうかな? そうかも
「避けるのはかわいくねーって言ってんだろっ! いいかげん食らいやがれっ!」
「冗談じゃないっ!」
なんとか隙を見つけてこちらの攻撃を……。
しかし一瞬でも足を止めれば狙い撃ちされそうなほど、レーザーの連射は早い。
とは言え、永久には撃てないはず……。
「ぱふぁふぁふぁーっ! エネルギー補充だーっ! 笹ぁっ!」
「はいっ!」
近くにいた黒づくめが笹を1本、レーザーパンダの口へ押し込む。と、
「エネルギー満タンだっ! まだまだ撃てるぜっ!」
「なんで笹でレーザーのエネルギーが回復するんだよっ!」
「ぱふぁふぁふぁふぁっ! 俺様は下層に生息するパワーパンダの遺伝子を持つ怪人だっ! パワーパンダは食った笹をパワーに変えて攻撃力を増すっ! 俺様は笹を食うことでパワーを増し、それをレーザーのエネルギーに変換できるのだーっ!」
「なんだそれっ! クソっ!」
笹1本でエネルギー満タンじゃいつレーザー攻撃が止むかわからない。
このままでは避け続ける俺の体力が先に尽きてしまう……。
「シルバーライトボムだーっ! 食らえーっ!」
「なにっ? うおおっ!?」
トラックの上から焔ちゃんがレーザーパンダの砲塔へなにかを投げ込んだ。
ズドォォォン!!!
すると砲塔の1本が内部から爆発して粉々になった。
「ふ、不意打ちとはかわいくねーぞこの野郎っ!」
「野郎じゃないしーっ! てか、かわいいしっ! パンダよりわたしのほうがかわいいしっ!」
「馬鹿野郎っ! パンダは世界一かわいいんだよっ! パンダよりかわいい生き物なんていねーんだっ! 俺に攻撃したらちびっこ泣くぞこの野郎っ!」
――レーザー背負った邪悪なパンダが傷ついてちびっこ泣くかな……?
――シルバーライトちゃんのほうがかわいい。おっぱいでかいし
――おっぱいのでかさとかわいさって関係ある?
――ある
――でもパンダはもふもふだぜ?
――もふもふよりパフパフが好き
俺ももふもふよりパフパフが好き。
いや、それよりも砲塔を1個失った今がチャンスだ。
「よしっ! ジャスティスドラゴン……」
「させるかーっ!」
「えっ? うわっ!?」
レーザーパンダは側にいた黒づくめを掴んで俺へと投げてくる。
それをかわした俺の目に映ったのは、車の後部座席に乗り込んで逃げようとするレーザーパンダの姿だった。
「待てっ!」
「待つか―っ! おらっ!」
残った砲塔を窓から覗かせてレーザーを撃ってくる。
「こ、この……ドリルウロコパンチを……」
「食らえっ!」
「うわっ!?
今度は車のうしろから煙幕が。
その煙でなにも見えない中、車は走り去ってしまった。
「逃げられたか……」
人に避けるのはかわいくないとか言っておきながら、ずいぶん不細工に逃げて行ったものである。
――逃がしたか
――不細工な逃げ方やなー
――失望しました。もう動物園にパンダ見に行きません
――パンダよりシルバーライトちゃんのパンツ見たい
――おっさんのパンツなら無料公開や
――誰が喜ぶねんそんなの
パンダよりパンツ。
焔ちゃんのパンツ。
それはともかく、逃がしはしたものの、無事に終えることはできたか。
「ドラゴンブラックさんっ! この人、怪我してるみたいだよっ!」
「えっ?」
トラックから降りて駆け寄った焔ちゃんの側で、服部さんが苦しそうに呻いていた。
「胸に大きな怪我を負ってる……。早く病院に連れて行ったほうがいい」
「うん。今日はこれで配信終わりだね」
そういうことで、俺たちは服部さんを病院へ連れて行くことにした。




