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輪廻創世 アルヴァーナ  作者: ひやニキ
Chapter5 The Breaks
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第72話 譲れない"モノ" 前編

 一瞬、カンナギ隊の間にざわめきが走る。


太極図システム——それについては、九重共和国ですら全貌を知る者はいない。


ヒヅルの戦いを見たカンナギ隊の間でも、戦闘中に発揮される圧倒的な性能の裏に

『何か秘密が隠されているのでは?』

と噂されている程度で核心にも至っていない。



「まず第一に、どうしてお前がそれを知っているのかしら?」


ミランダの声は冷静だが、その目はサチハラを鋭く見据えている。


「そんなん言うたら、この商売成り立たんわぁ。

あんたらが戦場で掘り出す情報、こっちも同じく掘り起こすだけやで?」


「つまり、情報と引き換えにゃ、キッチリ機体の残骸を売ってくれ、ってことか。

やなヤツだぜェ……」

「おや、辞書通りの"公平"というのはそういうことちゃいますの?」


苦々しくするウォルノの顔が一層、歪む。

対するサチハラの顔には、薄っすらとした笑みが浮かんでいる。

もちろん、その目は冷たいままだ。




ここで安易に応じてしまっても、確かに良い。

システムの謎が解明されることは、共和国軍の軍備増強に直結するかもしれない。


だが、その陰には暗い影が潜んでいる。

過去の戦禍を売買の対象とすることで、未来への脅威が生まれる。

その皮肉な事実を忘れてはならない。



あまりにも容易く、誘惑に身を委ねることは、まるで魂を売るようなものだ。

彼女はその誘惑に立ち向かう選択を、強いられている。


「確かに、私達はその情報がほしい。

だが、戦後の残骸を外へ放出することは、新たな戦火の火種となります。

平和のために戦うものが、その火種をばら撒くことは許されざる行為。

その想いは譲れません」


凛とした、強さと決意。



「ほぉー。でもな、私達は商人やで?

結局他の誰かが同じことやることには変わらないで?」


彼の声には、やや皮肉めいた口調が漂っていた。

今度はリンドウのきっぱりとした口調が、サチハラに投げかけられる。


「誰かがやるのであれば、尚のこと我らは応じないよう務めるべき、かと」


「ははっ、これは素晴らしい心がけで。

完敗やな。じゃあせめて鉄骨や建材、通信機器なんかで使い物にならんやつ、引き取らせてくれや」

「……その条件であれば飲もう」


「ほな、取引成立や」

サチハラは陽気に言い放った。




「太極図システムのことやけど……これについてはちょっと興味深い話があるんやで」

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