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輪廻創世 アルヴァーナ  作者: ひやニキ
Chapter4 伊忌島からの凱歌 後編
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第69話 静かなる脅威

 「イチマルキュウ部隊、心よりカンナギ隊に感謝しております。

あなた方がいなければ、勝利は勝ち得なかったでしょう」

「とんでもございません。

我々こそ、あの日急襲を受けた身を助けてもらった恩を返しただけでございます」


リンドウ司令官と、ミランダが熱い握手を交わす。

地はえぐれ、多くの砲台が崩れ落ちた島の中央。

多くの犠牲を払いながらも、彼らは生き抜き勝利した。



「この後はどうするのかね。

ワシが思うに、島の復旧を早くせんと次こそ堕ちかねんが」

「私の見立てでは、ラインハルト領も不安定になった今、1ヶ月は攻撃は無いと思われます。

その間に以前より増強を図るだけです」


ジェイはリンドウの自信ある言葉を聞いて、フッと笑った。

「それに、敗残兵をしっかりと捕虜……労働力として使わせて頂こうと思いますし」


ちゃっかりした男だ。

元より人的資源すら貴重な世界だ。

互いの領地内で敗れたものは、それなりの待遇下で捕虜の扱いは暗黙の了解みたいなものだ。



「それと、すまない。

本当はモンゴル地区奪還こそ我々カンナギ隊の最初の任務だったが……。

この有様では私達もすぐにここを動けないし、指示も待つことしかできぬ」


その言葉を聞いて、ふふ、とリンドウが笑う。

「当然想定済みです。最低限の修繕はさせて頂きます。

それに評議会より電報をいただいており

『カンナギ隊は指示があるまで動かぬよう』とのことでした」

「それを聞いて安心しました。ありがとうございます」


ミランダが一礼すると同時に、ジェイがずいと出る。

「ところで、リンドウ」

「なんですか?」

「この後、一杯だけやらんかね。かつての同志への手向けに」

皺と年季の刻まれた2人は楽しそうに、しかし悲しげに微笑むのであった。




 「ヤクシャは今度は上半身作り直しだよぉ〜勘弁してくれ〜〜!」

クニトモは今回の戦闘で悩みが尽きない。

折角万全にしたFS達が、中破や大破で帰ってきたからだ。


下手をすると、日の本地区に帰らないと一部は修復すら不可能だ。

元の任務と違うとはいえ、大きな貢献を果たしたのだから機体パーツくらい評議会も気を利かせて欲しい。

エンジニアは一糸乱れずそう思っている。




 特に損傷が酷かったのは……当然彼だ。

「あーぁ、こっちはずいぶんとバラバラに……」

格納庫。片腕の無いアマテラスを見上げて、クニトモがぼやく。


「今回はビーム砲身でぶん殴らなかった分、及第点だけどさあ君ねぇ~」

「仕方ないことでしてよ。

私はともかく、ヒヅルは総大将を御したんだから。

あ、ヒヅルー!」

コックピットが開くのを見て、フィリスが近寄る。



が、ヒヅルは満身創痍であった。

ふらついたかと思うと、そのまま落下していく。

間一髪で作業員たちが下で受け止めたが、様子がおかしい。


「大丈夫だよ、フィリス。少し……疲れちゃっただけさ。

クニ……さん。雷震をありがとう。

決め手に……なったよ」

「ヒヅル!喋らないで!

大丈夫!?どこか怪我でも……これは!?」

フィリスは目を疑った。

パイロットスーツの上半身を脱がすと、そこには右肩の付け根が真っ赤に腫れていたのだ。


「この痕って……まさか!?」

アマテラスを見上げる。

その傷は、まさにヒヅルが自ら切り落としたアマテラスの肩口と同じ位置だった。


それだけではない、全身のアザはアマテラスの"それ"と同じ箇所に位置していた。

こんなことは、かつて誰も見たことがない。


「一体……どういうことなの?

ヒヅル、アマテラス……あなた達は一体」

フィリスの疑問をよそに、鋼鉄の巨人は沈黙を貫くのであった。






ブラダガム帝国、皇帝居室。

「皇帝陛下、失礼いたします。シードルにございます。

ヴァッカ連邦代表と、連邦国際裁判所への訪問日時が確定いたしました」

「うむ。あの忌々しい共和国へ鉄槌を下すのだ」

ハッ。と短く答えながら、シードルは笑みを浮かべる。



パーツは揃いつつある。あとは賽を投げるのみ。

世界を純化するために必要な犠牲。

我々の世界を女神の元、捧げるために。


まことに人は愚かなものよ。

この戦争の先に、何があるのかを知らぬ者たちよ。

争うがいい。骨の髄まで、な。




新たな想い。

新たな課題。

新たな謎。

それを残しつつも、ひとつの脅威が去った。


この時は誰もヒヅルの傷痕の意味にも、新たな脅威にも気づくことはなかった。

【ライナーノーツ】

1 タイトル元ネタ:地球防衛軍5 ミッション7「静かなる脅威」

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