第60話 逆転のC 〜Composite Crimson〜
砂浜を兵士たちが、同胞の屍を超えて突撃する。
死の戦列は未だ途絶えることはない。
「クソがっ!九重の亜人ども!」
紅い紅い血を流す味方の死体を盾にブラダガムの兵士がライフルを乱射する。
が、虚しく眉間に風穴が空く。
「ぐあっ!」
「ツチミ!くそっ、こちら地下壕北東部!もう抑えきれない!」
その通信を最後に名もなき九重兵士は、爆破に消えゆく。
それを契機に帝国軍が海岸へ大挙する!
「敵の銃撃が弱まった!突撃!!」
「司令、敵が大群で乗り上げてきます!」
「そろそろ、ですね。C爆弾、起爆準備」
兵士が海岸を走り抜け。
まだだ。
PSが海を飛び越えてきた。
もう少し。
そして、FS部隊が海岸上空を通り過ぎようとする、、
今だ!!!
「C爆弾第一波起動!、続いて、二〜五波!」
「了解!!」
カチッ。
スイッチの音と共に海岸線が地の底から弾け飛び、大爆発を起こす。
砂塵に埋められた"それ"は何度も何度も、鳴り止んでは再び荒れ狂うような轟音を立てて真紅の爆煙を吹きあげる。
「これも、皆さんの小さな努力の積み重ねのおかげです」
夜な夜なヒヅル達が埋めていた小さな爆弾。
それが戦局を変えた瞬間であった。
「!!!今だ!空中で体制を崩したFSに副砲をありったけ撃ち込め!
ヨシヒロ、舵をまっすぐ海岸線へ転換!」
「既にしておる!」
ここぞとばかりにカンナギも残った敵を掃討する。
撃たれっぱなしだった艦も一転攻勢だ。
これにより、前方から仕掛けてきた部隊はほぼ壊滅の様相を呈した。
「オールアイ大尉!歩兵部隊壊滅!FSも多くの機体がロストしました!!」
羽根のついた拳を振り上げ、机上を叩く。
「ここまでとは……謀りましたね」
オールアイの声に呼応するかのように通信が入る。
それは紛れもなく、彼であった。
「へっ、こりゃ絶望的だなあ?オールアイ。
つまり、俺の出番がそろそろってこったあな!」
屈辱に表情を歪めるオールアイに、コックピットに乗ったラインハルトが明るく声をかける。
その声は、晴れのピクニックかのようにウキウキだ。
「ラインハルト様、そちらは」
「ああ、整備は上々よ。
訳わかんねえシステムも積んでねえ、マニュアル操作はやっぱ俺には馴染むなあ!」
「……ご武運を」
「当たり前だろうが、これ以上戦力を削がれたんじゃあたまんねえなあ?
それに……」
一瞥する島、その上空にエムルが映る。
「あの馬鹿な皇太子サマは死にてえようだなあ?」
吐き捨てるように、つぶやく。
「戦ってんのが海岸の時のガキか?
はあ~ァ!正義で飯は食えねえ、って言ったのによ。
まだわかんねえのかね、若い御仁達には」
目を瞑り深呼吸した後、最悪の男が覚悟を決める。
「わからせてやろうぜ、なあぁ?
ヴラドミール・ラインハルト。ホロボロス、出るぜ!!!」




