第57話 Flower of Laugh
「リンはまだ治療中、機体はボロだがお前達2人で頑張るしかねェ……俺も最新の玄蜂で空から支援する」
ウォルノがジェゴ隊、カルジとプレディに声をかける。
「前みてェな分断がなきゃ誰も傷つくこたぁねぇ〜ェ!
俺が空から引き付けるから一機づつ落としてくれよ!」
「「はい!」」
2人はボロを直してない機体に乗る。
装甲のあちこちにある焼け焦げが、少しだけツンと鉄くさい。
「なぁ、カルジ」
「どうしたープレディ」
「正直1発でも喰らったら、俺らやばいよなあ」
プレディは始まる前からこの弱腰だ。
1人の弱気は士気に関わるのだからやめてほしい、カルジはその言葉をグッとこらえる。
「あのなぁ、俺達の機体は元からそんな硬くねぇし今更、だろー?
前はPSからのニードルスピアくらいだけど、ビームバカスカ喰らってたらどの道オシマイだったって」
そんなに被弾を気にも止めてない。
そんな態度で強気に出ることがカルジの精一杯の気遣いだ。
「お、お前死ぬの怖くないのかよ」
「別に。リンの癇癪の方が怖い」
「それもそうか」
妙に納得できる理由を言ったのは、我ながらうまいと感心してしまう。
2人はリンがぷんぷんになるとこを想像して、優しく微笑んだ。
「あのなああァァ、お前ら真面目にやれよ!」
黙って通信を聞いていたウォルノが吠える。
叱りつけたあと、ウォルノは一呼吸置いた。
「ヘッ、空は苦手だが……お前がいりゃあ大丈夫だな。
行ってくるぜ。プルメリア」
そこには、普段とは違う優しい笑い方をする戦士がいた。
「クニさん!アマテラスは!」
「おぉー早いねぇ〜ヒヅルくん。
今回はマイティプランだ。遠近問わず華のある戦いができるさ」
クニトモが既に兵装チェンジを行ってくれていた。
今回はきっと、総力戦になる。
ありったけのパワーを使ってこの島を守る。
そして、話さねば。彼と。
アマテラスを見上げる。
「あれ?そういえば、なんで基本装備が”マイティ”プランなんですか?”バランス”とかでいいのに」
その問いにクニさんは不思議そうに答える。
「んー?基本フォームはマイティって決まってるだろ?それともなにかい、ドラゴンとかペガサスが良かったかい?」
「……は、はぁ?」
「いや、分からないよなあ。無事帰ってこいよ」
クニトモが親指を立て、グッドサインを突き出した。
コックピットに乗り込み、目を瞑る。
エムル、彼は必ず来る……その時は。
ビーッ!
「あら。今は1人にしておいた方が良かったかしら?」
不意にフィリスが通信を入れてきた。
「そんなことはない、よ。ありがとう」
「ふふっ、前ほど妹さんのことで動揺しないのね。
戻ってこなったら、私がその機体に乗ってやろうと思ってたのに」
クスリと可愛く微笑む。
「今はまだ敵……だから。そう思うしか無い。それに」
「それに?」
「僕がセイラと戦わなくていいように、ギリギリまでフィリスが頑張ってくれたんだ。
ここで逃げたらその想いも無駄にしちゃうから」
自分で言ってて、なんだそれという感じだ。
頬が少し熱くなるのを感じた。
「礼を言われるまでもないわ。
あなたが無事なら……私はそれでいいの」
「えっ?」
「なんでもないわ!通信切るわね!」
慌てた様子でそそくさとフィリスが画面から消えた。
何を言ってたのか、聞こえはせども意味はわからなかった。
でも、一つ分かることがある。
フィリスの可愛い微笑みを、また見たいと思ったことだ。
これから死ぬかもしれない。
そんなことは戦場にいる誰もが考える。
だからこそ、生きるのだ。
だからこそ、自分より大事なもののため戦うのだ。
だからこそ、大切な誰かを想うのだ。
【ライナーノーツ】
1 タイトル元ネタ:「Flower of Life」より。東方Project「桜花之恋塚」をボーカルアレンジした発熱巫女〜ず-の曲。
最近聞いてたので採用。
なんかバックグラウンドとか抜きにいい曲。平成のJ-pop風な感じがする。
2.描写について
マイティプラン:「基本フォームはマイティって決まってるだろ?それともなにかい、ドラゴンとかペガサスが~」
仮面ライダークウガのマイティフォーム、ペガサスフォーム、ドラゴンフォーム。
マイティフォームはバランスの取れた基本形態。




