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輪廻創世 アルヴァーナ  作者: ひやニキ
Chapter4 伊忌島からの凱歌 後編
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第49話 キャット&ウルフ 前編

 遠く、撃ち合いの音が聞こえる。

徐々にラインハルト軍も押し寄せ、浜辺にも弾が届き始めている。


鉛雨の音の中、ヤクシャもキャッシードも睨み合ったまま動かない。


「はァァ、ヒヅルの言う通りだ。

メスのハート撃ち抜いちまったな。

リィロン、機体分析しといてくれ」


了解と一言リィロンが短く答える。


「猫が犬風情と争うなんてね」

キャッシードが真っ直ぐに突っ込んでくる。

「どんなに可笑しいことでしょ!」


「来るか!」

「なんて、ね」

ウォルノもまた手のワイヤーを飛ばすが、キャッフェはそれをひらりと宙返り、背後へ着地する。


「身軽な!」

「あっ、そう!」


地面にしゃがみ込みダガーを振る黒猫に、ヤクシャも左手甲でガードをする。

すかさず右手のクローで突きをするものの、華麗に躱される。


「エースもね、ここでお終い!」

「そりゃあどうも!」


ダガーを弾き、互いにバック転で距離が空く。

「解析完了!」

「オォン?はえーな!流石俺が作ったアンドロイドよ!」


「敵武装

・ヒジ部ビームナイフ2本

・クロー内蔵手甲

・腰部ダガー2本

・前腕ビームピストル2丁

・背部ウェポン2連装ショックカノン×2!


運動性重視、電撃戦特化機体ダ!」


軽量かつ、近〜中距離特化の武装のみ。

ウォルノは解析結果以上に気掛かりなことがあった。


「なぁ、ついでに『この2機』とのデータの照合だけ頼んでいいか?」

「ハァ??了解」


(俺の読みが正しければ、アイツは……!)

「にゃはぁ、距離を取っても同じこと!」


すかさずキャッフェがビームピストルを前腕から展開し乱射する。

ワイヤーを交互に地面に打ち込み、空を起動しながら回避するウォルノ。


「もらったぜぇーーーッッッ!」

「はにゃ!?その角度は!」


猫の視野は前方200度である。

つまり、その角度から少しでも出れば視界の外に消えることが可能なのだ。


ウォルノは、着地点をキャッシードの首可動範囲とそこから算出される有効視界範囲ギリギリに着地をしたのだ。


「やっぱりな!食らいやがれーーーッッッ!

クローによる一発の殴りから蹴りの連携を入れる。

吹っ飛んだキャッシードは空中で体勢を立て直す……かと思いきや。


「暴猫キャッシード、なめんなよ!」

軽くキレるキャッフェ。

すかさず四足歩行の猫型に変形・着地を行う!


「へ、変形するFSかよ!どんなフレームしてやがる!」

「古代の世界(オーバーテクノロジー)の猫型ロボットにゃ!どんなもんだい!」


目にも止まらぬ突進。

ヤクシャは回避できず、吹っ飛ばされる。

「がァァーッ、どっちかにしやがれ!」


「ウォルノーーッ!」

ヒヅルが空からキャッシードの方へ砲塔を向ける。

「ヒヅル、テメーは空にあたれ!1匹でも島の地を踏ませるな!」

「くっ…」


 ウォルノの背後から降ってくるビスクドール1機をアマテラスが撃ち抜く。

「よそ見してる場合か、ヒヅル!

とは言え今の貴様はオマケに過ぎんがな!」

「……誘導ミサイル。目標、カンナギ隊」


はるか上空からメドラードのガトリング、イゾルディアのマイクロミサイルが降り注ぐ。

「全部は捌けない!」

「キャーシャ隊、全員背後上空!ミサイルだけでも撃ち落として!」


ヒヅルのサポートにフィリスと配下が入る。

が、数発カンナギに被弾が入る。


「後部右舷被弾ネ!機関砲2砲門破損!」

「フム、切り込んで陣形を崩す。綺麗な連携だ」

「感心してる場合か、副長!

誘導ミサイル『泰山』装填!目標上空敵機!

撃てーッ!」

ミランダが対上空に気を取られる。



 無論、その機をラインハルトが逃さぬ訳がない。

「今だ!海上部隊一気に近づけ!」

その一声を受けて、敵が速度を上げ押し寄せる。


「あの猫娘やるじゃあねぇか。

アイツが敵1匹抑えてから流れ変わったなあ?」

上空部隊に入れて正解だったぜ」

ラインハルトは、行儀悪く机に組んだ足を組み直す。


「こちら海上部隊!一部のPSが上陸!

一気に敵基地へ畳み掛けます!」

「あいよ、その先は林だ。気をつけな」



刻一刻と、島が崩され始めている。

流石にリンドウはじめ部隊全員に焦りが見える。


「リンドウ師団長!使う時は今ですぞ!」

「…………」

リンドウは眉間に指を当てて、必死に思考を巡らせている。


「ええい、もう良い!

島中に設置された砲台を開け!

撃って撃って撃ちまくれ!」


「……!そうか!

全軍命令撤回!砲撃止め!

それが狙いです!」

すかさずリンドウは停止命令を出す。


だが、もう遅かった。

島の狙撃地点からは、浜辺に向けて砲弾の嵐を浴びせていた。

PSが砂浜で砕け散り、血溜まりが出来上がる。


「見せた、な?見せちまったなあああ!!!」

ラインハルトは邪悪にも満面の笑みを浮かべる。

策に嵌った瞬間であった。



「う……チキショウ、俺が崩されたばかりに。

飛んだミスだぜ……これで敵さんは艦砲射撃すべきポイントが丸わかり。

陥落は時間の問題だぜ……」

吹っ飛ばされた先でヤクシャが体を起こす。


「敵機ト、ヤクシャ・キャーシャ照合結果!

類似点多数!!」

「!!!やっぱりな!有効視界範囲も可動域も正解なワケだ」

ウォルノは"それ"に気づいていたのだ。


「ナンデ俺タチノ機体データト近イ?」

「そりゃあ、決まってんだろ……ってもうバカ猫来たのかよ!」


ショックカノンの連撃がヤクシャに降りかかる。

林と岩場を飛び回り、魔猫がウォルノに迫る。

「狙った獲物は、あ逃がさなぁ〜い!」

「エンジントラブル!残量バッテリー残り10%!」


万事休す。

「クソッ!ハヤテは?どこ置いてきた?」

「砂浜ニ、砲身東南東112.5度ヲ向イテ立テカケタキリ」


東南東112.5度、小高い丘の方面。

砂浜に取りに行こうにも敵が突っ込んでくる方向。


「……待てよ?ワイヤーは消費電力少ねェし使えるよな?」

「可能!デモソレダケデ、ドウスル?」

「決まりだ!飼い猫にお仕置きしてやろうじゃあねェか!」

【ライナーノーツ】

1 タイトル元ネタ:「キャッツ アンド ドッグス」2001年の映画。昔見た記憶がある映画。

見返そうなかなぁ。


2 余談 ビスクドールですが、本来仮決定で機体名決めないままここまで来ちゃった。

もう機体名がビスクドールでいいです(((

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