↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
輪廻創世 アルヴァーナ  作者: ひやニキ
Chapter4 伊忌島からの凱歌 前編
PR
47/120

第33話 紅緋色のイゾルディア

ラインハルトの宣戦布告が伊忌島全土に、冷たくそして激しく響き渡る。



「俺はあんたらに恨みは無いが、興味もねぇ。

ただお上の命令でよお、その堅固な要塞を落としてこいってことよ。


幾度となく島の侵攻をしくじった前任は、キチンと俺が捌いてやった。

だから、安心しな!今までのチマチマした退屈なゲームじゃねぇぜ!


もっとド派手なゲームをしようぜ!

じゃあな!」



通信が終わると同時に、響き渡る警報。

「海上に敵部隊5機確認!約5分後にこの島に到達します!」

「先方部隊、様子見…ってことね。

ヒヅル、フィリスの両名で出撃!」


きびきびと指示を出すミランダの顔は、既に生死の覚悟が決まった表情に切り替わっていた。



軍人は誰しもそうである。

誰がいつ死ぬかわからない、ギリギリの状況下。


島に上陸してから昨日までの束の間の、柔らかな時間。

それそのものが珍しいのだ。


その優しい時間を惜しみながら、ヒヅルはコックピットに搭乗する。


「ヒヅル、敵は海上だからウォルノは出撃できない。

機体修理が完了している私達しか!」


「フィリスが前で僕が後方から援護?」

「最初から!」

先の撤退戦の経験か、阿吽の呼吸を形成しつつある。




「ヒヅル・オオミカ、アマテラス!行きます!」

「フィリス、マドゥ=クシャ出撃!」


伊忌島の滑走路から2機が勢いよく飛び立ち、空を切り裂いて翔ぶ。

リンドウから2人へ通信が入る。


「敵の目的はこちらの勢力調査……、あまり深追いせずによろしくお願いします。

もし、あまりに押されるようなら、海岸線にFSを配備しますので、射程範囲まで撤退してください」



「「了解!」」

ヒヅルとフィリスは声を揃え応答した。


水平線の彼方より、迫り来る影が矢のように現れ出でる。


「来た!空中4機、ホバー1機!」

「分かっていてよ…………!あの子は!」


瞳に映された、海を割り滑るイゾルディア。

フィリスはその姿に、セイラの姿が脳裏をよぎる。



天使のような羽根をつけたビスクドール達が上空へ散開し、2人へ鉛の雨を降らせる。


ヒヅルは即座にスナイパーライフルをイゾルディアに向ける。

「連携重視……ならあれを落とせば!」


「ダメ!あなたがあれと戦っては!」

「落とされろって!?」

「分からないの!でもッッ!」



ヒヅルが放った2発の閃光を、イゾルディアは蛇腹剣で切り裂く。

「うるさい……4人も。敵も」


背部から誘導ミサイルを大量に撃ち返す。

誘導軌道上に味方がいてもお構いなしだ。


(海にハイブ無し……スナイパーライフルと背部ビーム『日照』の乱射でも捌ききれない!どうする……!)


「できるだけこちらで!」

マドゥ=クシャが両肩の盾内ビーム砲を回転乱射、縦横無尽の弾を減らす。



「この数ならまだできる!」

「その間に私が前へ!」

「上下だッッ!!」


フィリスの上下から、ビスクドールがセイバーを抜き切りかかる。

空中でフィリスが宙返り、剣先がかする。


「理解は便利ね、互いがどう動くか!」


宙返った合間に抜いたクナイが、下方の一機の羽根へ刺さる。

羽根をもがれた天使は、そのまま太陽から遠ざかり海へ叩きつけられる。


「距離……取った」

「させるかぁぁぁぁ!」

一振りの蛇は、天使へまとわりつく猫に噛みつこうとする!

その軌道を、ヒヅルはビームセイバーで弾き返す。


「なんなの……あなた」

「お前の方こそ!」




ヒヅルは奇妙な感覚があった。

蛇腹剣の動きが、分かる。


まるで、だだをこねるかのようなその振り方に合わせて切り払える。

不思議な感覚に襲われつつ、間合いを詰める。


「とった!距離!」

「…………」

メアリーは、知っているかのようにセイバーの振りを、飛んでかわして鍔迫り合う。


「………………」

「っ!!敵からの映像通信!?」

「知ってはいけない!ヒヅル!……ああっ!」


フィリスが必死でアマテラスの方へ、手を伸ばす。

が、伸ばした手は虚しくビスクドールに切り落とされる。


(気になる……なぜ分かる!互いに手の内が!)

ゆっくりと応答に手を伸ばすと、イゾルディアの心臓が映し出される。


そこには


(ヒヅル、あなたは)


「ッッ……!嘘だ……!!

君は、君は……ッ!」


顔の半分を隠す紅い髪。

胸元から下がった"それ"は、ヒヅルの胸元の"それ"と同じ。

そして、少し成長しているが、忘れ得ない顔つき。


(知ってはもう、戦えないの!)


「セイラ、なの……か」

「……」


前髪の間からちらりと覗く冷たい目が、ヒヅルを見つめるのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。