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輪廻創世 アルヴァーナ  作者: ひやニキ
Chapter4 伊忌島からの凱歌 前編
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第32話 堅城孤島のフォートレス 〜Assault Castle〜

 伊忌島は、北東から南西に伸びた形状の島だ。


西端には多数のヘブンズ・ギフトが発見された山、標高200mの『大蜂山』がそびえ立つ。


東半分は小高い100mほどの丘になっており、その中に最重要拠点たる滑走路がクロス状に展開されている。


九重共和国軍基地はと言うと、丘の南側に配備されている。

だが、北側は遠浅の海岸が西から東へ一直線へと続く。

敵に上陸してくれと言わんばかりの広いビーチだ。



「逆を言うと、帝国側の攻め手はこの海岸から大蜂山のみとも言えます」

伊忌島、イチマルキュウ師団基地の作戦司令室。

師団長のリンドウがカンナギ隊を集め、静かに島の地理を説明する。


「だが俺ァ疑問だぜ。

この島は対FS砲台が至るところに設置された、いわば要塞状態だ。

なんで今までの敵襲を、小規模FSのみで耐えてきたんだ?」


ウォルノの問いにも、さらりとリンドウは事細かに答える。



「この拠点の防衛が長期戦になることが見込まれたからです。


そのためには、帝国が本気でこの島を落としにくるその時まで、こちらの手の内を明かしてはいけません。


こちらから全力で砲台を使えば、射撃位置が特定されて艦砲射撃で潰される。

そして一気制圧が関の山。

故に限られた数台を除いての射撃制限は、徹底して聞かせております。


他に知りたいことはありますか?」



戦略と統率が活きた戦術だ。

ジェイもその答えにウム、と一言頷き感心している。

その横からミランダが、真剣な面持ちで小さな手を挙げ質問する。


「では、私から。

この島には、縦横無尽に地下道が張り巡らされている。

それも、2m級PSが通れるほどのもの。

アリの巣のような広大な地下道では、上陸を許した際に一気に制圧されかねませんか?」



「おっしゃるような心配は勿論、ゼロではありません。


ですがそのデメリット以上に、敵の砲爆撃下でも地表に身体をさらすことなく、陣内の移動や指揮連絡が適切に行われるメリットを優先しております。


各トーチカ(出入り口)は土嚢で固め、草木で覆い、可能な限り判別のつきにくい構造にも仕上げてあります。


更にはダミーのトーチカまで形成し、敵を行き止まりの穴へ誘い込む罠も多数あります。

なので、皆様くれぐれも地図は把握されるようお願いいたします」



「では、最後にワシから興味本位で。

大蜂山内部の……、超古代遺跡も要塞に組み込み済みなのかね?」

ジェイが遺跡に興味を示すことに、ヒヅルは少し驚いた。


そう言えば、ウォルノも漢のロマン〜のようなことを言ってたことを不意に思い出す。


「まだ未解析の部分もあるため、全部を要塞としては改造しておりません。

ただし、格納庫やFSの発進路の確保と、砲台配備はされております。


射撃戦は高所を取った方が有利ゆえ」

その答えにジェイは少しホッとした様子であった。



「カンナギは丘の麓から海岸を撃ち抜ける位置に停泊状態です。

とうとうブラダガム側は『ラインハルトが動いた』との情報も入っております。


これから厳しい戦いになると思われますが、皆様のお力をお貸し頂きたいです。

よろしくお願いします」

深々とリンドウが頭を下げる。



もとより、カンナギ隊は最前線の苦難極まる戦地を処理する特殊部隊だ。

モンゴル地区が突破された今、敵の剣先はこの島と言っても過言では無い。


ならば、初舞台がこの島から始まるのも自明の理。

先の逃亡劇で命を助けてもらったことと併せても、断る理由もない。


「中央司令部より、我々にもこの島の防衛を第一優先に戦務にあたることを言われております。

ともに、戦い抜きましょう」

ミランダが改めて握手を求め、リンドウもそれに応えた。




と、同時である。

大きな信号弾の音が響いた。


「敵か!!」

作戦司令室内に緊張が走った。

すると、ひとつの通信が基地に入ってきた。


「あ〜、あ〜。

共和国軍、伊忌島の軍人さん方。

聞こえてるかい、俺はブラダガム帝国の"ヴラドミール・ラインハルト"っつーんだがよ。


大事な話があるんで、ちゃあ〜んと聞いて欲しくて通信を入れてやった」

少しダミがかった、含み笑いをするような話し方。


(この声の主が…!)

ヒヅルは直感的にこの男は何かヤバいと感じた。


「悪ぃなぁぁ〜、今日から。

お前らを本格的に……潰す!」

【ライナーノーツ】

1 タイトル元ネタ:無し。

伊忌島のテーマを一言にまとめてます。

強くて固い、そんなイメージの言葉で形作ってます。


固いのは武装ゆえにあらず、その最もたる所以はある意味リンドウの知略なのかもしれません。


2 キャラクターについて

リンドウ→漢字で書くと「林道」です。

多重モチーフのため固定の1人または1個が元ネタではありません

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