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底辺男のミセカタ 〜ゴミスキルのせいで蔑まれていた俺はスキル『反射』を手に入れて憎い奴らに魅せつける〜  作者: 筋肉重太郎
第二十五章 第二防衛基地での契約

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似たもの同士

 天井の人々を連れてくる。その言葉の意味はなんとなく理解できたが、僕にとってはどうしても、それだけでは納得できなかった。


「ちょっと待ってよ。僕は黒ジャケットと会いたいんだけど」


 その言葉に異能大臣は目を丸くした。


「驚きましたね。まさか桃鈴才華ともあろう者が、犯罪者である黒ジャケットに気があるとは――「ふざけないで。異能大臣様ならわかっているんでしょ?」……ま、そうなんですけどね」


 先程のクイズと言い、今日の異能大臣は遊びが多い。まるでクリスマスの夜が待ちきれず、寝る時間なのにテンションがずっと高い小学生のようだ。


「まぁ、派閥が最優先で後回しにしているだけで、黒ジャケットのことならこちらでも色々と考えていますよ。大丈夫です。物語は計画通り、スムーズに進んでいます」


 異能大臣はどこ吹く風と言わんばかりに答えるが…………何が計画通りだ。


「で? 第二防衛基地を"伸太に"壊されたのも計画のうちってこと?」


「…………」


 異能大臣から言われたことだ。そして橋波くんのあの感じ。第二防衛基地に近づいていくにつれ感じた懐かしい精神力。間違いなく伸太はあの場所にいて、第二防衛基地を破壊した。


「……やれやれ。さすが、そう簡単に手玉に取られてはくれませんね」


 すると異能大臣は新しいタバコを取り出し、ライターで火をつけて口に咥える。


「……彼は信じられない速度で強くなっていますよ。それこそ、私の計算を超えるほどに……さすがはあなたの思い人だ」


(……ちっ、ちょっと嬉しくなっちゃった)


 こんな胡散臭い大人でも、伸太を褒められるとどうしても嬉しくなってしまう。


「……そういうのはいいよ」


「とにかく、黒ジャケットについてはあなたは迷わなくとも良いのでは? 彼も最終的な目当てはあなたのはずです。なぜ急ぐのですか?」


「そんなことはわかってるよ。でも、僕にとっては黒ジャケットは救い出す対象であって、()()()なんだ」


「……ほう?」


 伸太が僕を目標にしている自分でもわかっているし、そうじゃなかったら許さない。だが、僕は伸太を殺したいわけではない。むしろ伸太は取り戻し、助け出すべき対象であり、()()()である。僕の目標はもっと先にあるのだ。


「僕の目標は……黒ジャケットの裏にいるあの女」


 そう。伸太の目標が僕であるとすれば、僕の目標は伸太の裏にいる神奈川派閥から出てきたポッと出の寄生虫。


 今あの女の顔思い起こしただけでも虫唾が走ってくる。全てはあの女のせいに違いないのだ。


「……ッ!」


 僕は思わず伸太から初めて一撃をもらったアゴを撫でる。威力はともかくとして、あの一撃は間違いなく僕を殺すために打たれた一撃だった。そう確信しきれる位の殺意と意志が感じとれたんだ。


「伸太はあの女に操られてるんだ……」


 ずっと疑問だった。どうして僕から離れたのか、離れるとしても、どうして犯罪者になったのか、どうしてあの拳には……殺意が込められていたのか。病院でゆっくり考えて、そしてはっきりしたんだ。





あの女が原因だったんだって。





「だから僕は許せない……裏で伸太を操って、自分は手を染めないアイツを…… 1番の原因のくせに、あたかもオマケって顔をしてるゲロメス……」


 駄目だ。考えているだけであの顔を八つ裂きにしたくなる。


「だから今のままじゃ足りないの。必要なら、昨日みたいに単独で出張しても構わないわ」


 伸太を取り戻すためならなんだってやってやる。しかしそれは僕の力だけでは成されない。僕を壇上へ連れて行ってくれる協力者が必要だ。


「だからお願い――――」


 思い返してみると、僕と異能大臣の関係はなぁなぁでお互いに目的は知っているだろう。と言うていで進んでいた。だが、これから先はふわふわした関係じゃ駄目だ。僕と異能大臣の間に確固たる契約を結ばないといけない。


 そう決心した僕は、憎悪で滲んだ瞳を異能大臣に向けて、たった一言だけ言葉を言い放つ。





「僕に、あの女を殺させて」





 たった一言の呪文の詠唱に答え、悪魔の口が大きく歪む。


 それは奇しくも、田中伸太と黒ジャケットを彷彿とさせた文字通り悪魔の契約だった。

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