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マザコンアタック後編

いろいろと重たいような、いい加減なような話です。

ちなみに姐さんの胸は男のそれとほぼ同じです。

「あ、氷見院さん、見てよこれぇ~」


やっぱしエライ事になってました。

渡辺先生は泣きついてきた。よく見ると顔には引っかき傷があった。


「あちゃ~、先生も災難でしたね」


「これは災難ってもんじゃないわよぉ~!! これじゃお嫁にもいけないわぁ」


「先生には旦那様がいらっしゃるでしょ!」


「あ、それもそうねぇ~。やだわ私ったらぁ~」


冗談やボケでは済まないような事を言っている先生をスルーして、うずくまって泣いている竜輔に歩み寄る。

これは私の責任……なんだよな?


「ほらほら竜輔、こっちおいで」


くぅ~、虫唾が走る演技だな。


「かあちゃん!」


竜輔は嬉しそうに私に抱きついてくる。

まったく、体が小さければ絵にはなっていただろうに……


「かあちゃん、かえろ!」


「え!? あ~うん。帰ろっか?」


手を繋いで、保健室をとりあえず出る。


「あ~、先生! 忌引きの早退にしといてください」


「わかったわぁ~。がんばってねぇ(シクシク)」





で、今、校門を抜けたとこです。

竜輔はニコニコしながら私の手を引っ張る。


「はやくぅ、はやくぅ」


え~と、顔だけです。顔だけ可愛いのは認めます。

しかし、体は私とそんなに変わりません。キモイって言えばそうかもしれません。

こんな姿、誰かに見られたら最悪です。


「かあちゃん、のどかわいたぁ~」


はいはい。自販機で買ってやるからさぁ~。

うんざりだ。こんな事いつまでもやってたらこいつの事は絶対嫌いになってしまうだろう。

さて、何処に連れて行こう?

家に連れて行くのが一番安全だ。

しかし……親父とお袋殿は仕事で家にいないのを差し引いても、メイド達が問題だ。

大体、家のメイドどもは何かにつけて影でこそこそとしている問題人ばかりだ。

こんなに豹変した男を連れて変えるのは……ヤメだヤメだ。竜輔の家に行こう。

未だ手を離そうとはいない竜輔を引っ張って清原家へ歩を進めた。





「ここでいいんだよな?」


何処にでもありそうな一軒家。

表札にはちゃんと“清原”の文字が書いてある。

さて、鞄の中に鍵ぐらいはあるだろう。

竜輔の鞄から鍵を見つけて、ドアに差し込む。

ノブを回して中に入る。


「ただいまぁーー」


竜輔は元気よく誰もいないはずの家に叫んだ。


「おかえり~」


ノリで言ってみたが、なんか悲しい。


「かあちゃん、ごほんよんで!」


いつの間にやら竜輔の手には絵本が握られていた。

はい!? 私は生まれてこの方絵本を幼児に読んで聞かせた経験はありませんYO!

誤算だ。家に帰ればなんとかなると思ったが、面倒を引き起こしてしまった。

しかたない、愛の鞭とかいうのをやってみるか!


「竜輔、あんたもうガキじゃないんだから、一人で読めるようになりなさい!」


「や~だ~、よんでぇ~」


なるほど、相当母親に甘えて育ったんだなぁ。


「だ~め! 1人で読めるようになるまで夕飯はなしだよ!」


「ぶぅ~~」


拗ねた。

1人で渋々絵本をパラパラと見ていく。

しかし、よくもこいつ絵本なんて残してたなぁ。ウチにはまだあったかな?

まぁ、どうでもいいけど……

する事がないので、2階にあるであろう、竜輔の部屋に行ってみることにした。





階段を登りきったところで二手に分かれていて、一方は机と小難しい本が一杯入った本棚。てっきりここかと思ったが、高校生の部屋にしては殺風景すぎる。

ここは父親の書斎なのだろう。

もう一方は机とグチャグチャの本棚、テレビ、ベッド。


「ここか?」


始めて入る同年代の男の部屋。

なんか緊張するなぁ~。

床には本が積まれていた。てっきりえっちぃ本かと思ったが……


「税理士をめざせぇ~!? こっちは……ローマの中心で哀を語れぇ~? これは……センチメンタルドラグーン究極攻略??」


テーマはバラバラで単行本やゲーム雑誌いろいろあった。


「でも、意外と普通なんだな~。ん? なんだこれ?」


机の上に置かれた写真たて。

写っているのは幼い3人の子供。竜輔を挟んで両側に女の子が写っている。

体操服を着ているところを見ると小学校の運動会のようだ。

左は美佳さんだろう。右にいる女の子は知らない子だ。

でも、誰かに似てるような……ま、いっか。

ふと出口を出ると、


「かあちゃん!」


いつの間にか竜輔がのぼってきていた。


「え、何?」


「それ、なあに?」


竜輔は私が持っていた写真を指差す。


「ああ、これ? さあ~何なのかね?」


写真を渡してみる。

なんか目の色が変わった気がした。

とその時、


「……俺、美佳、やーちゃん」


「は?」


「あいつ、いっつも俺がいないと何にもできなくて……」


「お、おい、竜輔? 記憶戻ったのか?」


「……少し一人にしてくれませんか?」


そう言われて私は竜輔の部屋をあとにした。 





しかし、ビックリだ。あんな急に元に戻るとは……。

階段から降りてくる音がする。

心臓がいきなり跳ね上がった。

どうする? 何て声かけたらいいんだ?

襖が開かれる。いつものクセ(?)でファイティングポーズをとってしまった。


「姐さん……」


「あ……てめぇ~明日、一応クラスの連中……じゃなくて、渡辺先生に謝っておけよ! 迷惑かけたんだし。」


「よくわからないんすけど、わかりました」


「で、あの写真……大事なものだったのか?」


疑問を投げかける私。


「えぇ、まぁ」


「ふぅ~ん」


さっき言ってた“やーちゃん”ってのが気になるけど……


「……姐さん、一つお願い聞いてもらえません?」


「何だ? 改まっちゃって」


「その……背中貸してくれませんか?」


始めは何のことかさっぱりわからなかった。

でも、竜輔の顔を見てなんとなくわかった。


「・・あぁ、背中とは言わずに……遠慮すんなって!」


竜輔は私に駆け寄ってきた。

私は竜輔を優しく抱きしめた。


「ううう……」


「無理しちゃってさ。あんまり溜め込んでっと体に毒だぞ!」


しかし、このときどうやら力が入ったらしく……


「ん~、ん~ん」


「おあ、しまったぁ!!」


とりあえず離す。


「ね、ねえさん、胸がぁぶはっ」


竜輔は鼻血を景気よくだして失神してしまった。

ま、いつも通りに戻ってよかったかな? あはは……











<<クラス会議>>


時は逆のぼって。

3-2では、


「さて、清原はどうでもいいにしても……だ」


「えぇ、問題は氷見院さんね?」


「もうやめようぜ、あの2人のことについて話すのはさぁ」


氷見院く……さんが出て行ってから教室は前々から噂されていた清原・氷見院カップルの事について話し合われています。

あ、申し遅れました。僕は3-2書記の島田健太しまだ けんたという者です。

趣味はカップルの研究です!

というわけで、僕もこの話し合いに参加しているわけですが、ホント今更なんですよ。

このクラスになる以前から彼等は付き合っていたという噂がありました。

事実、本当ですけど、時代は流れています。

今月(6月)に入ってからこのクラスで新たに付き合いだしたペアもいますし、隣のクラスが相手という方もいます。

例えば、窓際の列の前から2番目に座っている月河泉つきかわ いずみさんは3組の荒田良二あらた りょうじ君と付き合っています。デートはもうすでに2回やっています。

我が同士、永倉康弘ながくら やすひろ君の情報によりますと、2回目のデートで遊園地の観覧車の中でキスをしていたとの情報が入っています。

僕は永倉君に「そこまでやるな!!」とボコボコにしてやりましたので、もうこんなことは起きないでしょう。

話がそれてしまいましたが……あぁ、そうそう氷見院さんのことでしたね。

僕達の情報力を駆使しても今日まで氷見院柳さんが女だったという事がわかりませんでした。つまり、○モ説が有力だと思っていたわけです。

ですから、清原君には光る所があります。

僕は今度彼をスカウトしてみようと思っております。

そうしたら、この学校での情報収集力では右に出る者はいなくなるでしょう。あははは


「おい、島田、さっきから何ブツブツ言ってんだよ? さっき言ったこと全部写したか?」


「無論です、山南クラス委員長殿! 一字一句間違えずにメモしました」


「うむ、ご苦労。して、島田はどう思う? 彼等を応援するという案は」


僕はめがねのズレを直しながら、


「僕としては余計なことはかえって邪魔にしかならないと思います。ここは暖かく見守ってあげるのが得策です。

何せ片割れは108つの技を持つ“鮮血の拳”と呼ばれたお方です。下手に邪魔するとかえって我々の命が危ないです。

現に私の同士、永倉君も何度か命を奪われそうになっていますからね」


クラスからは「おぉ~」という歓声があがりました。

納得していただいたと解釈します。


「そ、それもそうだな。わかった。みんなはどう思う?」


「まぁ、島田が言うならなぁ~」


「確かにそれが一番かもね!」


「俺は明日、氷見院さんにアタックをかける!」


「殺されたいの?」


「でも、出て行く前に言った時の喋り方……やっぱ女なんだよなぁ~」


後半部分は好き勝手な話題になってましたけど、これにてクラス会議は終了。

明日清原君が元に戻っていたらアタックをかけてみようと思います。

さて、楽しみ楽しみ。


その後、島田を見たやつはいなかった。

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