夏休みアタック⑥
サブタイトルはいずれ修正したいと思います。
次の日、そのまた次の日とも部活は休み。
よって、聡の特訓に付き合っている。
日陰で姐さんと何故かおとちゃんが観戦してるって状況。
別に誰が見ていたってかまいはしない。
でも、俺にはやはり釈然としない。胸に変なものが詰まった感じで息苦しい。
というかストレスなのだろうか?
聡と何かしてるからダルイとかいうことじゃない。
「やっぱ……気になる」
「隙あり!!」
肘が俺の首に食い込んで派手に吹っ飛ばされた。
なんとも難度の高い技を覚えたものである……暗殺術くさいと思ったのは俺だけ?
とにかく、この時点で聡は俺を超えている。
「なぁ、今日はもうやめようぜ?」
屋上がとても暑いのもあるし、このままやっていたら命がいくつあっても足りない。
それに……
「なんだよ、まだ始めて30分だろ?」
「どうしてもってんなら、姐さんに付き合ってもらえって」
そう言い残して屋上を出た。
「どうしたんだ?」
廊下を歩いているときに後ろから姐さんに呼ばれた。
「別に何でもないっすよ。今日は気が乗らないだけです」
「……やっぱ気になるかぁ~?」
姐さんは俺の心なんて見透かしているのだろう。
地獄耳だし、最近は考えていることが顔に出てしまうらしいし。
「そうっすねぇ、気になる気になる……」
ポケットから1枚の写真を取り出す。写っているのは、藤原と春日。
見失ったのは非常に惜しかった。
あと少しで決定的な証拠を掴んで弱みにできるかと思ったのに……
「ぜってぇ掴んでやる!」
「馬鹿、何黒く燃えてやがる?」
「だってぇ、あのオババは卑劣で人をゴミみたいに見下してる冷血野郎ですよ!? 俺は何回あれに打ちのめされたか……」
なんか涙が出てきた。別にシリアスシーンで流すような涙ではないが。
「わかったわかった。で、あてあんのか?」
「生徒会室ですよ。あそこは生徒会の仕事で文化祭が終わるまでフル稼働ですからね」
3階にある生徒会室。
多分、今なら昨日会った残りの二人もいるはず。少し厄介だがここは監視だ。
あの2人が一緒に歩いているとこを……フフフ。
「何ニヤけてるんだよ。怖いぞ」
「ふっふふふ、今日こそは、今日こそは!!!」
燃える俺。復讐の時は近い。
生徒会室の前に立つ。
この扉の向こうに奴がいる。俺の倒すべき相手が……
「たのもぉ~~~~~!!!!」
勢いよく開け放つ。
正面の会長席に奴は……いなかった。
「あれ……あいつは?」
呆然と立っていると、背の高い男子が話しかけてきた。
「会長に用か?」
確か生徒会副会長だったはずだ。見るからに運動部の体格だが、こいつが実質№2。
そして、彼以外はもぬけの殻だった。
「会長、他2名は監査だのなんだので教室のあちこちに行ってるぞ」
「くそ、生徒会はいろいろ大変だな?」
「それ、皮肉か?」
「別に……あんたも大変だなって思っただけだ」
「そりゃどうも。伝言なら受け付けるが?」
「いや、いい」
生徒会室を出て、他の準備をしているクラスを訪ねまわった。
しかし、全部回り終わっても奴を見つけることができなかった。
「ったく、あいつぅ~~~!!」
「まぁ落ち着けって。明後日会えるだろうが」
姐さんはうちわで扇ぎながらだるそうに言ってきた。
いつもならその一言が嬉しくもあり、幸せだが、奴を見つけられないことの苛立ちで相殺。
+-0で何もなし。
とかなんとか言っているうちに、見覚えのある後ろ姿を見つける。
あの後ろ髪、間違いない!
俺はクラウチングスタートでその女子に向かって猛烈ダッシュする。
「うおぉぉ~~~、春日ぁ~~~~~~!!!!」
それに答えてか、振り返った女子生徒がなんだか怪物でも見たかのような顔をした。
ん? おかしい。春日ならそんな顔……
「人違いか!?」
「あ……ああぁ……」
女子生徒は泣きそうだ。というか泣いている。
髪型が似ていた。背丈も同じくらいだ。でも彼女はメガネをかけていなかった。
気の弱そうな女の子だったというわけだ。
きっと、ものすごい顔してたんだな、俺。
「あ、ごめんごめん。ちょっとした人違いなんだ」
それから必死こいて謝った。
その後、なんとか泣き止んでくれたときにはいわゆる黄昏な時間だった。
「ぬぉ~、見つけられなかったぁ~~~」
あの後、生徒会室に戻ったが鍵が閉まっていた。
まぁ今日は俺のミスだ。あいつを追い詰めることしか考えていなかった為か、ちょっと似てるだけですぐに奴かと思ってしまう。
「機嫌直せよ、そうだ、何かおごってやるよ。それで今日のことは忘れろ、な?」
な~んか姐さんってば優しい。
今日も俺の無様な行動にずっと付き合ってくれた。
何これ? もしかしてこれは………愛!?
「おぉ愛しの姐さん、おごってもらうなんてとんでもありません! 是非、私めにおごらせてください」
「お、おう、んじゃお言葉に甘えて……」
素直な姐さんも素敵だ……
近くのハンバーガーショップに入った。
提案したのは姐さんだ。
「お前の財布の中身なんて高がしれてるからな」
「はい、おっしゃるとおりで!」
俺は一番安いハンバーガーにしておいた。
「セットで注文してもいいか?」
「……お好きなように」
姐さんはどうもあの2段重ねのバーガーを注文するらしい。
少々値ははるが気にしない。
姐さんの為に使うのであれば、借金してでも支出してやらぁ!
「いただきま~す」
なんか姐さんはすごく嬉しそうだ。
なんでハンバーガー如きでそんなにも満面な笑みでいられるのだろうか?
そういや、姐さんがこんなにも近くにいるのに前ほど心ときめいていない。
は!? これは年月を経ることによる夫婦愛が冷めるのと同じ現象なのか?
あるコメディアンが言っていたあれじゃないか?
新婚当初、私はあなたさえいてくれればあとは何も入らない。
結婚して40年、側にいるだけで不整脈………
ぬぉ~~~~~、俺はそこまで老いてしまったのかぁ~~~~~!!!!!?????
「なんで頭抱えてるんだよ? そこまで会長が見つからなかったのが悔しいのか?」
「ううう……男には時として最愛の人にも言えないことがあるんっすよ」
「そうか、まぁ元気だせよ。このジュース美味しいぞ?」
「うぉ、喜んでぇ~~~」
普通のオレンジジュースなのに、やけに美味しく感じたのはきっと俺と姐さんだけだろう。
俺に限っては姐さんと間接キッスできたからぁ!!
……あ、そういや俺と姐さんって何回かしてるんだっけ?
むふふ、いやだなぁ~、あははは~。
「今度は何ニヤけてんだよ?」
「んっふっふふ、姐さん、今日はこの後って用事あります?」
「……ねぇけど、どした? “あれ”を追跡すんのか?」
「はい♪ もう“あれ”を追いかけるしか……ってうお!!」
姐さんが指差した方に例の二人、春日と藤原が仲良くバーガーを頬張っているではないか!?
「姐さん、“あれ”はいつからいたんっすか!?」
「俺らがここに入ってからずっといるぞ?」
「な、なんで早く言ってくれなかったんすか?」
「ん~~~、これはこれで後のリアクションが面白そうだったから?」
「で、リアクションのご感想は?」
「普通」
「さいですか……」
何はともあれ、ターゲット補足ぅ~~。ムフフフ
復讐のときだ、春日ぁ~~~~!!!
今日こそお前の化けの皮ひん剥いて、校内中に言いふらしてやるぜ!!
と、
「あらあら、お二人さん仲良く何してるのかしら?」
自ら赴こうとして立ち上がった瞬間、すぐ側に春日が立っていた。
こいつ、●歩が使えるのか!?
「春日……フフフ、ここで会ったが百年目! これを見よ!」
計画に支障が出たが、まぁいい。
俺はポケットの中をまさぐって例の写真を……ない。
「な、な、ない~~~~~~~~~!!!!」
「はいはい、他のお客さんに迷惑でしょ? もしかして、これのことかしら?」
春日は面倒くさそうに例の写真をつまんでいた。
「な……なんでてめぇが持ってんだよ!?」
「大方、これで私を強請ろうといたんでしょ? 残念ね、私とこの子はあんたが思ってる関係ではないわよ?」
隣にはいつの間にか藤原までいた。
「どうも……」
春日にぽんぽん叩かれているのがなんとも可愛そうな気がせんでもない。
いや、今はそんなことはどうでもいい。
「ふん、そんなもん同じ窮地に立たされた人間なら誰でも言う嘘だろうが! それとも何か? 証拠でもあんのか?」
「えぇ、まぁ、そんなものなくても、あなたの弱みを10個は握ってるから別にいいんだけどねぇ~?」
「ぬぁにぃおぉ~~~~~~~!?」
春日は鞄から小さい写真フォルダーを取り出した。
そして、2枚ほど取り出して俺に見せてきた。
「あ……あ~~~~~~~~~~~~!!!」
「ふふふ、生徒会長を舐めてもらっては困るわよ!」
その写真にはなんか描写したくもない写真がわんさか……というか2枚だが……。
「どんな写真なんだよ?」
姐さんが後ろから乗り出して写真を見ようとしてきた。
間一髪で写真をポケットの中にねじ込んだ。
俺はこれだけは姐さんに見られては不味いと思った。
これは非常に不味い! 世界が破滅する以上に不味い!
なんたって……あぁ~もう、こんなこと言えるか!!
写真を急いでポケットにねじ込んで、すかさず春日に問い詰める。
「てめぇ、なんだってこんな写真持ってんだよ!? 下手すりゃ犯罪だぞ、この野郎!!」
「まぁ肖像権の侵害にはなるわね~? でも、撮ったの私じゃないし~……ねぇ?」
「え、なな何だって僕に聞くんですかぁ? 僕でもありませんよぉ?」
藤原がなんか必死に俺に無実を訴えてきた。
確かに、こいつに限って嘘をついているとは思えん。
春日の前では毒舌狂だが、他の連中には気の弱い奴なのはこの短い期間でも理解できた。
「じゃあ、誰だよ?」
「さぁ? 案外近くにいたりしてね?」
「?」
なんとなく姐さんのほうに振り返る。
「どうした?」
「い、いえ、姐さんじゃないことは分かっているのですが……」
「あぁ、犯人は俺だ」
「へ?」
「嘘だ」
「ほっ……」
「嘘だ」(ニコニコ)
「……それって本当ってことっすか?」
「嘘だ」
「どっち!?」
あきらかに俺は姐さんと春日に遊ばれてる。
これはなんというか……
「清原さんも大変ですね」
何か知らんが藤原が俺に慰めるような言葉をかけてきた。
いや、これは皮肉か? 皮肉なのかぁ、藤原ぁ!?
もはや怒りの矛先は藤原に向いている。
それを感じ取ってか、藤原は春日に何らかの合図をおくった。
「そろそろ失礼するわ。ごきげんよう、清原君、氷見院さん」
後ろ向きに手をヒラヒラさせながら席に戻っていった。
「なんだかんだであの2人って仲いいのな?」
「そ、そうっすね……」
カメラを持ってくればよかったと心底後悔した。
「さあて、そろそろ帰るか?」
「そうっすね。って、あいつまだ俺の見てニヤついてやがる」
見ると、タイミングを見計らったように春日……藤原ペアもなんかここを出ようとしていた。
「も、もう少しここにいませんか? あの二人と一緒にでたくないし……」
「ん、ならもうちょいいてやらんでも……いや、すぐ出たほうがいいかも」
「へ?」
見ると、春日……藤原ペアもまたその場に座りなおした。
いや、待て待て。完全に俺らに合わせてるではないですか。
「何が目的すっかね?」
「こっちが聞きたいっつの……どのみち後をつけられるなら出たほうがよさそうだな」
その意見に賛成。
まぁ奴のことだから家に張ってる可能性も大アリ……んなわけないか。
大体、目的がわからん。もしかしてダブルデートの申し出か?
さっき、奴は藤原とはそういう関係ではないとは言っていたが、やはり俺の考えたとおりなのか?
いやいや、あの野郎が嘘をついてまで俺らをおちょくろうと思うはずがない。
トレイを片付けて、一気に駆け出す。
勿論、姐さんの手を引っ張ってだ。
と、そのとき、
「いやん、そんなにつよく引っ張ったら~柳、壊れちゃう~~~☆」
「はぁ!?」
待て、落ち着け、俺! 考えるんだ、俺! 焦るな、俺! クールになるんだ、俺~~!!
確かに、そういう言い方をする姐さんに萌えんでもない。
むしろ、萌える。の前に燃え尽きるかもしれない。
それはまさに何もない真っ暗な宇宙が突然ビッグバンとかいう核爆弾億単位クラスの威力の大爆発がおきて、地球やら、彗星やら、太陽やら……あぁ、順番がメチャクチャだ。
とにかく、そんな誕生劇が俺の心に生じた感覚。
おちょくられててもいい。遊ばれててもいい。
もう一度、その声を聞いてみたくて振り替える。
しかし、その握った手の主は……
「やぁ~ね、私に気があるなら初めからそうと言ってくれればよかったのにぃ~☆」
俺はみるみる石化していく。
それもそのはず。握っていた手の主は空いた手で胸の周りをモジモジさせながら上目づかいに俺をみている。
“メガネ”の奥にある目が不愉快なくらいにニヤニヤしている。
そう、彼女は……
「か、かかかかかかかかかかかかかかかかかか春日ぁ~~~~~~!!!!!????」
「ご機嫌麗しう、清原くん」
「て、てめぇ、さっきから会ってるだろが!? 大体、なんだって姐さんと入れ替わっているんだよ!?」
「あらあら、私の手をとったのは紛れもなくあなたよ? それ以上でも以下でもないわ」
「むぅ~~~」
「それよりも」
「な、なんだよ?」
春日はニヤけた顔を崩さずに手を指差した。
「いつまで、あなたのその暖かい手で私の手を握ってくれるのかしらぁ?」
「おあぁぁ!!!」
急いで握っていた手を離した。
なんかあれだ、そう、食事で落とした食べ物にふぅふぅしてまた口に運びなおす感覚で、手にふぅふぅして汚れた俺の手を清めた(つもり)。
「ほらほら、あなたの最愛の人はとっくに外に出てるわよ」
「え、まま待ってくださいよぉ、姐さ~~~ん!!」
全速力で姐さんの跡を追う俺だった。
<<幸介視点>>
「はぁ~、おちょくるの本当に好きっすね、春日さん。あれじゃあ、清原さんが可哀想だ」
「え~、何処がぁ? 結構楽しいわよ」
春日さんはなんか企んでいるような目をしていた。
「サディストが……(ボソ)」
「何か言った?」
「いえ、何も」
最近はなんだか清原さんばかり絡んでいるような気がする。
多分、惚れてるんだろうな。
全く、この人の好みはさっぱり分からない。
「何呆けているの? とっとと出るわよ」
「はいはい。次は何処へ?」
「え? そんなの決まってるでしょ? 帰るのよ、家に」
「あ……そうですよね。僕はてっきり」
「デートのお誘いかとでも? もしかしてこのまま『あ~んなこと』や『こ~んなこと』をする所にでも行きたかったのかしらぁ~?」
「え、え~~~~~」
なんかとんでもないようなことを想像してしまったのは僕だけなのか?
いやいや、そんなわけないじゃないか!
「あ、顔が赤いぞ~! うふふ、何? 本気にしちゃった? 別にいいわよ、あなたがよければね☆」
といいながら頬をつついてくる。
この人は僕の弱点を知っている。つまりそういうネタ。
でも別にそれを弱みに強請ってきたことはなかったはきっと奇跡だ。
清原さんにはするのにね。なんでなんだ?
「ほらほらぁ~、さっきよりも顔が赤いでちゅよ~? 今夜はお姉さんが添い寝してあげまちょうか~?」
赤ちゃん言葉とかいうやつで更にに攻撃を加えてくる。
あぁ、そういうことか! これが僕に対する強請り方なんだ。
それなら納得だ。清原さんに比べれば別にどうって事はない。
いや、あるな……。
姐さん、美佳、会長ルートでifが書けそうですが、それは気が向いたらにしておきます。※おとちゃんは省ります。




