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夏休みアタック①

時は流れて

「というわけだから、夏祭り兼学園際の実行委員の指示に従ってもらいたい。以上、解散」


とあるホームルーム。というか終礼。

なにやら、“夏休み中”にこの地域で行われる夏祭りとウチの学校の文化祭を一緒にやっちまうっていう、一大企画。

てか、やってらんねぇし!

なにそれ? つまりメンドイから一緒にやっちまおうっていう大人の横暴だろ?

ぜってぇそうだろ? かぁ~~、俺も黙っちゃいませんぜ、校長?

今からあんたをシめに行くから覚悟しとけよ、ゴルァ!!


「今日は一段と気合はいってんのな?」


「えぇ、そりゃ気合はいりますよ。だって、折角の……折角の俺と姐さんの最大の思い出づくり、学園祭なんぞで潰されてたまるか~~~~~~!!」


「ボエ~~~~~~」


誰かか吐く音がした。うむ、きっと彼だな。


「大丈夫かい、聡くん?」


「……てめぇ、わざとやってんだろ!?」


「はて? なんのことやら」


説明しとこう。聡くんはなぜか俺が姐さんとラブラブなことを考えると頭の中に入り込んでくるそうな。それがどうして吐き気に繋がるのかは知ったこっちゃない。

聡はファイティングポーズをとった。喧嘩を売られた以上、買わないわけにはいかない!


「この勝負、勝(買)ってやるぜ!!」


ふっ、決まった。必殺オヤジギャグ! これで誰も突っ込まずににはおれまい。

この勝負、もらった。

とそこへ、


「はいはい、そこまで」


姐さんが止めに入った。


「ほら、委員長殿がこっちを睨んでるぞ?」


おぉ、ラブコメの王道、『委員長は美少女』を綺麗さっぱり裏切ってくれるウチのクラス委員長殿。

どんなところかって?

そりゃ、“男”なら裏切ったことになるっしょ?

あれ、そういや前に出番あったっけか? まぁいいか。


「で、いつまでママゴトに付き合えばいいのかな、清原君?」


瓶底メガネのような丸いメガネがキラリと光った。

おぉ、なんて漫画チックな男なのだろう。


「ん~~~~、委員長の髪が全部白くなるまでかな?」


「……そうか、やってくるか? いや~、確かにこの仕事は君に適任かと思っとったのだよ。ははは」


はい? 何を話しておられる委員長殿?

黒板を見てみる。

書記の人がある役職に俺の名前を書いているところだった。


「では、清原くんをゴミ処分係に任命する! 異議のない方は拍手を!」


そして、クラスメイト全員が俺に拍手喝采をおくったということは言うまでもない。

つーか、あれ? さっきのギャグの突っ込みはなし?

……ふっ、さすが姐さん。ボケ殺しとはなかなか高等な技をお使いになられる。

それにしても、


「ひどいじゃないっすか、姐さん」


「何がだ?」


「だってぇ、姐さんだって俺らの話にはいってたじゃないっすか?」


そう、もうちょい早く俺に言ってくれれば、ゴミ係なんてメンドイ仕事に就かずに済んだのに……。


「何事にも考え方しだいだろ? 校門前でネミズーキングダムにいそうな着ぐるみ着て小さい子供に風船渡す係の方がメンドイし、最悪だと思うが?」


「なんでっすか?」


すると、姐さんはやれやれといった感じで言った。


「お前、季節考えろ。夏だぞ? 着ぐるみなんて着たらそれこそ蒸し風呂以上のレベルを体感することになるんだぞ? まぁ、なった奴もなった奴だが……、なぁ斉藤?」


「うっ、うるさい! 誰がこんなもん好きでやるかっつの!」


聡はどうやら着ぐるみ係になったらしい。


「いいじゃん、それで女子からはモテモテだぞ?」


「そうだぞ、聡。これはチャンスだ」


俺は親指を立ててグッチョイスサインをおくった。(ちなみに菫ちゃんという彼女もちなのは知っている。)


「あ・の・な~~~~うっ……ボエ~~~~」


聡はうずくまって吐くような声を出した。


「ほえ、またかい? 保健室行って来いよ」


「……憶えてろよ、クソが!」


雑魚敵のような捨て台詞を吐いて保健室に向かう聡だった。





そして、1学期が終わり、高校生活2回目の夏休みが始まった。

まぁ、何をするわけもなく時間は過ぎていく。

どんな辛いこと、苦しいことがあっても時間は進む、容赦なく。

それはどんな力をもってしても逆らうことを許されなく、動かすことのできない事実。

時の流れとは恐ろしいものだ。人はここまで早く老えるのだなぁ~。

そして、俺は結構詩人に向いてるのかもな? そう思わないか、聡?


「……知らん」


「あはは……何か言ってよねぇ」


何故か炎天下の学校の屋上に佇む俺と聡。

すっげぇ暑いんっすけど。


「てかさ、もうやめない? 俺、これから姐さんのとこ行って涼しいとこでラブラブで勉強会兼デートなんだけど」


「るっせぇ! もう一回だもう一回!」


「やれやれ」


何をしているのかだって? 気になるならお教えしよう。ただし、と~~~~~~~~っても暑いので簡潔に述べる。

聡くんが『喧嘩のイロハ』を教えて欲しいんだって。


「うぉぉぉぉ~~~~~!!!」


聡は雄たけびをあげて突進してくる。これではまるでイノシシだな。

勿論、俺は楽に避けてみせる。


「へ? あぁぁぁぁ~~~」


聡はそのままフェンスに激突した。もうこれで5回目なわけだ。


「あのねぇ~……ただ突っ込んできても意味ないのよ、おわかり?」


「っつ、じゃあどうしたらいいいんだよ?」


超能力使えば済むじゃん?

そんな言葉が出かかってなんとか飲み込んだ。さすがにファンタジックなことはよしたほうがいいか。


「さて、まずは……暑いから飲み物買ってこようか?」


「だな」


ただ今の気温38℃。今までよく日射病にならなかったなぁと思う俺と聡だった。





「試合続行!!」


「おいおい、今日は妙に熱いのな」


「ふっ、俺はいつだって熱いさ、血反吐を吐くくらいの修羅場を潜り抜けてきたもんな」


いや、それは理由になってねぇって。

しかし今日の聡は確かにいつもと違う。

格好こそいつも見慣れた制服姿だが、目には闘魂の2文字しか見えないし、錯覚かもしれないが、手が萌えて……じゃねえ、燃えてるように見える。

って……はい!?


「お、おい、聡!」


「ん? なんだよ?」


「手、手ぇ燃えてんぞ?」


「は? あぁ~~~~」


錯覚ではなかった。聡の手は確かに燃えていた。

紅蓮の炎が手首から腕に侵食していく。

なんかSFとかファンタジー染みてきた気がするのはきっと気のせいではないだろう。

まぁ聡の存在自体ファンタジー染みているが……。


「おぉおぉぉぉぉぉおおおおお~~~、燃え死ぬぅ~~~~~!!!」


「水水~~~、誰か水~~。この際消火器でも可ぁ~~~~」


数分かかりなんとか消火。


「ふぅ~、大惨事にならずにすんでよかったぜ」


「……手首が日焼けすら出来なくなったけどな」


聡の右手は包帯が巻かれていた。


「どうやったらそんな火傷ができるのかしらぁ~?」


保健室の敏子先生はこんなクソ暑いにも関わらずいつも通りのおっとり口調で尋ねてきた。


「あ~、信じてくれるかは敏子先生次第っすねぇ」


「……言わんでいいわい! どうも、ありがとうございました」


聡はとっとと保健室を出て行く。


「おい、待てよぉ~。 じゃ、敏子先生。今度は夏祭りで!」


「えぇ、またねぇ~~~」


満面の笑みで見送ってくれた。ん~、やっぱいい先生だなぁ~。

って、この人のフラグ立ては命がけな気がする……


「お~し、もう一回!」


「え~~~~、もうやめようぜー」


「なんでだよ?」


そりゃ……姐さんのとこいかなきゃだし?

それに聡にはそんな喧嘩的なスキルは必要ないし?

火傷してるし?

超能力の制御ができてないからさっきみたいに人体発火現象が起きたのかもだし?


「これだけあれば理由なんていらんだろ?」


「……なぁ、最近お前、話はしょってない? いちいち俺に読心術使わせてるようにしか見えねえよ」


「ん? そうか? 気のせいじゃない?」


まぁ最近癖になりそうなのは隠し切れない事実だけど……。


「わかった……明日も付き合ってくれ」


「え~~~~、明日も~~~?」


「どうせお前はゴミ係で休み中はやることないだろ?」


「姐さんとデート!」


即答。

もち宿題なんて今月中、いや今週中に終わらして、姐さんとハーレムン(意味違う)をば!!


「……自給700円」


「ははは、大船に乗ったつもりで期待してくれたまえ、聡くん!」


金欠人ゆえに、無意識のうちに反応してしまう俺だった。





その日の夕方。


「ここはxじゃなくて、yだ。……そうそう、それでここをああして……」


「おぉ、なるほど。謎はすべて解けたぜ!!」


「……ソレハヨカッタ」


「ね、姐さん、何故に棒読みなんっすか?」


「気のせいだ。次いくぞ」


今は姐さんのお宅にお邪魔しているわけで、勉強会兼おデート中なわけだ。


「前者は正しいが後者は明らかに違うと思うぞ」


「ふっ、照れんでもいいですよ。俺にはわかってるんです。実は姐さんは俺が恋しくて恋

しくてしかたがないのでしょう?」


「……どうやら一発やるしかなさそうだな?」


は!? まじっすか? ついに、ついにこのときが!


いやいや、まてよ、これって全年齢対象じゃなかったのかよ?

いや、ここはもうそんなことは言ってられん。これを逃したら次はいつになるんだ?

―――ゴツン!!


「いってぇ~……なんだ、愛の鉄槌っすかぁ。そういや前もこんなことがあったような……」


姐さんは自分の握り拳に息を吹きかけた。西洋のガンマンの真似だろうか?


「そうだっけか?」


「……穴があったら入りたい気分全開なんでその話はおしまいということで」


「わかったわかった。今日中に終わらすんだろ、数学の宿題」


妙に分厚い夏休みの課題本。全部で120ページあるそうな。

え? たいしたことないって? 俺にはたいしたことあるんだよ!!


「まぁ姐さんがいれば“鬼の両手に鎌”ですからね!」


「……“鬼に金棒”って言いたいのか?」


「あ、そうとも言いますよね~」


「それしか言わんわ!!」


本日2回目の愛の鉄槌はアッパーカット。

軽いものだったので技名はなし。う~む、実に残念だ。

そういえば、最近やけに版権ものが多いような気がするなぁ。ま、それはそれでいいか。


「国語の勉強でもしたほうがよくないか? 恥かくぞ」


「ん~……姐さんは手取り足取り教えてくださるなら是非とも!」


「わかったわかった、考えておく」


「ヤターーーーーーーー」


「ほら、宿題とっととやっちまうぞ!」


「は~い」





「終わった~~~~」


時刻は夕方の4時をまわったところだ。ちなにみ開始時刻は午前10時だった。

本日の目標であった数学の宿題は終了した。ミッション・コンプリート!!ってやつだ。

さて、ではお楽しみの……フフフ


「な、なんだよ?」


「だってぇ~、ここ2人きりっすよ~。次やることなんて決まってるじゃないっすか?」


「……嫌な予感プンプンするな」


「姐さ~~~~~ん!」


俺は姐さんに飛びついた。


「う、うわぁ!!」


俺と姐さんは床に転がった。


「あぁ、姐さんがこんな近くにぃ~~~」


こうなると理性がどうとか、性欲がどうとかいう話は関係ない。

無意識のうちに姐さんに頬ずりしていた俺。


「お、おい、やめ……ちょ……りゅ……う」


な~んか姐さんの声がだんだんエロくなってるのは気のせいか?

とそのとき、


「姉さまぁ~~~!!!」


ドバン!!

叫び声と共に部屋に入ってきたのは勿論、菫ちゃんであるわけでして……

って、こんなに大胆、というか、


「はっ、おおおおおおお邪魔しましたぁ~~~~」


バタン!!

まぁこんな状況なら当然だわな。


「すみれ……菫ぇ~~~~~!!!!」


「うわっ!!」


姐さんは信じられない力で俺を跳ね除けると菫ちゃんのあとを追って部屋を出て行ってしまった。

こうなると、ご想像通りであるわけでして……


「お、置いてかれた。そしてまた負けた、女性に……」


そのまま泣き続けること3時間。気づいたときは夜の7時を過ぎていた。

このサイトでの投稿をコンパクトにするために大幅にカットしました。

本当は幼馴染とかお姉さんとかとドキドキする話もあったんですが、グダるので何かの機会にとっておこうかと思います。

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