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幼馴染アタック

ギャグゲーなら分岐ポイント。

とある授業、科目は世界史。またじいちゃん先生が延々と話すに違いない。

こういう時は聡を使う。


「おい、聡! お前の読心術とテレパシーを持ってすれば、授業中に会話が出来るのではないかな~?」


「あ、あぁ、出来んこともないな。嫌な予感……」


「そうかそうか、次の授業は世界史だからしりとりとか、古今東西でもしようぜ?」


すると聡は思いっきり腕をクロスさせて、


「ダメぇ~~~~!!」


「なんでだよ?」


「能力を2つ同時にやったら俺がもたない!」


「なら、帰りに三和街の“ど根性コロッケ”でも奢ってやる! 勝ったら倍! どうですかな、斎藤先生?」


聡は少し考える素振りを見せるとニヤけた顔で、


「……やむをえん。やったろーじゃないか、清原くん?」


そして、バトルは始まった。





放課後。


「うむ、うまいぞ!」


はいはい、そうですか。まったく、勝負をけしかけといて負けるなんて、惨めだ。

結局、聡に奢ったコロッケは全部で12個。両手一杯に持って1個かじりながら笑顔で歩いている。

ううう……今月の小遣いが……。

ポンと姐さんが俺の肩に手を置いて苦笑顔を向けてきた。

同情してくれてるのだろうか?

だが、


「ね、姐さん、ちっとも嬉しくないんすけど……」


「そ、そうか……」


あからさまに残念そうな顔をした。

てかさ、最近の姐さんもなんか変よ? 暴走してきたり、やたら優しかったりでマジでありえませんよ? まぁそんなとこもいいところなんだけど。


「ぶっ!!」


なぜか聡がコロッケを吹いた。というか吐いた。しかも前方を歩いていたおばあちゃんの髪に付着してしまった。

当のおばあちゃんは全く気づいていないようだが……


「おいおい、勿体無いだろ! 俺の今月の小遣いしめて1200円分の100円!」


「……お前の考えは筒抜けだと言ったはずだぞ」


口元にコロッケの無残な死体もとい破片がおぞましく付着していた。


「え~、俺ってそんなにキモイこと思ってないぜ?」


「うるへー、氷見院のことをほめるようなこと言うんなら俺から半径50mは離れろって言ったはずだぞ!!」


「竜輔、ちなみにどんなこと思ったんだ?」


興味津々な様子で姐さんが聞いてくる。


「え!? だって……それは……ね?」


「俺に聞くな!」


「だって、聡ってば知ってるんでしょ? このエッチ!」


「がぁぁぁぁ~~~~!!」


コロッケ袋を抱えたままその場にうずくまる聡。


「誰も好きこのんでこんな能力もっとらんわい!」


そんな他愛もない(?)会話をしながら俺達は日出町に来ていた。

前から登場している通り、ゲーセンだったり、木城式のラーメン屋があったり、小さい映画館もある。

で、やっぱりと言うかなんというか、時間帯が時間帯なので美佳が近くを歩いていた。

しかも、制服。

そういえば。美佳が高校の制服着てるとこは初めて見るような気がする。

まぁ一般的な紺のセーラー服だな。リボンというのかネクタイというのかは知らないが、それは少し白みがかった赤だ。

それは色落ちしただけだということならば、やっぱ普通の赤なのだろうが……


「お~い、美佳ちゃ~ん! ごきげん麗しう」


ふざけ半分で呼んでみる。


「あら、竜輔? ……えっと、この前はありがとね。」


やめてくれ。

そんなに素直に言われたら恥ずかしいじゃないか。

待ってくれ、頬をピンクに染めてモジモジするのはやめてくれ!


「んじゃ、俺帰るわ。お2人さん、仲良くなぁ~」


聡は気を遣ってくれたのだろうか、走ってその場を去っていった。

その言葉に少しむっときてる顔の美佳が俺の隣にいるのだが……


「……じゃあ、俺も帰る」


「ちょ、姐さん。今日は美佳のうちに厄介になるなんて一言も……」


「じゃ、ウチ来るか?」


え? いいの? 勿論よろこ……


「竜輔、今日はウチに寄っててよ! 今日はカレーなのよ。好きでしょ?」


ライオンを追い払えるような獰猛な目で俺を睨んでくる美佳。

う……やっぱ美佳さん恐い。でも、本命は姐さんなのだ。

せっかくのお誘いを断わるのは……


「どっちなんだ?」

「どっちなの!?」



ここでコマンドを選んでください。


①おとなしく美佳の家に行く

⇒行っても行かなくても怖い


②あとが恐くても麗しの姐さんの家に行く

⇒この選択肢が最良だが、後々恐い


③とりあえず勝負をしかけてみる

⇒装備:素手(女性には使用不可)


④ポーションを買ってみる

⇒通常版は200円、限定版は600円、所持金20円


⑤疾風の如く逃げる

⇒ユニークスキル【鈍足】が強制発動









結局、美佳の家に行く事になった。

おかしい。

口と体が勝手に美佳を選んでしまった。

姐さんの顔を怖くて確認できなかったが、「じゃ~な。」と淡白な声音で帰っていった。

これは明日の課題だ。

美佳については、いつもの調子で茶化せばすむんだ。

後々なんかされるのは御免だしな。


「さて、竜輔。手伝って!」


「ふぇ~~~い」


なんかいろいろパシられた。

皿を出せだの、調味料渡せだの、キスさせろだの……

って、最後の何?


「おい、美佳さんや! あんた、頭大丈夫か?」


「マジなら……してくれる?」


「う……」


返答に困るな。

てか、最近は美佳にさえ遊ばれてるような気がしてならん。俺の時代は終わったのか?


「何呆けてるのよ?……冷蔵庫から肉出して!」


「ふぁい……」


今日の木城家にはご両親がいないらしい。

そうです。美佳嬢と2人きりというやつですよ。

だから来たくなかった。間違い起こしそうで恐いわ!

あっちから誘惑される場合の免疫なんて持ち合わせていないぞよ!


「さて、あとは煮込むだけっと。夕食までどうする?」


「……『黒のケルベロス』やろうぜ?」


「それクリアしちゃった」


「俺はしてない!」


「はいはい……」


こうして、ゲームをすることに。なんとか危機的状況打破だな?


「なぁ、この白髪ツンツン君ってなんとかならんか?」


「自分で考えなさいよ」


「え~~~、じゃあ、ヒント!」


美佳はやれやれとした表情だったが突然ニヤけた顔になって、


「ならキス一回」


「却下」


「え~~~~」


まったく、おとちゃんウィルスに感染したのか?

完璧に同じこと言ってやがる。しかも、性格まで変わってるし。


「なぁ、どうしたんだよ? なんか最近おかしいぞ、お前? いくら俺がかっこいいからってそんなにいちゃつこうとしてんじゃ……」


「ん……」



!!!!!!!!



「っめ、なにしやがる!」


「ふぅ~、キスだけど?」


そうだ。こいつ不意打ちで唇を重ねおった。

姐さんしか出入りを許可してない俺の絶対神聖領域に予備軍ごときが進入しおって……。

しかも、しかけてきた本人はやけにクールだ。


「あれ? 顔赤いけど、どうしたのぉ~?」


「くっ……」


やっぱり俺、遊ばれてるみたいだ。くそ~、立場逆転ってやつかよ!

俺はおもいっきし唇を袖でこすった。


「ちっ、美佳ごときが俺の唇を奪うとは……覚えてとけよ、このキス魔め!」


「キス魔ねぇ~、小さい頃にしつこく『みかちゃん、キスしよう』って言ってきたのは誰かしら?」


こいつ、そんなことまで覚えていやがったのか。なんて野郎だ。

あの時はモチ、ふざけ半分だったし、単に興味があったのだろう。

って、言い訳じゃないぞ!


「まぁ約束だし、倒し方を教えてしんぜよう!」


美佳はコントローラーを俺から奪って解説し始めた。

くそっ、こんな奴を俺は俺は……


「わかったでしょ? って、聞いてなかった?」


「んあ? あ~もういい! たく、調子狂うっつの」


「でも、嬉しかった……」


「あ?」


美佳は顔を赤くしてうつむいた。


「キス……よかったよ」


「そうかい、俺はちっともよかねえけど」


吐き捨てるように言ってやった。

美佳嬢は暫く黙っていたので、俺は白髪ツンツン君をなんとか倒して次のステージに向かった。


夕飯を食い終わって、おいとますることにいた。


「もう帰っちゃうの?」


「あぁ、お前と2人でいると間違い起こしそうで恐いしな。じゃな! ごちそうさん」


俺は美佳の部屋を出ようとした。時計はもう9時になろうとしていた。

が、やはりというか……背中を抱きつかれてしまった。

もう、勘弁してくださいよぉ~。


「おい、やめてけろ」


「い、行かないでよ」


か細い声で囁く美佳。

密着してるもんだから背中にあれが当たっちゃって落ち着かないんですけど……。


「寂しい……」


「そ、そうかそうか。なら今日は美佳ちゃんの為におじさんが添い寝してあげよう!」


得意のボケだ。

だが、そのボケも瞬殺されてしまった。


「うん、お願い」


まじかよ!?

おいおい、俺の知ってる美佳なら抱きついただけで顔赤くしちゃって、それはもう可愛さを絵に描いたような純な女の子なのに……同い年の男と添い寝OK?

勘弁してくれよ! こちとらマジじゃないんだぜ?


「いや、やっぱさっきのなし! 今度特大のヌイグルミ買ってやるから、今日は我慢しなさいな。じゃ」


「どうして……どうして一緒にいてくれないの?」


「は!?」


「私、もう我慢できないよ。竜輔が好きなの。側にいて欲しいのよ」


これは……まずい。非常にまずい。またもや直告されてしまった。

美佳嬢は涙声。てか、泣いてる?

どちらにしろ、俺の心は崩壊寸前ですよ。

俺には姐さんがいる俺には姐さんがいる俺には姐さんがいるぅ~~~~。


「くっ、美佳……俺は君の気持ちに答えてはやれない。でもまた来るから、な?」


「ふぇ~ん」


「……」


泣いちゃったよ。さて、これからどうすればいいの?





電気を消した部屋。ふかふかの敷布団。

満足したのか幸せそうな顔で寝息をたてている幼馴染み。

そう、彼女の名は木城美佳。年は俺と同じ17歳。

今は違う学校だからどんな友達と付き合ってるのか知らない。

まぁうまくやれてるならそれでいいだろう。

今まであまり辛そうな顔を見せたことは一度もないし、おそらく問題なかろう。

そうだよ、それならいいんだ。

話を戻すと、この状態は何さ?

手というか腕をがっちりホールドされてるし、体密着状態って……おとちゃんと同じことされている。

においは……ヤバイヤバイ。意識がとびそう。

そういや、添い寝ってこんなにべったりなやつだったか?

しかも、体が反応し始めてるし……むぅ~、マズイな。


「竜……輔ぇ」


「ん? なんだ、まだ起きてたのか。頼むから腕をホールドすんのと、体密着だけは勘弁してください」


「どこもいかない?」


うわぁ~、そんな目で俺を見ないでくださいよ。

漫画的な萌え~って感じの妹みたいな顔してますよ。

襲っちゃいますよぉ~、一応俺だって男なわけだし……

いくら姐さんという素適過ぎるカノジョがいるからとは言え、こんな誰もいないとこで2人きりってシチュじゃ理性がいつ暴発してもおかしくないわけだし。


「ねぇ、どうなの?」


「イカナイカラハナシテクダサイ」


「うん、約束だよ?」


ううう、なして俺がこんな目に……

俺はただ姐さんを愛してるだけなのに、どうしてこの道は長く険しいのだろう?

俺は一旦、布団から出て畳の上に座った。

木城家には洋室というものはない。

なぜなら、美佳の祖父の代から引き継いでいる純和風な家だからだ。(といっても勉強机は普通の物だが……)

まあ、俺の家だって畳くらいあるさ。

でもなんか落ち着くな、少なくとも布団よりは……


「ねぇ、眠れないの?」


「あのねぇ~、俺の布団なんてここにないでしょ?」


「私のを一緒に使えばいいでしょ?」


「馬鹿!? それって誘ってんと同じだろが!」


くそぉ~~、おとちゃんも、美佳も俺を誘って何がしたい? 

いや、わかってはいるけどさ……


「うん、誘ってる。(ニコニコ)」


溜息しか出ない。俺の周りにはこんな女性しかいないのか?

そういえば姐さんにも誘われたことあったような……

くそ、惜しい事した。


「とにかく寝ろ。明日学校だろうが」


「何処も行かない?」


「またか……さっきも言ったけど、何処も行かないから安心して寝てくださいな、お姫様」


「うん……おやすみ」


はぁ~、今夜は眠れそうにないな。

明日(といってもとっくに日付は変わってしまっている)、学校で寝るしかないな。

荷物と着替えも取りに戻らなきゃなぁ~。

いろいろ悶々していると日はあっという間に昇った。





「くっそ~~~、遅刻だ、遅刻!」


美佳嬢が起きたら家に帰ることを告げて、荷物を取りにマッハ3で戻った。

飯をおとちゃんの分まで作ってテーブルに置いた。

つーか、おとちゃんはまだ寝てるのか?


「食ってる時間すらないか……」


買い置きの食パン一枚をかじりながら家を飛び出す。

そして、一直線に姐さん宅に向かった。

家の前では姐さんが不機嫌そうな顔をしてたっていた。


「……遅かったな。って食パンか?」


「すいません。ったく昨日は返してくれなかったんすよ、美佳のやつ」


すると姐さんは鋭い眼光で睨んできた。


「へぇ~~~~~、昨夜は彼女と楽しんでたのか……?」


「え!? ちょ、誤解ですってば! 俺と美佳には何にもありませんでしたよ。不意打ちでキスされて、添い寝してくれっていわれて、腕と体をがっちりホールドされただけですよ!……ってしまった」


いらんことまで喋ってしまった。てか全部じゃないか!?


「ほぉ~、そこまでの関係とは……な」


姐さんは含みのある笑みで詰め寄ってきた。


「お前は浮気癖がある感じような気はしてたが、まさかよりにもよってあの美佳さんとはなぁ~」


「うっ、そ、それは誤解っす! だって俺と美佳は幼馴染みで、いわば兄妹のように育ったってだけで、俺は姐さん一筋だし……昨日は美佳のご両親が留守で寂しかろうなぁ~と思った次第で……あっ!!」


「ほぉ~、2人きりを狙って美佳さんに手を出した……と?」


「ごごごご誤解っすよぉ! というか、昨日の夕方みたいな状況でなければ、俺が姐さんに手を出してました」


なんの弁解にもなっていないが、敢えて無視。というか言ってしまった事実は消えない。


「お前は俺の体が目当てか?」


「え……いえ、そういうわけじゃ……」


「とにかく、ムシャクシャするから一発やらせろ!」


「え~~~~~、ここでっすか?(ドキドキ)」


顔を近づけてくる姐さん。俺は目を閉じてその時を待つ。

しかし、何故か胸倉を掴まれ、乱暴に振り回された。


「見よ、我がオーラを最大限用いて、竜、獅子、鳳凰の魔神の力を借り、すべての邪念を一掃せん! ドラゴンライアンフェニックスキルザグレイとイントルーダースネークディストラクティブタイフーンマーク7カイダイ2バンコウキョウキョクラグナロクリターンズアルティメットスペースカスタムバスタァ~~~~~~~!!!!!!」


「長ぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~!!!!」


メチャ長い演唱時間が終わった直後、俺の意識はヘブンへの階段を昇り始めたのだった。

絶賛、中2病の姐さんなのでしたー

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