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副担任アタック

今回、3話分を1つにまとめてあります。

時間軸や視点の変更が入り乱れているため、そのうち修正したいと思います。

「へぇ~、そんなことがねぇ」


「はい……姉孝行も疲れますよ」


朝の教室で俺と姐さんと聡の3人で談話中。


「で、聡。遅くなったが、顔のアザやら引っかき傷は何だ?」


「……お前の姉さんにやられた。あの後、明音さんがお前等のいた部屋に強行突入しようとしてたんだぞ!? 菫さんとなんとか押さえ込んだが……あまりにも犠牲が大きすぎたな」


昨日、聡はおとちゃんにメロメロだったのになんか口調からするとそうでもないみたいだ。

何でだ?


「あ、いやぁ~そのなんだ……気にするな!」


あ、心が筒抜けだ。


「聡、その読心術の暴走はなんとかならんのか?」


「無理だ。どうにかできるなら俺はとっくにやってる」


「まぁ、いいんじゃねえか? 斎藤しか犠牲者がいなかったんだろ? 菫が無事で何よりだ」


「て、てめぇ、飽くまで自分の妹の心配しかしないんだな? 一体誰のお陰で……」


聡は今にもキレそうだ。

姐さんは涼しい顔で聡を見る。

とその時、


「あ、いたいた。斎藤さん!」


「「へ!?」」


いきなりこの教室に不似合いな声が響いた。

しかも聡を呼んでいる!?


「あ、菫ちゃん。おはよう!」


声を掛けてきたのは姐さんの妹、菫さんだった。


「おはようございます。あの、お弁当作ってきたんで、よかったらどうぞ。今日はご一緒できないんで、今渡しに来たんですけど……」


「あ、ありがとう。じゃあ遠慮なく」


聡はニヤけながら菫さんが持ってきた弁当を受け取った。

何何? お2人は昨日のことでこんなに仲良くなったの?


「では、また放課後にお会いしましょうね」


そういって、教室を出て行った、菫さん。

聡はというと、


「いい! いい子だな~菫ちゃん」


満足気な顔をしている。

そして、問題は我等が姐さん。


「す、菫が……斎藤なんかに……うそだ」


「本当みたいっすよ、姐さん。いいじゃないっすか、2人を祝福してあげましょうよ」


すると、それを合図に姐さんは泣き出した。


「えぐえぐ……菫が、私の菫が……うわぁ~~~~」


俺に泣きついてきてくれたのは嬉しい限りだが……姐さんって菫さんのことになると性格かわるんだなぁ。何気に一人称が私になってるし。

姐さんの頭を撫でてよしよしみたいなことをしてみた。

それでも泣き止まなかったのは言うまでもない。





放課後。

まぁ予告どおり、聡と菫さんは見ていてラブラブな雰囲気だった。

でも、菫さんって可愛いし、ファンクラブでもあるんじゃないかな?

……聡よ、お前に未来はあるのか? 何らかの報復があるやも知れんぞ。


「りゅ~~うすけぇ~~」


「おや、姐さん? まさかまだあのことで?」


「もう俺は生きていけそうにないぞ……」


そりゃ困る。

俺としては姐さんとはこれからだというのに、ここで死なれたら俺だって死ななくてはならん。


「まぁまぁ、落ち着いてくださいよ」


「この状況で落ち着いていられる姉がこの世の中に1人だっているもんか! いたとしたらそれは人間じゃない!」


そんな無茶な……

まぁ錯乱しまくっている姐さんはなんか可愛かったりするのだが。


「まぁまぁ姐さんには俺って存在があるじゃないっすか。菫さんも姉離れの時期が来たってことで……」


「竜輔は竜輔、菫は菫なんだ! ううう……菫ぇ~」


さて、これは一体どう対応したらいいものやら……

とその時、


「ワッツザマタァ~(どうしたんだい?)、ガール? どうしてクライング(泣いている)なのかなぁ?」


うおっ、出おった! 土方先生が不在のために急遽ウチのクラスの担任になった、加藤先生。通称、ビジュアル男(勝手に命名)。


「あ~と、先生には関係ないし、ここは俺がなんとかしますから」


「NO! ここは1ティーチャーとしてスチューデント(生徒)の親身になって相談にのってやろうじゃねえかYO! チェキダウ!」


「……」


この人の言葉、一体何語?


「私が相談にのろウ。さぁ、話したモ~レ!」


「ううう……実は……」


姐さんは錯乱しているせいで、この人にかなり真面目に今の状況を話してしまった。


「おぉ、それはいけないZO! 愛する人を取られた気持ち、私にはアンダァスタンドォ(理解した)NE! 今からGET BACK(取り返)しに行くぞっ!」


「……」


俺はひたすら冷めるしかなかった。

こんなの馬鹿の俺にだってわかる。

この人の使っている言葉は日本語でも英語でもない。

しかも内容理解もちょっと外れてるって! これでは聡の命が!!



「今度の休みですか?」


「う、うん、どう? 映画とか食事とか。まぁ嫌なら別にいいんだけどさ」


「大丈夫です! というか、私もお誘いしようと思っていたところです」


「あぁ~よかった」


「はい、そうですね」


なんか雰囲気よくない?

俺にも春がきたってか?

しかし、そんな幸せな時間がずっと続くわけもなかった。


「ぼぉおぉおおおおおぉおおおおおぉぉぉぉぉぉ~~~~~~いぃいぃいぃいいぃぃ!!!」


後ろから声が聞こえてきた。


「い!? 一体なに?」


振り向いた先には加藤先生が走ってこちらに向かってきていた。


「ぼぉぉぉいい、みそこなったZO! ぼおいは犯してはならないデスペナルティ(死刑)が相応のへびぃ(重い)な罪をした! しかるのち、ミーが死の鉄槌を下してやるNE! チェキダウ!」


何か現れて早々キレてるよ。しかもかなり意味不明な奇怪なしゃべり方だ。


てか俺が一体何をした!?


「ユーは人のレーザー(皮)を被ったオーガ(鬼)だろぉ? これはもうDEATH(死)をもってつぐねってもらうヨロシ?」


マジで意味不明。


しかし、加藤先生はマジ顔だ。


「あのぉ、斎藤さんが一体何を?」


「ガール、君はディシィーブ(騙す)サレテイルノダヨ! このボーイはユーを愛するヒトから引き離しTA! ユーはそこで大人しくしてるがヨロシ! 覚悟するネ、ぼおい?」


「ほわぁぁい!?」


叫ぶより速く、加藤先生の手刀が飛んでくる。

なんとかかわしたが、頬に刃物で切り裂いたような切り傷がついた。


「う、うそだろ!? 刃物なんてもってねえだろ?」


「フフフ、ミーの手は高濃度のオーラを纏わせる事で、じゃぽんソードに匹敵する切れ味をひきだすことなど造作もないNE!」


明らかに文法がデタラメなのはこのさい無視。

冗談抜きで殺される。こんなに切羽詰まった状況はアフリカで獰猛なチータに追いかけられた時以来だぜ。ウソだ。


「しかし、ユーごときにこの技も勿体無いNE! この技でとっとと勝負をツケル! くらえ! ヒッサツ、デリーストろに刈る玖らうんどキぃー――ク!!」


加藤先生はゆうに3メートルは跳躍してそこから○面ライダーよろしく的な必殺キックをかましてきた。

しかし、


「じゃあかしいぃ~~!!!」


俺と加藤先生の間に割ってきた一つの影が何をしたのか。


「NOOOOOOoooooooo~~~~~~~~~~!!!!」


加藤先生はよくありがちなヒーローものの悪役のごとく、黄昏の空の星となった。


「はぁ、はぁ、はぁ、……怪我はないか、聡?」


「……あぁ、ない。た、たすかったぁ~~~」


俺はその場に座り込んだ。

それより竜輔よ、教師ボコって退学にならんようにな……





<<竜輔視点>>


まぁ、こんなことだろうと追いかけてきた俺は正解だったな。

あやうく聡がビジュアル男の餌食となるところだった。


「ほんとお前っていいとこで来てくれるよ」


「何をいっているんだ、俺達友達だろ?」


「竜輔!!」


ひしと抱き合う俺と聡。

う~ん、今日の夕日はやけにまぶしいぜ。


「あ、あのぉ~……」


「ん? どうしたの、菫さん?」


「いえ、その周りを気にしたほうがよろしいかと思いまして……」


そのとおり、一部始終見ていた人はなんら違和感がないだろうが、このシーンだけ見ると……。


「おい、聡よ」


「ん? 何だ、竜輔?」


「俺達、何か勘違いされてるやも知れん」


いつの間にかギャラリーが集まっていた。


「おい、これって……」


「俺、初めてみた」


「これが噂の○Gとかいうやつか?」


「○モフォーーーー!!ってか?」


何かズレてるコメントは無視して聡から離れる。


「俺はそんな気、全然ないからな」


「お、俺だってそうだ! い、今のは友情の……ってやつだ」


まぁいいさ。とにかく、置いてきた姐さんが心配だったので学校にもどることにしよう。


「じゃあな、聡。今度は絡まれるなよ!」


「ご忠告どうも。お前もな」





聡と別れ、学校に引き返す。


「姐さん!」


姐さんは生徒玄関の入り口辺りでしゃがみ込んでなにやらブツブツ言っている。


「スミレ……いかな……いでよ」


これは末期ってやつ?

しかたない、ここはひとつ俺が姐さんを癒してやらねば。


「ねえさん、今日はこれから何します? なんなら今日は夜通しでお相手しましょうか?」


「ううう……ズミレぇえええぇぇぇぇ~~~~」


あかんわ、こりゃ。

勢いよく涙を出す姐さん。

普段はかなり男っぽくてかっこいい姐さんだが、今日は一少女って感じだ。

こうなると、余計に放っとけない。


「とりあえず保健室だな」


姐さんの肩を背負って保健室に向かった。





保健室。


「今度は氷見院さんなのねぇ~?」


「はい、お世話かけます」


「いいのよぉ~、私と清原くんの仲じゃなあい? 気にしない気にしないぃ~」


「あははは……」


渡辺先生とは別にこれといって意味はないんだけどな。

いろいろお世話かけちゃってるってだけの関係さ。そこんとこ勘違いしないように。

でも、この高校に入る前にもお世話になっちゃったことあるんだけど、それはまた別の話だ。

んで、問題なのは姐さん!


「う~ん、私はぁ、精神の方は専門外だからぁ~なんとも言えないけどぉ~、相談ならOKよぉ♪」


「すみれ……」


もう姐さんは菫さんしか見えてないのね?

俺という存在がありながら……

この前の話し合いがこれでは無意味ではないか。


「用は、菫ちゃんを連れてくればいいんじゃなぁ~い?」


「どうっすかね? ここでおっぱじめそうな感じがしないでもない雰囲気なんすけど?」


「う~ん、それはマズイわねぇ~? ここはベッドはあるけど、そういうことする場所じゃないから困っちゃうしぃ~……」


「相談室の先生とかは?」


「あ~~、もうこの時間だから帰っちゃってるわよぉ」


相談室の先生とは不登校の生徒をなんやかんやで学校に復帰させようとするカウンセラーのことだ。そういう人なら精神については詳しいと思ったのだが……


「しかたないわねぇ。今日は彼女、私が送っていくから清原くんは帰りなさぁ~い」


「あ、あの、俺も一緒に行っちゃマズイっすか?」


「別に不味くは無いけど……いいわよぉ、一緒に行きましょうかぁ?」


そういうわけで、渡辺先生の車で氷見院家にやってきた。


「噂には聞いてたけどぉ、大きな家ねぇ? お城みたい~」


「あはは、そうっすね……」


姐さんをかついで屋敷の中に入る。


「あら、清原さん?」


出てきたのは確か姐さん専属のメイドさんである、芹沢葉子さんだ。


「あのぉ~、まぁこんな状態なんで部屋までお願いします」

言ってる自分がやけに惨めに見えたのは俺だけだろうか?





<<柳視点>>


「うううん……」


「姉さま、お気づきになりました?」


どうやら眠っていたらしい。いつからだろう?

上から声が聞こえてくる。

勿論誰の声かはわかる。菫の声だ。


「……菫?」


「はい、なんですか?」


あぁ菫だ。夢じゃないよな?

ぼやける視界の為、顔がくっきり見えないがなんとか手を菫の頭に手を乗せるとそっと撫でた。


「ふふふ、どうしたんですか? お婆様みたいなことをして」


苦笑いしているのがなんとなくわかった。

そういえば、婆さまもよくこんな事をしてくれたっけ?


「姉さま、事情は清原さんにお聞きしました。……ちょっとは妹離れしていただかないと」


「そうっすよ、姐さん! 俺というものがありながら……それに姐さんのイメージが崩れて少しショック気味なんですがね」


竜輔の声がする。


「竜輔ぇ? お前、いつからいたの?」


「失礼っすねぇ~、始めからっすよ! そもそもここに姐さんを運んだのだって俺なんすからね」


そういえば、ここはウチだな。

おかしいな、さっきまで学校にいたはずなんだけど……まぁいいか。


「さて、じゃあ後は菫さんに任せていいかな?」


「あのぉ~、私のことは菫でよろしいですよ。年上の方に“さん”で呼ばれるのはどうも違和感が……」


「あぁごめんね、菫ちゃん。じゃ、また明日! 姐さん、少しは大人になってくださいよ!」


そう言って竜輔は出て行った。

親面しちゃってさ……生意気。


「さあて、姉さま。今日から私は自分の部屋で“1人”で寝ますから、姉さまもお1人で寝てくださいね!」


「うへぇ~、そりゃないぜ、ずみれぇ~~~」


「では、お食事までお休みになっててください」


菫も出て行った。

参った。完全に対策にでるつもりらしい。

しかし、何がいけないのだ!?

私はただ菫と一緒にいたいだけなのに……




<<竜輔視点>>


はぁ~、姐さんにも参ったぜ。

菫ちゃんとそこまでベタベタしてたいのだろうか? 確かに可愛くて、賢い子だと思うぞ。

やっぱ俺じゃダメ?

俺なら24時間、年中無休でだって一緒にいたいというのに。


「大丈夫ぅ~?」


渡辺先生が車を運転しながら聞いてくる。

そう、俺は渡辺先生の車で自宅に向かっている。


「え!? あぁ大丈夫っす」


「氷見院さんのことが心配ならもうちょっといてあげればよかったのにぃ~」


「……そうですね」


暫く車は細い道路をノロノロと走っていた。


「んもぉ、ここの道路ってどうしてこんなに走りづらいのかしらぁ?」


「狭いっすからね」


プレイヤーの上にあるデジタル時計はもうすぐ6時になろうとしていた。

はぁ~。家に帰ったらおとちゃんにまた体を求められてしまうのだろうか?

……帰りたくない。

そうだ、今日は俺の第2の家に行こう!


「あのぉ、先生?」


「なあに? あ~何かエッチなこと考えてるでしょ?」


どうして俺の周りの人はこうも考え方が“アレ”なんだろうか?

それとも、信用されていないのか?

俺はこんなにも姐さん一筋だというのに……


「無言なら肯定ととっちゃうけどぉ~?」


「そ、そんなわけないじゃないっすか!」


つ、疲れる。

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