姐&姉アタック
今回は少し短めです。
「姐さん、俺の事ぶっちゃけどう思ってんすか?」
今は氷見院家の姐さんの部屋にいる。
おとちゃんと菫さんは別の部屋で待機してもらっている。
「え!? そ、そんなの決まってんじゃないか。付き合ってんだし、そういうことだろ?」
はっきりしないな。
姐さん自身もおとちゃんの言葉を借りるならば、そんないい加減な気持ちで付き合ってたの?
「……今日、俺のこと無視しましたよね?」
「あ……」
「俺、本気で姐さんのことが好きです。でも、姐さんはどうなんすか? はっきりしてください!」
こうなったら当たって砕けろだ。
姐さんの口からはっきりとしたことを聞くまで聞きまくってやる!
「……」
「菫さんとベタベタしてて正直かなり嫉妬しました。それだけならいいにしも無視は……」
「ゴメン、本当に悪かった」
姐さんは頭を下げて目の前で手を合わせた。
「俺はいい加減な気持ちで姐さんと付き合ってません! 常に本気っす!」
静かな部屋に声が反響した。
あぁ、俺って強気な事言ってる割には緊張してる。
「俺も……本気のつもりだった。でも竜輔って割とノリがいいと思ってたからつい油断してた。」
「俺、姐さんのことをここまで好きになれた理由はいくつかありますけど、一回も無視されたことないんすよ。これでもかってくらいにくっ付いてたのに無視されることはなかった。それがやけに嬉しかったっす」
「……そう」
「俺の人生の全てが姐さんなんです。その姐さんが離れていくのは嫌なんです。でも、正直俺のことウザイと思ってんなら身をひきます。答えてください、俺のこと好きですか?嫌いですか?」
ここまで言えた俺を誉めたい。
本当はこんなことはっきりなんて聞きたくないし、姐さんだって言いたくないだろう。
でも、俺は決めたんだ。
ここで嫌いと言われてもしっかり生きていける。俺は1人じゃない。
おとちゃん、美佳、聡、親父。 ……ん?
大丈夫だ。俺はやってける!
さぁ姐さん、ためらわず、正直に答えてください!
「……す……き……」
「え?」
「好きだ! 何度も言わすんじゃねえよ」
姐さんは顔を真っ赤にして叫んだ。
なぁ~んか、この言葉だけ聞くと男が男に告ってるように聞こえるのは気のせいだろうか?
「ど、どうだ? これで満足か?」
「え、えぇ、満足っす。その言葉に嘘偽りがないのであれば。あはは……」
「当たり前だ。もうこんな恥ずい言葉、言わせんじゃねえぞ」
これでよかったのか?
結局俺の考えは杞憂に終わった。
姐さんは俺が好き。姐さんは俺が好き。姐さんは俺が好き。姐さんは俺が好き。
……それにしてもなんだろう? なにか違和感があるな。保留でいいよな?
「いやぁ~、何か照れますねぇ~」
急に自分が恥ずかしくなってきた。
「ば~か! 俺の方が10倍恥ずかしいわ!」
「あはは、じゃあ俺はその100倍!(笑)」
「(笑)は余計だと思うがな」
相変わらずナイスツッコミですね。
でも、いつもの俺の好きな姐さんだ。
『よかったな、竜輔。』
へ!? 誰?
何処からともなく声が聞こえる。しかも聞いたことのある声だ。
『俺だ、聡だ。』
「ぶっ!! さとし?」
お得意の神通力はそんなとこまで使えるようになったのね?
「ん? どした?」
あ、姐さんは聞こえてないんだ?
『氷見院は本当にお前のことを思ってるぞ。ったく、どこまでお前等はバカップルなんだよ?』
い、いいだろ、別に。
『まぁお幸せにな! 陰ながら応援してるが、イチャつくなら俺から半径50mは離れろ! お前等の考えてる事が頭の中に入ってくんだよ!』
そうなんだ、お前もいろいろ大変だな?
『お前、喧嘩売ってるだろ?』
冗談冗談。聡、いろいろありがとな。
『俺は何もやっちゃいないさ。ま、友情って奴?』
ありがとう。
『よせやい! さぁ、カノジョとやることあるだろ? 仲直りのしるしってか?』
あぁ、わかった。
「どうした、竜輔?」
姐さんは目を丸くしてこちらを見ている。
俺は近づいて、姐さんの肩を抱いた。
姐さんもこちらの意図を理解してくれたのだろう、抱き返してくれた。
「俺、馬鹿っすけど、これからも」
「馬鹿、それは俺の台詞! よろしくな、竜輔」
まぁなんだ……その後は勿論お決まりのキスをしてその場は終わった。
<<聡視点>>
その頃。
「うわぁ~~~~~ん、私の竜くんが遠くに行っちゃう~~~~」
「お、おちついてください、明音さん!」
近くに待機していた明音さんと菫さん、そして俺、斎藤聡。
あっちではいい雰囲気だが、こっちは最悪。
明音さんが竜輔のところに行こうとしているもんで、俺と菫ちゃんが一緒になって止めている図を想像してくれれば吉。
なんで吉かって?
もちろんその方が俺がまともに見えるからさ。
本当は……明音さんに惚れちまってどさくさに紛れて抱きついてたりしてる。
あ、言っちゃった。
「あぁ、いいにほひ~」
「あのぉ~、斎藤さん? ちょっとは手伝っていただけませんか?」
「はっ、俺としたことが! ちょっと落ち着いてください、明音さん」
「あのぉ~、それさっき私が申し上げた事なんですけど……」
「竜くぅぅぅぅ~~~~~ん!!!!」
菫ちゃんの言ってることは敢えて無視。
しかし、暴れまくっている明音さんのパンチやキックやら色々くらってるから俺は力尽きるかもしれない。例のごとく、真っ白にな。
「あのぉ、もしかして燃え尽きたぜってやつでしょうか?」
「あっ、知ってたんだ? 意外だね」
しかし、こんな控えめな女の子がかなり昔のスポーツアニメを見ているなんてちょっと想像しにくいぞ?
まぁそれは置いといて、菫ちゃんも俺の好みかも。なぁ~んて思っちゃったりした。
<<竜輔視点>>
「やっと、2人きりになれたね?」
「う……何さ?」
今は自宅にいる。
勿論、おとちゃんと2人きりだ。
「姉さん、心配しちゃった。あそこでカノジョ、柳さんだっけ?とやっちゃうんじゃないかってあせったのよ!」
「ぶっ!! そんなわけないでしょ!」
「でも、キスはしたんでしょ?」
「う……うん」
「汚れてるわねぇ~(ニヤニヤ) 私が綺麗にしたげる~!」
そう言っておとちゃんは俺に唇を押し付けてくる。
汚れてるって……いくら姐さんとはラブラブとは言え、汚れるまでのことはやってないぞ?
俺はなんとか避けた。
「いい加減にしてよ、おとちゃん。俺は姐さんが好きなの! おとちゃんは尊敬はしてるけど、恋愛感情はこれっぽっちもないから、もうこういうのヤメにしようよ?」
「え~ん、竜くんが苛めるぅ~」
その場で泣き出す。
この人酔ってるのか?
「何がなんだろうと今後一切、弟を誘惑しないでください! 確かに姐さんとのことは感謝してるよ。おとちゃんのお陰で仲直りできたんだし」
「じゃあ、貸し借り無しってことでキスさせて!」
「う……」
そういうと思った。
たしかに何処かで恩返しっぽいことはしようとは思っていたが、キスやその他諸々のことでは……
「か、勘弁してよ」
「え~~~」
「じゃあ、今度の休みにおいしいレストランに行くってのは? それでも足りなければ……デートぐらいならいいかなぁ~?」
それくらいいいよな?
今度の休日は姐さんの予定があいてないらしいし。
「わかったわ、それでOKよ。あ~早く休みにならないかなぁ~♪」
子供のようにはしゃぐおとちゃんだった。
いろいろ伏線入れています。
“違和感”の正体はまだ先になります。




